深層学習は未来を創る

Deep Learning

2015年7月9日 || OPENMARKETS

CMEグループは、サンディエゴのスタートアップ企業であるネヴァーナ・システムズの2,050万ドルの資金調達ラウンドに参加した企業の1つである。ネヴァーナは、深層学習(ディープ・ラーニング)として知られる生物学からインスピレーションを得た人口知能を専門とする会社である。この技術は神経科学に基づいてアルゴリズム・モデルを使用して、巨大なデータセットからの表現を学習する。この技術は現在、音声コマンドや顔認証機能に利用されているが、ネヴァーナ・システムズのCEOであるナヴィーン・ラオは、金融サービス、農業および医療診断を含めた幅広い業界での応用を期待している。

ラオはコンピュータ・エンジニアとしてキャリアを開始し、コンピュータを使った神経科学で博士号を取得し、クアルコムの神経形態学的設計調査グループで働いた後、2014年にネヴァーナ・システムズを設立した。 ベンチャービートによると、同社は現在までに、2,440万ドルの資金を調達した。またネヴァーナ・システムズは最近、オープンソース・ライセンスで、ネオンという深層学習ソフトウェアを発売した。ネヴァーナ・システムズおよび世界経済における深層学習の位置付けについてより詳しく知るために、CMEではラオにインタビューを行った。本レポートは、そのときの会話を編集したものである。

現在はほとんどの人が、データが全てに影響するという考えに馴染んでいます。深層学習とは何ですか、またそれはどの様に異なりますか
深層学習は、機械学習の問題に対するニューラルネットワークを使ったアプローチの最新版といえます。基本的に当社では、ニューロンがどのように機能し、またニューロンがどのように情報を処理しているといわれているかについて極めて高水準の抽象的概念を得ており、そこから数学的なモデルを構築しようとしています。これは新しいフィールドではありません。こういった努力は、ニューロンでどのように情報が伝達されるのかが発見された1950年代から続いています。

深層学習は、ニューラルネットワークが情報をどのように表し、データ内の構造を実際に発見するのかということを学ぶ、進化的なプロセスの最終プロセスなのです。

深層学習へのアクセスを高めるために、ネヴァーナは何を行っていますか
深層学習に関する問題の1つとして、深層学習には実際のデータ問題上で機能させるのが難しい多くの側面が存在するということがあります。当社では、これを取り囲むソフトウェアの階層をひとまとめにしてこれを極めて簡単にして、誰もが安全にその問題スペースを俎上に載せられるようにしようとしています。

もう1つ、深層学習は基本的に多くのコンピュータ資源を必要としますが、こういった新しいコンピュータ資源を保有している人は実際にはいません。現在はグーグル、フェイスブック、そしてマイクロソフトの世界が支配していますが、当社ではこういった能力を他の全ての人にもたらしたいと考えています。

naveen rao
ナヴィーン・ラオ - 2014年にネヴァーナ・システムズを共同で設立

深層学習は近い将来どの業界で最も影響を及ぼすでしょうか
今後5年から10年の間に、機械学習の技術により世界の姿は大きく変わっていくでしょう。しかし、これから初期段階で重要になっていくと私が考える分野の1つが金融です。金融サービス会社は規制の実施に大きな関心を持っており、また当社は複数の側面からこれにアプローチしています。
その他の面としては農業があります。農業は、当社がこの極めて古い問題に技術を突然適用するようになった転換点と言える分野です。世界に食糧を届ける必要があり、当社はそのためにこの技術を使った新たな方法を見つけ出そうと努力しています。

私の家族は全員医者であることから、医療診断は私が個人的に興味を持っている分野です。レントゲンの読像に優れた医師をどこかに抱える代わりに標準化が可能である問題に取り組みことに、非常に興味を持っています。正面から取り組まなければ、最善の結果は得られません。診断のためには標準化して、アルゴリズムに組み込む必要があります。細胞がいつガン化するか否かの規準が得られるようになり、これを標準化して暗号化してアルゴリズムにすれば、意見ではなく完全で信頼のおける診断となります。

この種のアルゴリズムが既に実現しているのはどの分野ですか
Windows Phone、Android phone、またはiPhone、すべてのスマートフォンがそうです。音声による個人アシスタントでは、深層学習を使って利用者の声を解読します。こういった機器が現在有用となってきているのは、深層学習のおかげです。

音声認識は長い間使われてきましたが、わずか5年前までは役に立ちませんでした。あまりにも間違いが多いので、有用と判断する基準を超えられなかったのです。しかし現在、携帯電話に話しかけて質問をすると、ほとんどの場合正しい反応が得られます。

スマートマシンが今後どのようになっていくのか、一部の人々は恐れも感じています。人工知能に脅威を感じるのは誤った概念なのでしょうか、それとも脅威なのでしょうか
現在は脅威を感じるような段階には遙かに達していません。絶対に起こりえないとは言えないと思いますが、現時点では、そこに話を結びつけるのは良くないと思います。当社が現在構築しているのはよりよいツールであり、人間が何百トンものゴミを運べないがそれを片付けるのにブルドーザーを作り出して何百トンものゴミを片付けられると同じように、人間の能力を拡張するものです。

同様に、1,000万枚の写真を数秒でふるい分け、そこに何が含まれているのか実際に明らかにするアルゴリズムを作ることはできますが、これは個人としては行うことはできません。これは私の心の中ではツール以上のものであり、様々な方法で人生を実際によりよくするものだと考えています。

深層学習の経済的影響が最も大きいのはどの分野だと思いますか
これは産業革命の時と同じようなものです。産業革命では農業や他の産業の機械化が起こりましたが、トラクターその他の機械的手段により混乱が生じました。また労働市場は、現在日常的と考えられるが他に方法がない作業から人間を解放しつつあります。例えば、机の上に何百ものローン契約があり、文字通りリスクの計算を行う必要がある人といった例が挙げられます。単純な問題のように見えますが、これを何百もの様々に異なる契約に拡大していけば、こういった作業を行う人が多く必要であり、また時間もかかります。これは、単純にアルゴリズムを構築できるものです。これは標準化が可能で、完璧に機能し、1年ではなく数分で行うことができるようになります。

ネヴァーナの設立をどの様に決断しましたか
2007年に、私はコンピュータ・エンジニアとしての仕事を辞め、学校に戻り、コンピュータによる神経科学の博士号を取得しました。これは、実際にコンピュータの使用が生物学の文脈からどんな意味を持つのか理解するためでした。視覚データを見てそれを音声や臭気や触感といった全てと統合し、その全てを結合力のある世界にまとめ上げること、これが人間の脳が行っていることです。そしてこれこそが、当社が巨大なデータセットに対してやりたいことなのです。

私は実際に、クアルコムの神経形態学的設計調査グループで働いていました。神経形態学的設計は基本的には、低レベルつまり回路レベルで生物学からヒントを得て、そこから合成機械を作り出そうとしています。これは調査プロジェクト以上のもので、私はここで、私の製品を使う可能性がある潜在的な顧客に話をし始め、また深層学習への増え続ける需要を見つけました。

現在データがあり、深層学習というコンピュータを使った技術があり、そして市場ニーズもあります。膨大な数のデータがあり、それを理解する必要があります。企業はデータの中に洞察を見いだす必要があります。こういった要素すべてが絡まって、ネヴァーナの設立に至ったのです。

ネヴァーナにとって次のステップは何ですか
今回のラウンドを終了するに当たって、当社は開発プロセスを継続するための資金が得られました。当社はかなりの人数の雇用を続けています。当社ではまもなく、誰もがアクセスできるようなクラウドサービスを立ち上げる予定です。これは、実際にこの最高技術水準のパフォーマンスと能力を、お金を支払う意志がある人には誰でも小規模で提供しようというものです。

単に現在のアーキテクチャでは不可能なため誰もが試すことさえもしたことのないある種の技術やモデルが存在することから、当社ではこのサービスに大いに期待しています。例えば、ある特定のアルゴリズムを巨大なデータセット上で仕込むのに1年かかるとすれば、誰もやりたがりません。しかし当社はこういった1年かかるであろうものを、文字通り1日あるいは数時間で行うことができます。新たな可能性の一群が幕開けするのです。これからこの分野での1年半は、当社にとって極めて活気に満ちた時期となるでしょう。


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