アルミニウム:アルミ市場の明るい兆候

ALUMINUM WHY THE MARKET FOR TOMORROW’S METAL IS LOOKING BRIGHTER

2014年9月3日 || RUSSELL BLINCH

アルミは、汎用な金属である。 ビルの外観美化、自動車の車体軽量化、そしてコメディアンのジョン・オリバーが言う通り、アルミは手の平でビールをすすらないで済むようにしてくれる。 一方、北米市場でアルミ価格のプレミアムが急騰したことにより、ここ数ヶ月、価格ヘッジがほとんど不可能な状況となった。実際には、繰り返し起こるこうした悪夢がなければ、消費者と生産者の双方にとって、アルミ市場は最良の状況となるはずだったのである。

「リスクに関して何が変わったのかといえば、プレミアムをどう管理するかだ」とするUCルーサル社のセールス・マーケティング担当ディレクター、スティーブ・ホッジス氏は、

「プレミアムは総額の20%から22%に達し、ヘッジ不能の水準だ」と説明する。

しかし、堅調な需要、予想以上のスピードで在庫整理が進んでいること、そしてシカゴで新たな取引が開始されていることなど、国際的な要因が結集してきていることで、ビール缶の底に、希望の光が差し込み始めている。

最初に、ファンダメンタルズ要因から、考えていこう。 先ず、アルミ需要は急増している。 アルミ価格は17ヶ月来の高値を付けているし、ゴールドマン・サックスによると、今年は5年ぶりに供給不足となる見込みでもある。

需要増は、中国がその主な背景ではあるが、アルミ人気が世界的なものであるのも間違いない。携帯電話の外見改善、輝きの増した屋根、より大規模なものでは、温室ガスの排出をさらに削減する自動車の開発などでも、アルミは盛んに使われている。

こうした需要増に対応して、北米におけるアルミの一次生産高は、2009年から2012年の間に16%増加した。 さらに、同時期には、北米の消費向け輸入も22%増加している。

フォードからジャガーへ

自動車業界は当初、フォードが同社の2015年モデルの F-150トラックにアルミを用いたことに騒然としたが、現在、この動きは、業界の世界的なトレンドの1つとなっている。 例えば、ジャガーのランドローバーは、同社のXEセダンで、また、ボーネル・アルミニウム社のアルミ・輸送、調達担当ディレクター、アンディー・マッセイ氏は、アルミを将来有望な建築資材であると見ているが、「つい2、3年前まで、それは空想に過ぎなかった」としている。

さらに、CMEのニュースサイト、OpenMarketsで氏は最近、「よりおしゃれでカラフル、派手な外観のビルが求められており、そうした理由からアルミの需要は増加し続けている」と説明している。

Aluminium graph

生産者にとっては需要と価格が大幅に上昇していることが、また消費者にとっては、効率的な市場で手軽にリスク管理が可能となっていることが、アルミに関しては相互利益となるハズだった。 しかし、かつては堅固で信頼が置けるとされた北米プレミアムについては、大きな問題が発生しているとの指摘が広く聞かれる状況となっている。

公表された報告書によると、市場利用者の一部では、ロンドン金属取引所(LME)の指定倉庫における金属商品の保管状況と、こうした商品を必要とする消費者への出荷に遅延が発生していることに大きな原因があるとされている。 ウォール街の大手への批判が強まっている。また、 批判の多くは、ウォール街の大手金融機関が商品の保管事業に絡んだ投機で、過大な利益を得ていることに集中している。

シカゴに本社を置くミラー・クアーズのグローバルリスク担当マネージャーであるティム・ワイナーは、アルミニウムの世界最大消費会社の1つとして、アルミニウムは同社最大のリスクとなりつつあると言う。

「今日、先物を手当てするのは、来年、その次の年、今後2年から3年先にわたるリスクを軽減し、CFO(最高財務責任者)にコストに関する確実性を多少でも提供するためだ」とした上で、同氏は、

「基礎となるLME先物取引とその時点での北米プレミアムが乖離しているため、価格リスクの管理は極めて難しくなりつつある」と説明する。

ボンネル社のマッセイ氏は、7月に付けた1ポンドあたり20セント前後ではなく、北米プレミアムは8セント程度が適当である、と指摘した上で、

「消費者は現状、適正価格よりも1ポンドあたり12セントも多く支払っていることになる。そのため市場には決定的な不均衡が生じている」と主張する。

ただ、過度な北米プレミアムについては、そのピークは過ぎた、とする指摘も多くなっている。 ブルームバーグによると、プレミアムは1月に20.875セントと最大値を付けている。一方で、例えば、バージニア州リッチモンドに本社を置くローレンス・キャピタル社のティム・ハインズ社長は、年内に14セントまで下落すると予想していて、

「(プレミアムの縮小を背景に)商品在庫に対する資金提供意欲は若干、後退していくだろう」と、アルミ市場での40年の経験を背景に、ブルームバーグの取材に答えている。 さらに同氏は、「アルミは倉庫から出てくるようになり、これがプレミアムを縮小させる要因にもなる」としている。

新商品は救世主となるか

市場関係者からの聞き取りと話し合いを経て上場された、北米初の現物渡しアルミニウム先物取引についてCMEグループは、取引執行会社のマクワリー・バンク・リミテッドにより5月6日、最初の取引実績が記録されたことを発表した。

市場関係者からの聞き取りと話し合いを経て上場された、北米初の現物渡しアルミニウム先物取引についてCMEグループは、取引執行会社のマクワリー・バンク・リミテッドにより5月6日、最初の取引実績が記録されたことを発表した。

CMEグループのFX、金属、オプション・ソリューション担当の上級マネージングディレクター、デレク・サンマンは、「CMEグループは、当取引所の新しい北米現物アルミニウム先物取引が、当初から幅広い支持を得ていることを喜ばしく思う」とした上で

「アルミニウムの主要生産者、消費者、そして商業トレーダーと協力することで、この先物は市場参加者にとって、価格リスクの管理についてより質の高いツールであると共に、北米のアルミ業界にとってはプレミアム指標として機能するもと信じている」と、その抱負を語っている。

クアーズ社のウェイナー氏も、 「当社が、CME北米アルミニウム取引の最大ユーザーの1社となる可能性は極めて高い」と、この先物に対する期待の高さを語っている。

また、UCルーサル社のホジソン氏は、このCMEでの取引における2つの重要な「違い」を指摘する。 CMEの取引は「対象地域が特定されている」ため、当該地域のアルミ消費者にとって有益であり、さらに、LME以外の新たな取引プラットフォームでもある。

氏は、「CMEの新先物はアルミ消費者に、もう1つの取引プラットフォームという選択肢を提供している」ことを強調している。



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