なぜパーム油がブームになっているのか?

WHY IT’S A BOOM TIME FOR PALM OIL INTERVIEW WITH CHONG KIM SENG

2015年3月2日 || OPENMARKETS

マレーシアは、世界で最も多く消費されている食用油「パーム油」の最大の輸出国であり、その取引においても当然のように中心的な役割を担っている。しかし、金融化が一層進む今日の商品市場で、マレーシアがこの優位な地位を維持し続けていることは、ブルサ・マレーシア・デリバティブ(BMD)のたゆまぬ努力の成果といえる。近年、同社は取扱商品の拡充や国外取引の強化、粗パーム油先物取引の世界的ベンチマーク化など、積極的な拡大戦略をとってきた。

BMDは拡大戦略の一環として、同社の25%の株式を保有するパートナー企業、CMEグループと業務提携を結び、デリバティブの新商品をより多くの海外顧客に提供できるようにした。

同社はまた、今年のパーム油/ラウリン系油脂 価格展望会議・展示会 2015(POC2015)にも参加する。 これは、マレーシアのクアラルンプールで毎年開催されているパーム油業界の一大イベントだ。 最近のジェットコースターのような価格変動や出来高の増加を受けて、パーム油業界への関心はかつてないほど高まっている。

2014年には、28%増の出来高となった粗パーム油先物取引に牽引され、BMDのデリバティブ市場全体では17%増の出来高を記録した。ブルサ・マレーシア・デリバティブ(BMD)の将来的な見通しや急速に発展しているパーム油の情勢を理解するために、同取引所のチョン・キムセン最高経営責任者(CEO)に詳細を聞いた。

この一年間、パーム油のボラティリティは非常に高くなっています。天候によって上昇するボラティリティは、御社の商品への需要をどのように高めていますか? また、それに対してどのように考えていらっしゃいますか?

昨年来の市場のボラティリティは、今年もまだ続いています。欧州中央銀行が直近に発表した量的緩和政策やスイス・フランの騒動、そして緊縮財政の緩和につながるギリシャ選挙といったマーケットイベントは、世界経済に大きな影響を与えます。パーム油市場も、その影響を避けることはできません。

価格が下落した石油市場や、最近マレーシアで発生した大規模な洪水の影響で、粗パーム油先物も高いボラティリティに直面しています。また、マレーシア通貨のリンギットが急落したことで、市場にさらなる不確実性とボラティリティが生じました。

こうして高まったボラティリティは、私たちの市場で取引することのメリットを生みました。なぜなら、企業はより多くのヘッジを必要とし、より適切に収支とリスクを管理する必要があったからです。この傾向は今年も継続していて、今後は市場のボラティリティがさらに高まることも考えられますので、出来高はより一層増加すると予想しております。

BMDが2014年に記録した出来高の増加は印象的でした。BMDの粗パーム油先物取引(FCPO)におけるCMEグループとの初めての共同イニシアティブについて、成果をどのように評価されていますか?

2014年の成長は確かに印象的でした。当社がCMEとの共同事業を始めた2009年の時点では、FCPOは約200万枚の出来高、または重量ベースで5,000万トンの取引量がありました。これが2014年には1,000万枚を超える出来高となり、重量ベースでは2億5,500万トンの取引量となりました。

現在、FCPOはマレーシア国内のパーム油生産量1,900万トンに対して13倍、世界全体のパーム油生産量5,000万トンに対しては5倍の取引高があります。2015年の年初来出来高は現時点で20%増となっており、取引の増加傾向は今年も続いています。このペースが続けば、今年は3億1,000万トン以上のFCPOが取引されることになるでしょう。

石油関連の商品が劇的に投げ売りされたことが、現在の市場では注目の的になっています。このことがパーム油市場に影響し、成長を鈍化させるという予想はありますか?

パーム油は現在、世界各国で食料と燃料の用途で消費されています。食料としてのパーム油は、今後強固な需要のベースとなり、長期的に安定した需要を維持するでしょう。石油市場は目に見えてパーム油価格に影響を与えていますし、その影響はより大きくなっています。石油商品の劇的な投げ売りによって、パーム油の相場も下落しました。マレーシアで発生した深刻な洪水は、短期の供給を脅かし、在庫を減少させました。あの洪水がなければ、パーム油の相場はさらに大きく下落したかもしれません。

一方、最近の商品価格の下落を受けて、中国が商品在庫の積み増しに再び関心を持っていると報告されています。これによって、需要と供給のバランスが再び変わるかもしれません。短期的な市場の変動性に関わらず、パーム油産業の長期的な成長に対して私たちは非常にポジティブな見通しを持っています。

御社は2010年から、CMEグループのGlobexに商品を上場しています。これは御社にどのようなメリットをもたらしましたか? また、顧客層や取引の種類にどのような変化がありましたか?

現在では、海外の取引参加者による出来高が全体の40%を占めています。CME Globexに上場する前は、海外の参加者の割合は27%でした。CME Globexのプラットフォームは、私たちの商品を国際化する上で大きな助けとなりました。また、ヘッジファンド、自己勘定取引業者、アルゴリズム・トレーダーなど、金融市場のコミュニティからも海外の取引参加者が加わりました。 加えて、市場間の裁定取引やスプレッド取引を行う参加者からも関心を持っていただけました。今後、市場を継続的に構築していくことで、より多くの裁定取引やスプレッド取引が行われるようになると予想しています。近々、中国が商品先物市場を海外投資家に開放するという報告もあり、これも市場間取引の拡大に結びつくと考えられます。

BMDは昨年6月、パーム・オレイン(主に調理油として使用されるパーム油)の先物取引を新たに上場しました。この商品の取引実績、および既存のパーム油商品との比較について、近況を教えていただけますか?

パーム・オレイン先物取引(FPOL)を昨年6月に開始したことを、私たちは嬉しく思います。この取引は粗パーム油先物取引(FCPO)を補完し、市場参加者は複数のパーム油商品の中から取引を行えるようになります。パーム・オレインやパーム・ステアリンは、粗パーム油の精製によって生み出される商品です。FPOLを用いれば、ポジションのヘッジに加えて、精製コストの変動リスクに対する管理も改善できます。

東南アジアの生産拠点から中国の消費者市場への商品輸送は、中国のパーム・オレイン在庫が増加したことにより、昨年の大半の期間で減少しました。しかし、中国における在庫の過剰状態は少しずつ薄れてきています。商品の輸送経済が正常化すれば、FPOLとFCPO、さらには大連商品交易所(DCE)のパーム・オレイン先物取引との潜在的な相互作用について、市場参加者がより好意的に捉えるようになると私たちは確信しています。

BMDは1月22日に、米国商品先物取引委員会(CFTC)から、FBOT(Foreign Board of Trade/海外取引所)の登録承認を得ています。この承認によって、御社のターゲット客層はどのようになりますか?

私たちのターゲット客層は、米国内に拠点を置く商品取引アドバイザー(CTA)、ヘッジファンド、大口トレーダー、そして国際的な食用オイル取引に積極的に従事している商社です。商品取引アドバイザーは、管理されたファンド・マネージャーが対象で、商品ポートフォリオに新しい商品を追加しようと検討している方々がターゲット客層になります。

原油と大豆油の商品間で取引を行うファンド・マネージャーは、同時にパーム油も取引することで、多くの裁定取引の機会を得られます。なぜなら、原油商品と大豆油商品は、ともにパーム油との相関性が高いからです。パーム油が国際的な商品になれば、こうした裁定取引の機会とともに、米国外の関心も高まると予想しています。

このように、先般のCFTCからの市場参入承認によって、米国市場でBMDのパーム油商品を取引したいという関心がより高まるでしょう。

御社のどの商品が米国の顧客を惹きつけると考えていらっしゃいますか?

パーム油の国際的な価格指標にもなっている粗パーム油(FCPO)が、主要な注目商品となるでしょう。食用オイルの商品に慣れ親しんでいる米国内の大豆油トレーダーは、パーム油との強い相関性に目をつけると思います。

他に注目を集めそうなのは、FTSEクアラルンプール株価指数先物(FKLI)です。FKLIは、高度な発展を遂げているマレーシア市場に迅速かつ容易にアクセスし、リスクを管理することができる商品です。

今回の一連の商品拡充が終わった後、BMDの次の一手はどのようなものになりますか?当面は既存商品を強化する予定でしょうか? それとも私たちは新たなイニシアティブに期待すべきでしょうか?

当社は、2013年10月にBMD金先物(FGLD)の取引を開始しました。2014年6月にはパーム・オレイン先物(FGLD)の取引を開始し、同年12月には5年物マレーシア国債先物(FMG5)の取引を始めました。すでに多くの商品が稼働していますので、これらの商品の流動性を確保することに力を注いでいく考えです。

取扱商品を追加するプランもありますが、それは適切な時期に戦略的な決定によって行われるでしょう。当面の間は、既存商品の強化を続けたいと思います。



Related Entries
CMEグループについて

CME Group
CME、CBOT、NYMEX、
COMEXから成り、世界を
先導する多彩な金融市場です。
グローバルおよび地域的経済・
金融に関するブログをお届け
します。CMEグループの日本語サイトはこちらをクリック。

CMEグループのリソース
CMEグループのツイッターで
@CMEGroupJapanをフォローください。
月次アーカイブ
検索
QRコード
QR
OpenMarketsについて
OpenMarketsは、CMEグループが発信するオンラインマガジンです。本ブログは、日本のトレーダー向けに、主に同マガジンから抜粋した記事を翻訳した
ものです。新たな商品紹介、
ケーススタディ、テクノロジー アップデート、今話題のトピックなど、デリバティブ産業への
従事にお役立てください。