Q&A: 銀市場の新たな指標価格

QandA A NEW PRICE FOR SILVER MARKETS

2015年9月16日|| EVAN PETERSON

銀市場は、1年前から大きな変化を遂げた。2014年8月は、スポット価格が20ドル近辺で推移し、下落局面の初期段階にあった。米連邦井準備理事会(FRB)の利上げ時期を巡る期待が浮上してから12ヶ月後、中国経済の減速とほぼ前例のない原油価格の下落ペースを背景に、銀は、5年超ぶりの安値水準まで下落し続けた。

2014年8月は、世界の銀のスポット価格指標の仕組みが117年ぶりに変更された時でもあり、CMEグループとトムソン・ロイターが貴金属のフィクシング(値決め)向けの初の電子プラットフォームを構築した。色々な意味で、変更のタイミングとしてこれ以上に良い時期はなかったであろう。この新たなプラットフォームの導入により、少数の銀行が毎日行っていた電話方式による価格設定が廃止され、日次の価格の値決めへの参加が増えて透明性の高いプロセスに移行した。スポット価格の値決めは現在、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)が知的所有権を保有するLBMA銀価格として知られている。

銀市場のボラティリティが高かったこの1年間を経て、どのように業界は新システムに移行したのか、そしてそうした移行は銀市場にとって良かったのか。こうした答えやその他の質問の答えを得るために、CMEグループの金属商品担当エグゼクティブ・ディレクターのHarriet Hunnableと、業界の有力支援団体であるシルバー・インスティテュートのエグゼクティブ・ディレクターであるMichael DiRienzo氏に話を伺った。

LBMA銀価格の仕組みが始まった運営の初年度において、どのような変化が生じましたか?

Harriet Hunnable(以下、HH):この主要ロンドン指標は変化しました。当社は、今回の移行を通じてロンドン市場に関わることができ、そして円滑な移行を果たせました。指名を受けてからプラットフォームを形成して、参加者と契約を結ぶまで5週間を切っていました。当社はその仕組みを管理し、参加者は今回の変更によりうまく対応してきました。今回、あまりに楽に移行できたように見えたのではと思うときもありますが、実際には極めて膨大な努力とリソースを伴うものでした。

今回の導入後、参加者は倍増しました。指標価格にとって、また世界の貴金属市場で役割を果たす立場にあるロンドンにとってもこれは極めて重要なことです。

ここ6ヶ月間において、指標価格は、英国規制当局の金融行動監視機構(FCA)から完全に規制を受ける体制に移行し、新規要件を設定されました。当社は、規制対象である指標価格の要件をすべて満たせるように英国規制当局、LBMA、トムソン・ロイター、市場参加者および業界と懸命に連携しました。

Michael DiRienzo氏(以下、MD):銀市場においてこれまでの過程だけではなく、市場の安定を果たせたことにとても満足しています。選抜に至るまで慌ただしいなかリーダーシップをとり、継続性を実現し銀のエンドユーザーが将来の契約を継続できたことについて、CMEグループとトムソン・ロイター、そしてLBMAにも多大なる感謝をしています。我々は、生産者、エンドユーザー、精錬業者を代表する団体であり、継続性を保てたことを非常に喜ばしく思っています。

わが団体の会員は、銀市場で取引するあらゆるプレイヤーが世界的に受け入れられ信頼に足る数値を求めていますし、それが初日に実現され起こったことでした。

当業者とノンバンクの参加も増えていますか?
HH:マイクは、指標がどのように形成されたかについて今しがた紹介されましたね。当業者が日々のビジネスに指標価格を使用しなければ、その指標価格の妥当性は損なわれてしまうでしょう。重要なことは、当業者が現物取引の価格設定の際に指標価格を確実に使用することなのです。さらに、直接か参加者を介してかを問わず、プラットフォームに発注でき、当業者がその機能の仕方に満足できるように保証することなのです。

銀行のみならず、当業者、三井物産が当プロセスへの移行のまさに開始時に参加していただいたことを大変喜んでおります。その他の当業者数社も関心を示しています。重要な点は、当業者が指標価格でビジネスを遂行し続けられるかなのです。

また、新たな仕組みは電子式になりますね。このプロセスにおいてどのような違いがあるのでしょうか?
HH:
この銀の指標価格は、監査証跡も記録もなく、問い合わせ不可であった電話方式を価格設定に用いていました。我々は、参加者が注文を出せて、監査証跡のログが記録されてルールと手法が存在する中央プラットフォームが果たす機能にすぐに移行しました。

7月に、これは完全な自動プロセスになりました。あらゆる貴金属の価格の仕組みにおいて、完全な自動システムになっているには銀のみです。状況を評価するためにデータで振り返ることができますし、アルゴリズムがうまく機能しているか、市場がそれにうまく適応しているかを見ることもできます。

MD:従来のロンドンの値決め方式からの移行を発表した日に主に懸念していたことは、合意できるグローバルな市場価格への円滑な移行を果たせるか、ということでした。我々の見地からすると、それが達成されたばかりか向上し続けて、引き続きそのプロセスにより多くの参加者が関与しているように見えます。

透明性の向上は、新しい仕組みのセールスポイントですね。価格設定プロセスにおいて、この仕組みが透明性をどう向上させたのでしょうか?
HH:
以前は、単に最終価格が公表されるだけでした。現在は、価格の形成状況、オークションで入力された取引数量、その価格で取引された最終出来高をリアルタイムで見ることができます。誰もが何が指標価格で起きているかを洞察できるのです。これは極めて大きな変化です。人々が価格に確信を持てる指標には、これが重要なことです。相当数の参加者が参加しており、本格的な注文が入り、データを分析できることが理解されれば、その価格の有効性に対する信頼感がかなり強まるでしょう。

MD:その場に発見があります。透明性に関して必要なことがすべてその場にあるのです。当団体に懸念を訴えた企業は1社もありません。新たな価格の枠組みへの移行は、ある実体からもう一つへとシームレスに実現されました。価格を求める企業は、価格を確認することができるのです。

今夏は、フェデラルファンド金利の利上げの可能性から中国の人民元切り下げなど銀市場に潜在的な影響を与える材料があふれていました。これらのイベントは銀取引にどのような影響を与えていますか?
HH:銀取引の売買、銀への投資、工業用用途についても、銀の見通しは良好だと思います。バークレイズは最近、金融危機後に中国が輸入を目指した商品に関するレポートを公表し、銀がそのうちの1つに入っていました。これは、クリーンエネルギーについて、特に銀の工業用途によってけん引されている需要です。

また、個人投資家の取引においても銀が重要な場所となっていることにも気付いています。マクロの見通しに懸念を抱いている、または貴金属の保有を望む投資家にとって、銀は、アジアと欧米の両方で商品が活発に取引される商品です。金よりも取引の自由度が高い貴金属です。世界の銀取引は制約がより少なく、それが過小評価されている銀と金との間に存在する重要な違いだと考えています。

MD:2015年上半期には、宝飾品も工業用途も需要の高まりをみせていますし、貴金属全体において最も用途の広いとみなしている銀にとって、これは需要の伸びを示す2つのかなり強力なシグナルです。

トムソン・ロイターGFMSは、2015年について世界の宝飾品向けの銀が5%、工業用の銀需要が2%それぞれ増加すると予想しています。2015年に銀市場では、6,000万オンスの供給不足に陥ると思われます。供給が縮小し需要が伸びれば、これは、地上の在庫を圧縮して対応せざるを得ません。これは銀にとって非常に説得力のあるストーリーの一部で、需給状況は堅調です。

銀相場は8月終盤の安値からわずかに戻しましたが、それでも1年前のレンジをかなり下回っています。需給が変化しつつあるのですか、それとも現在の変動の激しい環境が続くのでしょうか?
HH:市場で米国の金利に対する懸念がかなり強まっていた局面から、中国の成長減速と原油安に注目が集まる局面に移行しました。鉱山会社やその他は、概ねそれらの2つの要因をベースに価格の見通しを変えました。

下落基調をたどる原油は、商品全体に影響を与えています。銀は、工業用金属であり、そのため需給が金よりも重要になってきますが、その多くの生産は他の金属の副産物であるため、生産が影響をもたしていると思われる現在よりも価格が低い水準にとどまる可能性もあります。

MD:全体的に今見てきたことは、銀に対するかなり説得力のある説明です。銀は、工業用途としても投資先としても重要視されている二面性を有する金属です。LBMA銀価格は、極めて厳しい局面になりかねない状況に安定性を提供するのに大きな役割を果たしています。

さらに読む:カー・マイニング社:新たなLBMA銀価格設定プロセス
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