石油価格:想定外な下落の理由

WHY THE SPECTACULAR FALL IN OIL PRICES

2014年12月5日 || BLU PUTNAM

力強い原動力が石油や天然ガス市場に世界的規模で影響を与えている。現在の原油価格下落の勢いは、いくつかの短期的な考察を引き金に、長期的な要因が集中したことによって発生している。

米国とカナダのエネルギー生産ブームの始まりは2006年から2007年に遡り、以来その勢いは続いている。供給は伸び続けるも、中国や他の新興国市場からの継続的で強力な需要や、後にはリビアやシリア、イランなどにおける地政学的緊張の高まりなどにより相当規模で相殺され、価格下落圧力を覆い隠すことになった。しかし、ここ数年は中国の成長率は実質的に減速し、他の多くの新興国市場でも経済成長は鈍化、元より欧州では経済の停滞がブレーキになっている。

OIL graph

北米産原油の急成長 と世界的需要を左右する要素の縮小化により石油価格低下の条件は整ったが、カタリストは別のところから訪れた。中東における展開が不安視されたが、石油生産は復活し稼働した(リビア、イラク)か、または深刻な打撃を受けていないことが明らかになると、リテールセクターは元より年金や基金といった多くの長期的投資家が上昇する株式市場に資産配分を移動させ、世界のエネルギー価格に対する肯定的な見方とインデックス連動して強気を指向する上場投資信託(ETF)や上場投資証券(ETN)などのエネルギーファンドから引き揚げた。

最近の石油価格の下落 は実に想定外である。そこで、石油価格の下落を条件に、供給は調整されると仮定して議論する。実際に、経済成長ありきの需要の傾向と実際の生産傾向の不整合だけに注目すれば、価格の低下に応じていずれ生産は削減され、現在の下落の勢いは止まると主張したくなるだろう。この見方には価格の上昇と下落の両方向にリスクがある。

  ・ 第一に、資産配分の移動が相当額生じるときは、投資家行動を考慮しない供給と需要による仮想価格を超えて、市場が大きく変動する公算が高い。
  ・ 第二に、石油生産は短期的な価格変動に反応しない傾向がある。石油生産コストの相当部分は資本投資の段階で費やされており、こうしたコストは(経済的観点からは)適当ではないが、さらなる石油生産で認識される限界費用の一部に含まれることがよくある。実際に、生産の原動力は非常に複雑であり、実際の限界費用は見かけよりずっと低く、短期的な生産削減はほとんど見込めない。
  ・ 第三に、一方で、現在の中東(およびロシア)の状況は、これらの地域の緊張は高まるものの石油生産は高位にとどまるという相対的に悪くないが不満も聞かれる方向で一致している。発生の可能性は低いが強い衝撃を与えかねない不意の石油サプライショックの可能性を忘れてはならない。

我々の観測では、現在の石油価格下落は、供給による要因が約70パーセントを占め、需要による要因はわずか30パーセントである。また、少なくとも短期的には、価格下落による生産への影響は、仮にあるとしても大きくないと見ている。 つまり、油井は掘削されておりインフラ設備は存在しているため、供給は引き続き拡大するだろう。そして、さらなる石油生産の限界費用は会計上かなり誇張され、我々の見解では、本来の非常に低いコストと生産を継続する上で強い動機づけとなるキャッシュフローを大きく上回る。さらに、年金から基金やリテールセクターに至るまで、昔から強気指向の投資家グループの役割は、資産配分をエネルギーインデックスファンドから移動させ債券や株式へ振り替えるプロセスを完了していないと我々は感じている。したがって、大きな供給混乱がなければ、市場では一層の価格下落圧力が生じるだろう。



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