為替市場のボラティリティと中央銀行の金融政策乖離

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2014年11月21日 || BLU PUTNAM

CMEグループが主催したグローバル・フィナンシャル・リーダーシップ会議(GFLC)の中で、サルコジ前フランス大統領、バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長、キング前イングランド銀行(英中央銀行)総裁が11月17日のプログラムに参加し、中央銀行の金融政策が乖離している現状について広範な議論を行った。会合はオフレコで行われたが、主要中央銀行が金融政策において異なる道を歩み出したことにより、外国為替市場で新しいパターンが形成されているのは明白だ。

私たちが見るところでは、2008年に発生した金融危機のパニックはあまりに深刻かつ唐突であったため、各国の中央銀行家は不意を突かれてしまった。彼らは直ちに短期金利をゼロ近くまで下げ、金融システムに流動性を提供するための緊急融資や資産購入を行った。FRB、欧州中央銀行、そして日本銀行が足並みを揃え、一斉にゼロ金利政策を採用し、ともに景気後退と戦った。あれから6年が経ち、現在は顕著な違いが生まれている。米国ではピーク時に10%まで上昇した失業率が現在は6%以下まで下がり、毎月20万人以上の新規雇用が創出されている。欧州経済は停滞気味だ。日本は実質GDPが2期連続でマイナスとなった。興味深いのは、経済状況の違いにも関わらず、一様にインフレ率が低いという点だ。そして、中央銀行家たちは皆、デフレの可能性を心配している。

各国の経済成長の違いは政策決定にも反映されている。FRBは資産購入を通じた量的緩和をすでに終了し、今はゼロ金利政策を打ち切るか否かについて議論している。金利の引き上げに反対する唯一の根拠は、低いインフレ率である。一方の欧州では、欧州中央銀行が資産購入プログラムの拡大を検討しており、ゼロ金利も維持する方針だ。日本はというと、日銀がより大規模な量的緩和を決定し、FRBが行った資産購入プログラムの2倍相当(GDP比に換算)まで量的緩和を拡大すると先日発表した。

金融政策と経済成長の違いは、強いドルに現れている。ここに、いくつか警戒すべき点がある。

日本では2014年4月に行われた消費税の増税により、実質GDPが2期連続のマイナス成長となった。10-12月期の実質GDPは1%から2%の小幅なプラス成長になると私たちは予想している。過去の例を見ると、日本円は急激に変動した後、狭いレンジ内に収束して横ばいになる傾向がある。2012年の終わり頃から2013年4月にかけて、円相場は1ドル=80円以下から100円近辺まで値下がりした。最近の円相場の動きは、1ドル=100円から出発して120円近辺に向かっているように見える。その後は、もし日本経済が再び成長軌道に乗るという私たちの予想が正しければ、しばらく狭いレンジ内の取引が続くかもしれない。

欧州には2つの異なるリスクが存在する。まず懸念されるのは、ロシアとウクライナの緊張状態が冬に悪化するというリスクだ。経済制裁に対する報復としてロシアが取り得る唯一の方策は、真冬の時期に欧州への天然ガス供給を減らすことだろう。これは予測ではなく、あくまでリスク要因に過ぎない。しかし、もし実際にこのようなことが起きれば、欧州やユーロ圏への影響は甚大なものになるだろう。もう一つのリスク要因は別の場所にある。それは市場だ。欧州経済に対して市場参加者が過度に悲観的になるリスクがある。しかし、健全性検査を無事に終えることができれば、2016年には現在よりもクレジットシステムがずっと上手く機能し、経済成長率が段階的に好転していくことも考えられる。


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