米国農家の2014年経営方針を推察する(DTN社調査より)

DTN SURVEY - pic

2014年1月2日 || EVAN PETERSON

2013年、米国のトウモロコシ生産量は約140億ブッシェルと、過去最高を記録した。ここ数年、世界的な需要拡大、米政府のエタノール使用義務政策、干ばつの影響などを背景に、トウモロコシ、小麦、大豆など農産物の価格が上昇していたが、2014年の生産者を取り巻く相場環境は、大きく変わりそうだ。

穀物価格の決定要因や生産者の経営活動は、毎年変わる。そこで、農業関係の情報会社であるDTNプログレッシブファーマー社では、主催するシカゴ農業サミットで毎年、生産者にアンケート調査を実施している。

今回のアンケート調査では、生産規模や主要穀物がさまざまな120の生産者から、2014-15年シーズンの経営計画についての回答があった。まず、足下の穀物相場の最大の決定要因について、回答者の3分の2が「天候」または「在庫」と答えた。そして第3位が「海外からの需要」である。また、新農業法やエタノール使用義務に関して大きな変更があったものの、今回のサミット参加者にとっては「農業政策」と「バイオ燃料」が第5位、第6位の関心事だった。

アンケート調査を実施したDTNプログレッシブファーマー社シニア市場アナリストのダレン・ニューサム氏は、この結果を次のように受け止めている。「あまり驚きはありません。政府やその農業政策が要因とされるのは、いつものことですから。これについては、なるようにしかならないという認識があります。その意味では、需給に関する反応が強いのも、それほど驚くことではないでしょう」

2012年7月以降、トウモロコシはほぼ半分、小麦は約40%、大豆は約30%値下がりした。また、下落していくのは穀物価格だけではないとの指摘もある。例えば、一部のエコノミストは、トウモロコシの高値推移が終了したことで農地価格のブームも終わりを告げるだろうと予測している。

DTN SURVEY - table



こうした環境の変化が推測される一方で、2014年の作付け見通しについて、今回の調査では大きな変化が見当たらなかった。トウモロコシの作付面積は、前年比で平均3%減少、小麦は同7%の減少にとどまっている。

ニューサム氏が驚いているのは、ヘッジファンドを懸念する回答者がほとんどいなかったことだ。ヘッジファンドは、商品相場が近年、市場ファンダメンタルズから乖離する要因となった。このことから氏は、今シーズンの相場は伝統的なファンダメンタルズに回帰するだろうと考えている。

この回帰と同時に、農家の経営と情報技術のハイテク化が一段と進行することになる。今回の調査では、回答者の20%近くが、業務の一環として穀物相場をフォローすると答えており、相場を確認するための主体的ツールとして78%がスマートフォンを、50%がタブレット端末を利用しているという。

DTN SURVERY - graph

ファンダメンタルズへの回帰が予測されているなかでのこうした動きについて、氏は、農業にとってエキサイティングな時期だとして、次のように予想する。

「農業で、これから大きなことといえば、ソフトウェアでしょう。これまで以上に多くの生産者が穀物の在庫管理に、こうしたプログラムを利用するようになります。相場がファンダメンタルズに回帰する一方で、生産者にはこうした近代的ツールがあるのです。どうなるか注目です」

より多くの生産者が相場をフォローするソフトを駆使して、自分で在庫を管理するようになる。今回の調査では、回答者の76%が、生産者自身による在庫管理と乾燥作業は、経営の根幹であるとしていた。

「これから数年で、穀物生産者による在庫管理がさらに増えるでしょう。経営規模が拡大しており、中間業者を飛び越して、生産者から穀物ターミナルやエタノール生産工場に穀物が直接流れるようになります。生産者はさらにリスクを取ることで、さらに柔軟な経営ができるようになるのです」(同氏)

また生産者は、より融通の利いたヘッジ戦略を組み入れていきそうだ。今回の調査では、回答者の53%が先物(2012年調査から47%増)を、36%はオプション(同調査から34%増)を経営計画の一環として利用していると答えている。

さらに回答者の62%が、プレミアムが安価な短期オプションの利用を考慮しているという。しかも回答者の51%が、天候や米農務省の需給報告などによる突然の変化に対応するため、週次オプションの利用を考えていると答えていた。

ニューサム氏は、こうした金融商品を利用するという農業経営の変革は、瞬時にデータが動く時代の要請にこたえる自然な流れであると分析している。「米農務省が需給報告を発表する日に、何が起こるか誰もが知っています。相場のブレが大きくなるため、ヘッジャーがポジションを放置していたら、経営に大きな支障をもたらしかねません。生産者は、天候や米農務省報告などのイベントリスクに積極的に対処する手段を探しているのです」



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