オプションが家畜市場をどう変えたか

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2015年7月29日 || DEBBIE CARLSON

家畜を飼育する農場は、最大限にリスクを緩和しようと全力を尽くしているが、時にはそうした管理が台無しになってしまう出来事が起こる。ここ数年間に発生した出来事とは、2011年と2012年の日照りにより、生体牛の飼育農場は生産減と在庫圧縮で対処する羽目になり、エタノール生産の拡大を背景に、トウモロコシを巡り生産者とバイオ燃料業界で競り合いが生じ投入価格が上昇したといったことである。

一方、2013年と2014年に発生した豚流行性下痢ウイルスの大流行は、豚赤身肉の生産者にひどい打撃を与えた。これは生体牛と豚赤身肉の価格が上下に大きく振れる展開を招き、よって慎重なリスク管理の必要性が浮かび上がった。つい最近の2015年2月、CMEグループのデータが示すように、豚赤身肉の価格変動率が記録的な42.5%へと上昇したのはその一例である。

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高まる勢い
先物市場は前々から、生産者にとってリスクを緩和するための一つの手段であるが、家畜オプションはここ数年間に出来高と取組高が急増している。これは、リスク緩和と生産のヘッジのための証拠金コスト節減を目的に、これらの手段を利用する生産者が増えていることによる。

家畜オプションは、80年代から存在しているとはいえ、これらの手段を巡る知識と教育が功を奏して出来高が伸びている。こうした動向は、テクノロジーの進化だけではなく電子取引の出来高の増加にも一致している。CME Directなどのフロントエンドの電子取引プラットフォームにより、ユーザーフレンドリーな方法によるクオート要求(RFQ)を使用した複数のレグのオプションのスプレッド取引が促される可能性があろう。2014年の生体牛オプションの出来高合計は、2008年と比べて309%増加した。2015年は、6月までで既に2008年通年を78%上回っている。

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エクスプレス・マーケッツのバイス・プレジデント兼豚肉担当アナリストであり、長年家畜のエコノミストでもあるスティーブ・マイヤー氏は、近年の出来事を背景に多くの独立系生産者がリスク管理にオプションを駆使する動きを活発化させていると語った。

「オプションが有用なのは、生産者が将来に行動を起こす義務がない権利を持てることである。プットオプションを購入したらその価格の下限が確定され、一方でコールオプションを購入すれば価格の上限が決まる。コールオプションを購入すれば家畜の飼育場のコストの上限を設定することができるし、プットオプションを購入すれば生体牛と豚赤身肉の売却価格の下限を決められる」、とマイヤー氏は説明した。

生体牛取引会社であるアルカディア・アセット・マネジメントのポートフォリオ・マネージャー、ジョーダン・レビ氏は、相場の変動が大きくなっているため、会社はオプションと通常の先物を駆使して現物のオペレーションを管理する方法を覚えたと述べている。

レビ氏は、ベーシスが拡大する局面では通常はプット買いを行う傾向にあると述べた。プット買いは、下限を確定するのに役立ち、先物取引の売りとは異なり、このシンプルな戦略を執行するのに取引所の証拠金がより少なくて済む。

メイヤー氏は、「日常のキャッシュフローの必要額を管理するのにも役立っている。通常のオプション買い戦略によって最終的に、リスク管理にどのぐらいの資金が必要なのかが定まる。現金をより効果的に管理できる」と語った。

「プットやコールを買う場合、オプションの価値は原先物によって変化するため、買い手は利益を上げるために先物取引を執行する必要はない」とも指摘している。

「メリットはオプションの価格である。それがオプションの長所だ。オプション保有者は、利益を得るために受渡しの価格よりも高めの価格でオプションを売却すればいいだけだ」と、同氏は説明した。

生体牛市場の50年 を読む。

証拠金の節減
農業生産者に証拠金管理サービスを提供するコンサルティング会社、CIHの教育・リサーチ担当バイス・プレジデントのチップ・ウォーレン氏によると、オプションは、現物市場のポジションの補完に用いることできるという。「合成の組み合わせポジションを作って、オプション戦略を現物契約に併用すれば、証拠金の効率性を実現可能だ」と、同氏は述べている。

ウォーレン氏は以下のように述べている。「コールスプレッドやプットスプレッド、カバード・コールスプレッドなどの戦略は、限られたコストで現物市場の現物取引を補完でき、証拠金の効率が良いポジションの事例である」

同氏は、コールスプレッドの取引例を示した。生産者が12月受渡しでcwt(ハンドレッドウェイト)当たり64ドルで豚赤身肉を精肉業者に販売するが、価格が値上がりするかもしれないとまだ考えている。そして、生産者の証券会社の口座で、64ドルのコール買いと74ドルのコール売りを3.40ドルで購入できる。

「生産者は、売却後に正味価格3.50ドルで実際の価格を10ドル上回る高い価格で取引を行える。効率性を実現するには、現物市場を利用してポジションを構築し、維持証拠金率が不要なオプションを組み合わせて使えば効率性を実現できる」と、同氏は指摘する。

生産者を守る
最終的に、オプションに向かうトレンドで最も恩恵を受けるのは、生体牛の生産者かもしれない。3万頭を抱えるフィードヤードであるテキサスのグレート・プレーンズ・キャトル・フィーダーズにおいては、オプションは、リスク管理手法のカギを握る部分になっている。

「当社と共に生体牛を飼育する生産者は大勢いる。生産者は、収支トントンには興味がなく、生体牛で利益を挙げたいと考えている。こうした生産者に多少の上値の余地を与えるために、オプションを使用している」と、グレート・プレーンズの社長、シェルビー・ホーン氏は述べている。

ホーン氏は、こう説明している。「オプションは価格の下限を設定するのに良い方法であるものの、従来のヘッジ・プログラムを開始する前でも、価値が上昇すれば多少の上昇の余地があった」

「飼育場の仔牛をヘッジしようとする場合、オプションを使うことができれば仔牛の価格設定により柔軟性をもたせられる。天候がどうなるかがわからないことが多々ある。この先日照りになると考えているのならば、仔牛のフォワード取引に少々懐疑的になり、確定した受渡し日までに一定の体重になるように期待して用意を整える。オプションを使用すれば飼育場にいる仔牛に対して多少の価格保護が可能となり、それをかなり前もって行うことができる」



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