家畜市場:その最適取引時間

FINDING THE RIGHT BALANCE ON LIVESTOCK HOURS

2014年10月17日 || TIM ANDRIESEN

10月始め、家畜市場の電子取引時間短縮の方針が示されたとき、市場参加者の反応は、これを支持するものが圧倒的だった。たとえば、ブルームバーグがこれを報じた記事のタイトルは、「CMEが家畜取引時間を短縮 トレーダーは睡眠時間の増加を歓迎」だった。実際、ほぼ24時間稼働していた電子市場が一般的な米国の営業時間に短縮されれば、安心して夜眠れるという人もいただろう。しかし、取引時間短縮による恩恵は、睡眠時間に限定されていたわけではない。

CMEグループでは取引時間を決める際、市場参加者の利便性と市場の流動性を考慮した上で、常に最適なバランスを探るように努めている。 生産者などの当業者に対して、現物リスクを相殺する(ヘッジ)手段を提供することが、CMEグループの役割だからだ。 一方で、現物市場とCMEグループの先物の取引時間が一致しないなか、当業者が価格リスクのヘッジ機会を必要としているのも事実だった。 ただし、市場を毎日、24時間稼働させることは不可能であり、当業者などのヘッジャーが市場を介して価格リスクを移管するためには、市場参加者の多様化が重要であるのも事実である。 取引時間に関する課題は、ヘッジャーの市場参加を維持しつつ、その他の参加者を最大限とするため、両者のニーズが最適化される時間帯を設定することだった。 2014年10月27日、午前9時05分(シカゴ時間)にスタートした新しい取引時間では、生牛、飼育牛、豚赤身肉の各先物市場で、これまで以上に市場流動性が高まると考えている。

なぜなら、この取引時間の設定には熟慮が重ねられたからである。 これまでの取引時間について、数人の市場参加者から問題を指摘されて以来、生産者を含めた当業者や業界関係者、トレーダーなど、広範な分野の市場参加者から聞き取り調査が行われた。 結果、得られたフィードバックは一貫したものだった。 それは、取引時間の短縮によって、家畜市場での売買はより安易になり、市場流動性も改善するだろうという点で、一貫したものだったのである。

実際、家畜市場は、その他の資産クラスとは異なる性質をもっている。 また、この市場に関心を持つ取引参加者には、それぞれに異なるニーズを抱えた多様なグループが存在するのである。 たとえば、オクラホマ州で牛を飼育する牧場主には、ノースカロライナ州で養豚業を営む業者とは異なるニーズがある。 したがって、フィードバックの取集では、いくつか異なる意見も散見された。 夜間の取引時間維持を要望するものもあったし、短縮すべきというものもあった。 また、山岳部標準時の地域にある牛農家にとっては早過ぎるし、東部標準時の豚農家にとっては遅過ぎるなど、標準時間の違いも取引時間を設定する上で考慮されなくてはならなかった。

こうした全ての意見と側面を踏まえて比較検討し、取引を日中に集中することで、結果として取引時間を短縮化することが生産者のニーズを最も満たす、とする市場参加者の総体的な認識と合致することが分かった。 こうして、月曜日は午前9:05から午後4:00まで、火曜日~木曜日は午前8:00から午後4:00まで、金曜日は午前8:00から午後1:55までを取引時間とすることが、最も理に適っていると結論付けられた。実際、それまでの24時間取引においても、日中売買高の98%がこうした時間帯に集中していた。

もちろん、こうした決定をする場合、あらゆる市場参加者の声が考慮される。ただ、ヘッジャーによる一貫した意見は、特に重要な意味を持つことになる。 ヘッジャーは先物市場の中核を成す参加者であり、先物市場が存在するそもそもの理由でもあるからだ。

CMEグループの最大の目標は、完全性の高い市場を提供し続けることなのである。 その上で、取引時間の決定には、利便性と流動性のバランスを慎重に比較検討することが求められる。トウモロコシ市場のように、世界中に取引ニーズが存在する市場には、それなりのバランス感覚がある。 一方で、家畜先物の取引は、地域性がより高い市場であるもの事実なのである。 実際、CMEグループの家畜市場でヘッジ目的の取引を行っているのはほぼ全て、米国内の参加者である。したがって、取引時間の長さよりも市場流動性を優先させることで、取引ニーズが高いこうした市場参加者が利用しやすい市場とすることが優先された。

農産物市場における電子取引の普及と並行して、最大限の市場アクセスを実現するため、家畜市場の24時間電子取引化は2007年に実施された。 もちろん、これによって取引の利便性は向上したが、その一方で、夜間には流動性が低下する時間帯もあった。 農産物市場における当業者のヘッジ取引は、有限なのである。 今回の取引時間短縮は、こうしたヘッジ取引を米国の日中時間に集約することで、安定した流動性を市場が維持することを目的としている。



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