原油輸出を解禁した場合

A Case for Crude Oil Exports

2015年7月9日 || EVAN PETERSON

米国におけるエネルギー技術の向上と原油生産の大幅な伸びを背景に、米国では40年以上続いている原油輸出禁止措置を解除すべきか否かを巡る論争が再び浮上して活気づいている。これこそが7月8日に開催した米下院農業委員会の公聴会にて議論され、公聴会で証言したCMEグループのテリー・ダフィー執行役会長兼社長がCNBCの論説(op-ed)に執筆した話である。ダフィー執行役会長兼社長は、1973年の中東の産油国による輸出禁止に対抗して制定されたこの原油輸出禁止措置が、掲げられた目的を果たされなかったと記載している。

利己的な政略で好ましくない政策であるは明らかだ。米国を激しい価格変動から守り、他国からの原油輸入の依存度を抑える代わりに、この人為的な障壁は実際に、ノースダコタ州やテキサス州のような地域でシェールオイルを豊富に埋蔵する油田から原油を採掘する生産者に打撃を与えている。米国産原油と世界市場が分断されているために価格に歪みが生じ、投資の意思決定がゆがめられ、意図された合意とは全く逆に、海外の生産者が優位な立場になっている。

分断された米国産原油は、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されるウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)、つまり北米産原油の指標価格であり、また北海ブレントと共に世界の2大価格指標の一つである。ダフィー執行役会長兼社長は、今回の証言と論説において、米国は既に世界の指標価格を決定できる極めて高度な金融市場となっているため、禁止措置を解除すれば、米国が世界の原油取引の中心的な立場になれるだろうと主張していた。「議会は、原油輸出禁止措置を解除し、エネルギー政策を現在の市場動向に合わせるべきである」とも書いている。

輸出禁止策の廃止の要請は、米国の原油生産量が前例のない規模に達した時期に生じた。エネルギー情報管理局(EIA)は、2016年に 米国の産出量が日量920万 バレルに達すると予想しており、米国はロシア、サウジアラビアに次ぐ世界第3位の産出国である。

また、上院と下院では、輸出禁止の解禁に向けた法案が提出されて審議されている。 主要な法案 は、リサ・マコウスキー上院議員(共和党・アラスカ州)が提出したものであり、一方で下院農業委員会のマイク・コナウェイ委員長(共和党・テキサス州)とヘンリー・クエラー議員(民主党・テキサス州)は類似法案を提出した。

米国産原油が市場動向によって調整されることに加え、賛成派と研究者が輸出禁止措置の解除で米国が恩恵を享受すると主張するその他の主な理由は以下の通りである。

雇用増加: エネルギー・コンサルタント会社のHISは、禁止措置が解除された場合、2016~2030年までに 米国で雇用が年間約12万4,000人創出 されると示唆している。

ガソリン価格の低下: 輸出が解禁されれば世界の原油価格が押し上げられ、その結果国内のガソリン価格が下がる可能性があると、賛成派は指摘している。下院の農業委員会の場において、Continental Energy社の創業者Harold Hamm氏は、輸出禁止措置を「現在の米国経済に実害をもたらしているニクソン時代のひどい遺品と呼び、国内のガソリン価格とディーゼル油価格があるべき姿よりも押し上げられている」と発言した。Hamm氏が寄稿した禁止措置解除の緊急性に関する 最近のWall Street Journalの論説 を参照。

国内のエネルギー生産の拡大: 会計検査院の調査 は、2030年までに生産量が日量13万~330万バレル増加するとの見通しを示した。また、同報告書には、禁止措置の解除により、米国経済は拡大する見込みであると記載されている。

通商政策の向上: 米国は既に、精製ガソリンと精製品を含む農作物とエネルギー源を輸出している。 外交問題評議会のまとめた報告書 は、輸出を解禁すれば、2017年までに経済成長が年間150億ドル押し上げられ、原油輸出国になれば、その他の通商問題において自国の立場を強められることを示唆した。

詳しくは、原油輸出禁止措置に関する公聴会に関しては ここここ、そしてテリー・ダフィー執行役会長兼社長の証言については ここを参照してください。



Related Entries
CMEグループについて

CME Group
CME、CBOT、NYMEX、
COMEXから成り、世界を
先導する多彩な金融市場です。
グローバルおよび地域的経済・
金融に関するブログをお届け
します。CMEグループの日本語サイトはこちらをクリック。

CMEグループのリソース
CMEグループのツイッターで
@CMEGroupJapanをフォローください。
月次アーカイブ
検索
QRコード
QR
OpenMarketsについて
OpenMarketsは、CMEグループが発信するオンラインマガジンです。本ブログは、日本のトレーダー向けに、主に同マガジンから抜粋した記事を翻訳した
ものです。新たな商品紹介、
ケーススタディ、テクノロジー アップデート、今話題のトピックなど、デリバティブ産業への
従事にお役立てください。