生体牛市場の50年

50 years of live cattle

2014年11月20日 || TOM CLARK

現在の先物市場は、参加者が原油や金、そして通貨や金利に至る様々なコモディティや金融の派生商品(デリバティブ)を取引する場である。ただ、1960年代以前の先物市場は、穀物、農産物、卵やバターなどの乳製品が対象で、限定された商品取引の場(CMEの前身はシカゴ・バター卵取引所)に過ぎなかった。こうした中で起きた大きなイノベーションの一つは1964年、穀物生産者が100年間にわたり行ってきたのと同じ方法で、生体牛(キャトル)の生産者のリスク管理を支援する手段として、CMEがその先物取引を導入したことである。この取引の開始によって、その2年後に赤身豚肉の取引が導入されるなど、その他の家畜商品取引の上場に向けて道が開かれることになった。

今年は生体牛の先物取引開始(1964年11月30日)から50年、そのオプション取引開始(1984年10月30日)から30年を数える。そしてこの間、生体牛の取引は覚ましい成長ぶりをみせている。当初から生産者の多くから高い関心を集めた取引であったものの、新規の分野を対象とした先物がほんどそうである様に、実際に生体牛先物が盛り上がりを見せるまでには、しばらく時間が必要だった。初日の先物売買高は191枚で、初の年間取引となった1965年の日中売買高平均は235枚だった。一方で、2014年10月の日中平均は4万6154枚に達している。

cattle graph

また、過去最高日中売買高は、2011年3月9日に記録した14万7566枚となっている。

売買高の伸びについては、電子取引の導入がその背景になっているとも指摘されている。電子取引導入によって、より多くの生産者、加工業者、そして牛肉のバリューチェーン(価値連鎖)に関わるその他の業者にとって、市場参加が容易になったのだ。しかし、同様に重要なのは、リスクマネジメントの重要性に関する生体牛業界の考え方の変化である。リスクに対するアプローチの変化、市場テクノロジー、そしてそのテクノロジーを利用できる能力など、複数の要因が重なり、新しい取引参加者が市場で急増する結果となった。つまり、こうした状況を背景に市場の流動性は厚みを増すことになり、ヘッジャーにとってはリスクヘッジの効率がさらに改善する結果となったのである。

一方で、生体牛先物取引は、業者などのヘッジャーが利用できるリスクマネジメントの道具として、市場に導入された。そして上場以来、市場参加者が大幅に拡大しているのは事実であるものの、生産関係者にとっての有効なヘッジツールであろうとする生体牛先物の立ち位置が不変のものであるもの事実である。流動性がさらに増え、技術が進歩し、参加者の多様性がはるかに拡大した現在の市場は、上場初日には予見できなかった状態かもしれない。とはいえ、牛肉業界が可能な限り効率的な方法でリスクを管理できるようにするというこの先物取引のゴールは、50年を経た今も変わっていないのである。

ここでご覧いただけるビデオでは、CMEグループの農産物担当マネージング・ディレクターであるティム・アンドリーセンが、同先物が今後も生体牛業界に及ぼす影響について説明している。また、二人の業界関係者、J & F キャトルのルーク・リンド氏とアルカディア・アセット・マネジメントのジョーダン・レビ氏が、それぞれのビジネスにおける生体牛先物取引の重要性について語っている。


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