株式市場のボラティリティとその背景

WHAT’S BEHIND THE VOLATILITY IN EQUITIES

2014年8月6日 || EVAN PETERSON

株式市場はここ5年、そのほとんどの期間で堅調な上昇基調を維持してきた。実際、2013年の年間パフォーマンスは、ダウ平均でここ18年、S&P500ではここ16年で、それぞれ最高を記録するに至っている。2014 年に入ってからの両指数はさらに、過去最高値の更新を重ねる状況ともなった。そんな中でS&Pが7月末、ここ2年で最大となる下落相場を演じたことから、ここまでの強気トレンドは転換した、との指摘も市場では聞かれている。

相場状況が急激に変化することを表す尺度の一例として、S&P500の株式オプションの価格変動率を取引対象としたボラティリティ指数(VIX)がある。そして市場では、そのVIX指数が7月3日に過去最低水準を記録する一方、株式市場は過去最高値更新に向けての上昇を続けていた。VIX指数はその後、8月1日までには第1四半期以来の高水準まで戻す展開となった。さらに、S&P500、ダウ平均そしてNASDAQを含むCMEグループ上場の株式指数オプションの日中売買高は、7月31日と8月1日に相次いで過去最高を更新した。実際、市場では、株式市場には下落修正が不可避であるとするウォッチャーが多かった。それでは、株式相場の直近の下落には「修正」以上の意味があるのだろうか? E-Mini S&P500やE-Mini NASDAQなどの市場に特化した先物教育を展開しているE-Mini Exchangeの創設者、Anthony Crudele に話しを聞いた。

好調な第2四半期GDP、改善を続けている雇用統計など、先週は重要な経済指標の発表が続きました。一連のデータは株式指数先物に、全体としてどう影響したと考えていますか?

「好調な経済指標は必ずしも市場の上昇にはつながらない」と言う意味で、株価指数先物に影響したと思います。続いている強気相場の原動力となっているのは、実質的に2つの要因です。1つは相場環境に対する投資家の懸念、そして流動性を供給し続けているFRBです。流動性の供給が続いていることで、強気筋は確信を持って株式市場に参入し、リスクを取り続けているのです。これが、株価上昇の牽引力となっています。一方で、FRBが流動性供給の終焉を表明していることで、相場環境に対する懸念も収束している様に見えます。ただ、市場には先々に関する不透明感が残っていて、現状の様な株式市場の急変動が引き起こされる状況となっています。この不透明感を最近の地政学的リスクと組み合わせると、S&Pが極めて不安定になっている現状が分かるでしょう。

CMEグループの株価指数オプションの日中売買高は1,159,176枚に達し、7月31日に記録した1,080,307枚を上回り、過去最高を更新しました。株式 オプション の取引が活発化していますが、背景は何だと思いますか?

要因は、複数あります。先ず、株価指数オプションの取引量は過去数年間、拡大を続けています。したがって、先週の様にボラティリティが低下する場面では、売買高が記録を更新したとしても驚くに値しないでしょう。さらに、市場参加者は相場の不透明感を背景に、既存のポジションを防衛したり、相場の次の動きに向けて新規に売買を仕掛ける手法として、オプション取引を活用する様になっています。株式オプションの売買高が過去最高を更新する状況は、その取引ツールとしての人気の高さ、相場展開に対する不透明感の高まり、この両者が相互に作用して今後も続くと思います。

Graph for Equity

VIXは7月末に向けて、大幅な上昇となりました。
株式市場にボラティリティが戻ってきた、と言うことでしょうか?
それとも、この上昇は一時的な現象でしょうか?


確かなことは言えませんが、個人的には、ボラティリティの上昇サイクルが始まったと考えています。市場参加者の間では「不透明感」という言葉が頻繁に使われていますし、こうした言葉が一般的に使われる様になる相場環境は、ボラティリティがさらに高まる相場環境でもあると思います。

今後の相場要因で、注視しておくべきものはありますか?
また、今回の相場修正は、修正の範囲内で終わると思いますか?


注視するべきポイントは、いくつかあります。先ず、明確なのは地政学的リスクです。この種のリスクは、市場がリスクとして認識するまで、相場には影響しません。現状(今のところ)、市場はあまりのそのリスクを意識していないと思います。ただ、どこかの時点で意識することになるでしょう。地政学的なリスクに関するニュースを契機に大量の売り注文が発生すれば、このリスクを認識せざるを得ません。さらに、チャート上のテクニカルな水準を突き抜けて相場が展開するとすれば、こうした売りの勢いが加速する可能性も考えられます。

また、債券市場にも注視しておきたいですね。特に、経済指標やFRBのコメントに対する債券市場の反応には、要注意だと思います。債券市場で急激な金利の上昇があれば、株式市場はこれを警戒するでしょう。金利が急騰し始めるということは、FRBが政策金利を引き上げるタイミングが迫っているという兆候ですし、このシナリオに株式市場がどう反応するかは、極めて重要と言えます。金利上昇にS&Pの軟調さが重なれば、それは新たな相場トレンドを示唆することにもなるでしょう。




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