コモディティ投資の復活

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2014年9月11日 || DEBBIE CARLSON

ここ数年、投資家の間には、コモディティ(商品)をポートフォリオに組み入れることに冷ややかな声があった。近年の投資環境では、もはやポートフォリオの分散化やインフレ対策として天然資源を保有することに意味がないというのだ。しかし、コモディティ投資の専門家からは、違う声が聞かれる。投資環境が変わっており、今こそこの市場について再考すべきであると。

※どの資産市場でも同様ですが、資産運用マネジャーがコモディティ市場への投資を再開する場合、さまざまなリスクの取り方があるため、事前に顧客の要望を確認しておく必要があるとの専門家の指摘があります。

かつてコモディティは、株式や債券と相関性がないとして、ポートフォリオの分散化に役立つと考えられていた。 しかし、世界的な金融危機以降、運用の流れが「リスクオン」「リスクオフ」になると、多くの市場が相関性を持つようになった。 S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズ社のコモディティ部門グローバル本部長、ジョディ・ガンズバーグ氏が解説する。「コモディティと株式の相関性は、90日間隔で見ていくと、平時ではゼロ近辺です。ところが、異常時には0.7ぐらいの高い水準に跳ね上がることがあります」

ただし氏によると、コモディティと株式が高い相関性を示すのは、歴史的にまれだという。1970年以降、同時に値を下げたのは、1981年、2001年、2008年、そして2011年の4回のみだ。

PIMCO社の副社長兼リアルリターン商品マネジャー、ボブ・グリア氏が指摘する。「24カ月間隔で見れば、1973年以降、コモディティと株式の相関性が0.6に達したのは一度しかありません。しかもその後、相関性は低下したどころか、マイナスに転じているのです」

そして、それこそがコモディティ市場の現状なのだ。

「(相関性が平時に戻ると)株式と債券だけで構成されたポートフォリオに比べて、コモディティを含めたポートフォリオは、より分散されているため、より優れたリスク調整後リターンを実現する可能性があります」(グリア氏)

ガンズバーグ氏とグリア氏が口をそろえる。「コモディティが独自の需給に基づくファンダメンタルズで取引されるようになると、株式との相関性が低くなるのです」

「在庫が減ると、干ばつ、パイプラインの破裂、地政学的緊張といった、供給サイドからのショックが大きな意味を持ちます。 それが各コモディティで異なるリターン動向をもたらし、また株式のリターンとの違いを生むわけです」(ガンズバーグ氏)

プラスのロールイールド
グリア氏はさらに「ロールイールドが現在プラスになっている」と指摘する。 プラスのロールイールドとは、投資家が先物限月の逆ザヤを利用して、先物の建玉を割高な期近から割安な期先に乗り換える(ロールオーバーする)と利益が出る状況だ。

「コモディティを保有して、お金を受け取れるとは、実に素晴らしいことです」(グリア氏)

ガンズバーグ氏が解説する。「2013年は10年ぶりに、コモディティにプラスのロールイールドが現れました。ところが、投資家の多くは2005年のブームに乗ってコモディティ市場に参入したため、逆ザヤという概念に馴染みがないのです」。 そして、コモディティ指数でプラスのロールイールドが今年も続いているのだ。

「コモディティ指数の先物を当限で建玉している投資家にとっては、(逆ザヤで)景色が一変しているといえます」(ガンズバーグ氏)

プラスのロールイールドは、しばらく続く可能性がある。

参考記事:Bob Greer「今、コモディティ市場がより魅力的に」- 英文

プレミア・リスク・コンサルタンシー社の代表であり、EDHECリスク・インスティテュートの研究員でもあるヒラリー・ティル氏は、原油先物の限月サヤ曲線の形状が1980年代から2000年代にかけてよく見られたものに戻りつつあるといった内容の研究論文を執筆している。 研究対象に原油先物が用いられているのは、いくつかのコモディティ指数で原油が大きな比重を占めているからだ。

ティル氏は、ゴールドマン・サックスの研究を引用し、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI先物が、1983年3月から2003年2月までの間に62%で逆ザヤがあり、月平均で0.78%のロールイールドを生み出したと指摘する。 ところが2004年に、ある変化が起きた。中国からの需要が劇的に増加したのだ。これによってOPEC(石油輸出国機構)ですぐに受渡ができる予備容量が、一時的に激減したという。

しかしその後、米国でシェールオイルの生産が増えた。これで世界の原油事情は、さらに変化したわけだ。 ティル氏は「米国産原油の増加でOPECの予備容量に対する圧力が和らぐほど、OPECから必要とされる原油は減少するだろう」と記している。

コモディティを用いて適切に分散する
ここ数年、インフレが問題になることはなかった。だが、将来的には懸念されるかもしれない。 グリア氏によると、PIMCO社では2014年にインフレ率が若干上昇すると予測しており、中央銀行の超金融緩和政策から、長期的にはインフレの懸念があるという。 そしてインフレ率が予想外に上昇した場合「コモディティがその衝撃を直接的に吸収してくれるだろう」と語る。

またグリア氏は、コモディティが再びファンダメンタルズに基づいて取引されるようになったことで、アクティブ運用の投資家に、より多くの機会があると指摘する。

「しっかりとアルファ(訳注:市場平均を上回るリターン)を作り出せる機会が増えています。コモディティ価格がファンダメンタルズ要因で動くようになったからです」(同氏)

参考記事:「コモディティ指数の新たな役割」- 英文

経験豊富なコモディティ投資家は、戦略的かつ戦術的な建玉ができる。 ガンズバーグ氏は、より積極的なスタンスの投資家でも、例えばスプレッド取引でコモディティ指数を利用できると説く。これはWTI原油とブレント原油のスプレッドや、限月間スプレッド、類似した市場分野の商品間スプレッドぐらい単純であるという。

「実はこれがインデックス運用の世界で人気があるのです。 インデックス運用が登場してから、だいぶ経ちます。今では投資家は、個別のコモディティや単独の戦略を用いて独自のアルファを作り出すほうが楽に感じるようになってきました」(ガンズバーグ氏)

ティル氏は、コモディティのリターンに関する歴史的分析から、コモディティへの分散投資を検討している投資家に向けて、いくつか注意点を挙げている。 「ポートフォリオを分散化させたい投資家や、石油ショックに備えておきたい投資家は、石油市場への比重をしっかりとかけておく必要があります。また、過去の成績は将来の結果を保証するものではありません」

さらにティル氏は、一貫したリターンを目指すなら期間構造に目を向けてほしいと忠告する。 「長期的に見ると、プラスのロールイールドを持つコモディティは、構造的に逆ザヤです。 また、現物価格の平均回帰という特性から生じる効果をポートフォリオにしっかりと反映するには、定期的に適切なリバランスをしておく必要があります」



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