オプションの売買高が記録的水準に

TODAY’S NUMBER OPTIONS TRADING RECORDS A REFLECTION OF GLOBAL EVENTS

2014年10月2日 || DEREK SAMMANN

オプション取引の売買高急増の背景には、もっともな理由がある。市場のファンダメンタルズでは今、ボラティリティの劇的変化が多方面で発生する可能性が示唆されている。例えば、FRBは量的金融緩和政策を近々打ち切ると見られており、短期市場における超低金利政策がいつ放棄されるのかについての予測が、市場で交錯している。 また、ここ数年来、株式市場では過去高値の更新が相次いでいるが、中国経済の減速と欧州経済のデフレ懸念を背景に、市場のボラティリティは高まりを見せている。さらに、米国と英国の経済が日本と欧州のそれをアウトパフォームする状況になっていることで、外為市場の動きも再び活発化している。 こうして各種のボラティリティが高まりを見せている状況は、リスク管理ツールとしてのオプションが、その本領を発揮する状況でもある。

事実、リサーチ会社のTABBグループは今年初めに発表した調査書(「先物オプション:さらなる拡大への準備を整えた市場」)で、先物オプション取引の活発化が予想される理由を概説している。このリポートでは例えば、金利政策の転換、そしてオプションやその原資産である先物市場で電子取引化が進み、こうした取引が投資家にとって一段と魅力的になっていることを指摘し、オプション取引拡大を予想する根拠としている。

こうした要因は、より多くの市場参加者とより高い市場流動性をもたらし、取引の仕掛けと仕切りをこれまで以上に容易にする。 また、先物オプション取引は低コストであり、あらゆる市場に対するリスクの取捨を柔軟に実行することを可能にする投資手段でもある。 金融危機以降、オプション取引は全ての資産クラスにおいて、その人気度を高めている。5年ほど前、売買高が月間で約3,000万枚に過ぎなかったオプション取引は、2014年の月間平均では約5,000万枚に達する水準となっており、日中平均では250万枚近くとなっている。

そして今年9月、TABBグループが予想したところの「大きな成長」が、実際のものとなった。 CMEグループの農産物、株価指数、金利、そして外国為替の各市場において、日中売買高の記録更新を含めて、記録的な売買高が達成されたのである。オプション取引の総数は日中平均で308万7724枚に達し、これも過去最高を記録した。この日中売買高は、それまでの記録となっていた2008年1月の記録を、3万枚以上も上回るものだった。

options graph

オプション取引が爆発的に増加するとの予想は正しかったが、これほど多岐にわたる資産クラスで、これほどの売買高水準が、それも同時に達成されるとの予想はあったのだろうか? この現実の背景としては、農家からヘッジファンド・マネージャーまで、あらゆる市場参加者に影響を与える多くの要因が集中したことを挙げることが出来る。 例えば、先に見た9月の記録的な売買高では、その背景となった世界的な出来事を様々、振り返ることが出来る。

外為オプション(過去最高の日中売買高平均=110,226枚を達成) 9月4日、ECB(欧州中央銀行)は、大方の市場予想に反して、政策金利を記録的な低水準に引き下げた。 この結果、ユーロ/米ドルのオプションは過去最高の売買高を更新している。 加えて、予定されていたスコットランドの住民投票に関する世論調査が「接戦」を予想する内容となり(英ポンド/米ドルオプションの記録にも反映)、 ブラジルでの総選挙実施も間近かに迫っていたこともあって、同日の外為オプション取引額は想定額面で324億ドルに達し、過去最高を更新した。

米国債 週間オプション(過去最高の日中売買高平均=95,110枚を達成) 債券オプションが2か月続けて記録的な売買高を達成したのは、その大部分において、短期金利政策に対するFRBのスタンスに起因している。 9月に開催されたFOMCの前後には、イエレンFRB議長が「(超低金利環境は)相当な期間(継続される)」という表現を用いたことから、現状の水準が長期的に維持されるという前提で、市場参加者は金利リスクの管理を先行させた。

E-mini S&P 500 週間オプション(過去最高の日中売買高=139,315枚を達成) 9月初め、株式市場のボラティリティは約12%に過ぎなかったが、月末時点では16%超まで上昇した。こうしたボラティリティの上昇は、E-mini S&P 500週間オプションを使った短期のヘッジ、そして取引機会の増加をもたらした。

農産物市場のオプション(前年同月比40%増=302,914枚を達成) 大豆先物オプションの日中売買高は、前月比で55%増となるなど、農産物市場のオプション取引は9月に大きな増加をみせた。 とうもろこしと大豆については今年、記録的な収穫量が予想されていて、価格リスクを管理する需要家のヘッジ加速を背景にオプション取引が活発化した。さらに、新穀短期オプションなど、新機軸のオプション取引も急拡大している。

9月に起こった地政学的な出来事やマクロ経済のイベントも、オプション取引拡大の契機となった可能性がある。 一方で、TABBグループのレポートが示すように、電子取引の稼働拡大という要因も、オプションの記録的売買高と大いに関係している。

「現在、取引所によって運営される電子市場では、公平性を背景として、より効率的で途切れることのない注文執行など、市場参加者に対して「卸売市場」の利便性が広く提供されています。 2009年時点では、先物オプション取引全体における電子取引の割合は13%に過ぎませんでしたが、今では50%以上の取引がここで執行されています。 売買高が増加することで市場の呼び値(買い値と売値の価格差)が縮小し、注文執行ツールの進歩は自動取引も可能となっています。電子取引は今後も、先物オプションの主体的な取引場であり続けるでしょう」

9月には、過去最高となる3010万枚のオプション取引が電子取引で成立した。世界各地でのイベントが市場動向に不確実性を加味し続けるなら、今後もオプション取引の人気はあらゆる市場参加者の間で高まり、近い将来、さらなる売買高の過去最高記録更新が見られるかもしれない。



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