量子コンピューティングの将来性

Quantum Computing

2015年10月7日|| MACKENZIE RECH

高度に複雑な問題を解決するにあたって、量子(クオンタム)コンピューターはこれまでのコンピューターに比べて、より効率的である潜在性が高いとされている。そして現在、この分野は急速な進歩と革新の渦中にあり、1Qbitはそうした動きの中核的な会社の1つである。

カナダ・バンクーバーに本拠を置くこの新興企業は、クオンタム技術を適用することで、扱い難い課題に対するソリューションの提供を可能にするソフトウェアーを開発している。QA(quantum annealing、量子焼きなまし法)を用いたこのソフトは、課題に対して数限りなく存在する解の中から、最良の解の選択を可能にするのである。そして、こうしたアプリケーションの実用化については、その多くが今後数年を要するとされる一方、既にポートフォリオ管理や通貨取引などの金融分野での効用が期待されている。

CMEのベンチャー・ポートフォリオの中で、1Qbitは 世界経済フォーラム が最近、テクノロジー・パイオニアの称号を与えた 3番目の会社 でもある。ここでは、量子コンピューティングの現状と将来性について、1Qbit の共同創業者でありCEOを務めるアンドリュー・ファースマンとの会話(要約)を以下に掲載する。

最初に基本的なところからですが、「量子コンピューティング」とは何でしょう?

コンピューターの利用価値について私は、比較的広義に定義しています。情報のインプットがアウトプットを超える場合などでは常に、コンピューターを意識します。重要なのは、既存のアーキテクチャーを前提にしてコンピューターを定義しない、ということです。私にしてみれば、計算機ではなくても、問題の解を算出するシステムなら、それはコンピューターなのです。

1980年代には、著名な理論物理学者のリチャード・ファインマンを含めて、高い評価を受けていた科学者たちが、通常のコンピューターをCbit(古典ビット)から量子bitに置き換え、特殊機能を備えた量子コンピューティングへの転換を呼びかけました。概念としては素晴らしいものでしたが、現在まで、そのアイデに立脚したシステムは未完成です。したがって、量子bitは既存のアーキテクチャーとは全く異なる枠組みの中で、未来的なシステムとして発達してきたのです。ただ、両者の関係が科学的なものではなく、仕分け上のものに過ぎないという事実は、面白いと思います。

今日の量子コンピューターは、どの様な問題の解決を可能にしていますか?

典型的な例として、「巡回セールスマン問題」があります。これは、例えば宅配業者が、100個の荷物を届けた上で、その日の終わりまでに集積所に戻るとして、これを達成する道順には天文学的な数の選択肢があり得ます。ただ、最短の道順は、1つしか存在しません。こうした組み合わせの最適化に、量子コンピューターは非常に優れています。例えばここでは、荷物を配送するためにあり得る全ての道順の組み合わせから、最短距離のものを選び出すということです。

全ての組み合わせを評価し、その中から最適なものを選び出すというのは、通常のコンピューターにとっては過剰で膨大な作業なのです。もっとも、使い慣れることで、ある程度の時間内にそれなりに適切な解を得ることは可能です。ただ、その場合、時間を優先することで、解の正確性が犠牲にされていることを忘れてはなりません。新しい世代の量子コンピューターでは、特にこの辺の改良が成されていて、正確性の高い解を、場合によっては最適な解を、より短時間で得られる様になっています。

andrew fursman

「組み合わせ最適化」について、もう少し説明してください。

量子コンピューターにおける象徴的な機能です。例えば、部屋の中に10個の照明器具があって、それぞれにスイッチが付いているとします。この部屋を明るくする方法は、各々のスイッチが入っているか/いないかの組み合わせによって決まります。照明器具が10個なら、およそ1000通りの照明パターンがあり得ます。20個なら100万通り、30個なら10億通り、40個なら兆単位となります。照明器具が250個なら、その組み合わせパターンは観測可能な宇宙空間に存在する原子の数を超える域に達します。こうした膨大な選択肢の中から、制限があることを前提に、最適な組み合わせを選定しなくてはならないのです。そして、膨大な選択肢の中から最適なものを選び出すというのは、量子コンピューターが最も貢献できる分野なのです。

「量子コンピューター」という言葉が一般化する日は近い、とお考えですか?

量子コンピューターは、長い間に培われてきた概念です。ただ、ここ数年、技術的な快挙が続いたことで、実験的な段階から実用化に向けて大きく飛躍しました。もちろん、量子コンピューターが既存のコンピューターを凌駕する、ということではありません。実際には、量子コンピューターの分野における独自発展がここから始まるという、歴史的なタイミングを迎えているのだと思います。その意味で、私にはコンピューター業界の聡明期が思い起こされます。フェアチャイルド・セミコンダクターや、その後のインテルなど、初期の巨大企業が設立された時代です。コンピューター革命を語る上で最も刺激的な時代だったと私は考えています。量子コンピューティングも同様に、ファンダメンタルな技術革命なのです。新しい歴史が刻まれる場に遭遇することは稀だと思いますし、1Qbitがそうした変化の一翼を担っていることは、非常に光栄なことでもあると思っています。

Related Entries
CMEグループについて

CME Group
CME、CBOT、NYMEX、
COMEXから成り、世界を
先導する多彩な金融市場です。
グローバルおよび地域的経済・
金融に関するブログをお届け
します。CMEグループの日本語サイトはこちらをクリック。

CMEグループのリソース
CMEグループのツイッターで
@CMEGroupJapanをフォローください。
月次アーカイブ
検索
QRコード
QR
OpenMarketsについて
OpenMarketsは、CMEグループが発信するオンラインマガジンです。本ブログは、日本のトレーダー向けに、主に同マガジンから抜粋した記事を翻訳した
ものです。新たな商品紹介、
ケーススタディ、テクノロジー アップデート、今話題のトピックなど、デリバティブ産業への
従事にお役立てください。