かんたんデリバティブ 先物の新しい学び方

derivatives made simple

2014年2月25日 || EVAN PETERSON

米国で牛肉の価格が高騰している。本稿執筆中の時点で、史上最高値を付けそうな勢いだ(訳注:2月26日には最高値を突破)。 そうなった理由は、いくつか考えられる。 牛の飼育数が、ここ数十年で最低の水準にある。また、家畜の飼料となるトウモロコシが、エタノールの使用を義務化する政策で、さらにエネルギー向けに利用されるようになった。そして、日本やメキシコといった貿易相手国による米国産牛肉の購入が増えた……。 こうした理由から、牛肉生産のコストが跳ね上がり、それが牛肉の不足を招いたわけだ。そして、この状況をさらに悪化させたのが、2012年に米国を襲った史上最悪クラスの干ばつである。 消費者物価指数(CPI)データによると、2013年夏の終わりに、米国の牛ひき肉1ポンド(約454グラム)の平均価格が3.50ドルに上昇した。これはCPIの算出を始めてから最も高い価格だ。

こうして牛肉価格は、史上最高値圏を推移している。 ただ、ここで考えてほしい。牛肉は2012年の干ばつで大打撃を受けたコモディティ(商品)のひとつである。 そして最近の畜産市場を取り巻く環境はさらに悪化した。ではなぜ、牛肉価格はもっと大きく暴騰していないのだろうか。 例えば、牛ひき肉の価格が1ポンド5~6ドルにならないのはなぜか。

その大きな答えとなるのが、そう、「先物市場」だ。 先物市場では日々、いく千もの市場参加者が、事業リスクを回避するために、あるいは資金を運用するために取引をしている。そして牛肉や住宅ローンのように、誰もが日常生活で支払うことになる価格や金利は、先物市場と大きくつながっているのだ。

ところが、市場関係者でもないかぎり、そのことはピンとこないだろう。 むしろ仕組みが複雑に見え、専門用語にめまいを起こしているかもしれない。CME Groupでは、そうしたとっつきにくさを少しでも和らげようと、新たにウェブサイトを立ち上げた。

先物市場のファンダメンタルズ」は、ユーロドル金利先物のデイトレードをしたことがないような人たちに、先物市場の参加者、役割、仕組みについて、かみ砕いた説明をしようという試みである。経済学、市場参加者、テクノロジー、専門用語、そして影響力……。 これらすべてを分かりやすい言葉、イラスト、動画、クイズを使って理解を深めてもらおうというサイトだ。サイトは、4つの切り口で構成されている。

基本

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その名のとおり、ここが初歩となる。 「なぜ先物市場が存在するのか?」「誰がなぜ先物市場を利用しようと思うのか?」について説明する。 つまり、この業界の基本的な事実についてまとめた。

「皆さんが毎日何かモノを買うならば、あるいは資産を持っているならば、会社を経営しているならば、投資家ためにお金を運用しているならば、常に隣り合わせのものがあります。リスクです。 人によっては、そのリスクが邪魔となります。 しかし、ある人にとっては、それが投資の機会となるのです」

また、理解をさらに深めてもらうため、マクロ経済や先物の基本原理について説明した動画も載せた。 ここから入ることができる。

参加者

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ここでは「誰が何のために先物の取引をするのか?」について探る。 トレーダーの役割を細分化するというよりも、農業経営者から401k(確定拠出年金)資金の運用者まで広い範囲に目を向ける。そしてヘッジャー(当業者)とスペキュレーター(投機家)のグループに分類し、お互いのグループがどのように関係しているかを知ってもらう。

例えば、先ほどの畜産物でいえば、牛肉生産者はヘッジャーである。彼らは、あらゆるリスク(干ばつ、あるいは輸出動向の変化など)を調べるだろう。 その結果、畜産物の先物またはオプションを売るかもしれない。数カ月後、実際に牛肉を売る前に、販売価格を確定するためだ。 一方、ファンドマネジャーは先物価格がこれから上昇すると考えれば、スペキュレーターとなって牛肉生産者のリスクを取るかもしれない。 こうして両者は対峙することになる。 生産者としては、利益(または比較的わずかな損失)が確定する。 したがって事業を継続できる。 そして、スーパーに並ぶ牛肉の価格は、わりに安定するというわけだ。

サイトには、ヘッジャーとスペキュレーターを判別するのに役立つクイズを用意した

また投機の歴史については、ここから学ぶことができる。 ヘッジャーおよびスペキュレーターについてはここを見てほしい。

影響力

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近年、牛肉生産者に干ばつや輸出、政策変更が影響している一方で、資源の変化やテクノロジーの発展によって、米国で天然ガスや原油の供給が余り気味となっている。 これらの市場について、そして各市場を形成している要因について説明をするのが、ここでのテーマだ。 農産物やエネルギーの市場を動かす要因について、分かりやすくイラストを使って解説した。また、住宅ローンの金利がどのように設定されるかについても、かみ砕いた説明をしている。

ここから入ることができる。

機能

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ここでは「先物取引がどこでどのように執行されているのか?」「取引所の役割とは何か?」「取引所はどのように機能するのか?」がテーマとなる。 アルゴリズムから資金保護対策まで、市場が誰にでも公平に運営されていることを確保するため、講じられている仕組みについての説明だ。当然のことながら、ほとんどが専門的な話となる。 清算についても触れており、アニメーション画像をスライドしながら、いかに取引が清算されていくかを、またその意義について、正確に理解してもらう。ここから入ることができる。

このサイトの利点のひとつは、どこからでも学習を始められるところだ。 そのため、こうした先物に関するテーマを解説するための記事や動画、イラストを定期的に追加しやすくなる。

今後は先物市場の参加者へのショートインタビューを進めていく。それを加えることで、さらに分かりやすくなるだろう。 市場参加者について何か知りたいことがあれば、ここまで電子メールを送ってほしい。また毎週、教育の一環として、CME GroupのFacebookページに雑学クイズを掲載していく予定だ。




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