技術革新で変わる米国の農業

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2013年12月3日 || DEBBIE CARLSON

「米国の農家」と聞くと、ノーマン・ロックウェル(軽妙なタッチで「古き良きアメリカ」を描いた米国人画家)の絵に出てきそうな光景を思い浮かべるかもしれない。もしそうだとしたら、考え直す必要がある。習熟した技術をもつ農家が、10~15年前には思いもよらなかった方法で作物の生産を管理しているからだ。携帯メールのような単純なものから、GPSや衛星画像による農地分析まで、あらゆる技術を駆使している。近ごろの米国の農家は、ノーマン・ロックウェルというよりも、むしろバンクシー(英国の革新的な覆面ストリートアーティスト)に近い。

イリノイ州の農家、ケビン・ケネディ氏は、同州ワイヤネットとディクソンの間にある、自ら所有する3800エーカーの農地と顧客から委託された1200エーカーの農地を耕作し、管理している。情報技術のおかげで、実際に収穫した作物を貯蔵庫に入れる前に、収穫量を把握できるようになったという。

収穫量を表示するモニターには、GPSが搭載されており、作付けした地域、作物の種類、そして栽培密度を記録した地図とつながっている。その情報を専用ソフトに転送すると、8月初めには詳細な収穫予測を入手できるという。

「今季は10万ブッシェルを在庫に回し、約55万ブッシェルを出荷します。それには自分の作物をどうするか、かなり具体的に予定を立てておかなければなりません。この作業を7、8月にしています。実際に刈り入れを始める前です。つまり収穫前に、この秋どのような展開になるか、大体予想がついているわけです。今年、収穫予想が最も外れたところでも、実際の収穫量との差は3%未満にすぎませんでした。予想は実際の数字に極めて近いです。この技術を採用して今年で4年目になります」(ケネディ氏)

氏はまた次のように述べている。「(この技術を導入するまでは)貯蔵庫に入れるまで、どの程度の収穫があるか知る由もありませんでした」

今年は、この技術のおかげで「畑に出て自分の収穫量が平均以上だと分かりました」(同氏)という。こうした情報から、氏はトウモロコシ価格が現在の価格よりも1ブッシェル当たり2ドル高い時期に、収穫物の価格変動リスクをヘッジすることができた。

ケネディ氏は、トウモロコシの粒の大半が現れる「ミルク・ステージ(乳熟期)」や「アーリー・ダフ・ステージ(糊熟前期)」に達するのを待ってから、最終的な収穫量を予想していると語る。

衛星とグーグルアース

農家では、衛星写真や赤外線画像を利用して、作物の生育状況を高所から見下ろす形で確認している。ケネディ氏によると、作物の分布を反映した地図で、夏の間に自分の農地についてイメージできるようになり、そのおかげで窒素不足といった問題に素早く対処できるようになったという。

またこの地図を収穫量の地図と重ねることで、どの農地が他と比べてどれだけ良い収穫だったか分かるようになった。「これは私の報告書です。農地を委託してくれた顧客にこれを見せれば、彼らは自分の農地を他と比較できます」(同氏)

シカゴから南西に100キロほど離れたところにある約1900エーカーの農場で、父親と共にトウモロコシと大豆を栽培するスコット・フリステッド氏によると、グーグルアースのような簡単に入手できる情報でも、自分の農地を空から観察して作物の成長を追う、ひとつの手段になるという。

「私はグーグルアースで自分の農地にある湿った場所を探しています。2011年に大雨があったとき、所有するすべての農地にさらに窒素を投入したが、それぞれの農地で一区画の畝だけは試験的に残しておきました。その後、グーグルアースを使い続けていると、どこが試した区画で、どこがそうでないか確認できるようになりました。その区画には、トウモロコシがそれほど生い茂っていなかったからです」(フリステッド氏)

問題を抱える場所が耕作地のどの部分なのか記録することも、有益な情報となる。「春夏に湿気の多い場所を特定しておいて、作物を刈り取った後、そうした場所にタイルを敷くことができます。秋には、どこも同じに見えるでしょうが」(同氏)

またフリステッド氏によると、コンバインから得た収穫結果のデータを自分の肥料会社の担当者に送れば、その担当者は、作物を刈り取ったまさにその場所に、その作物によって失われただけの肥料を投入できるという。「この方法なら、肥料をやり過ぎることもないし、肥料が足りないこともありません」(同氏)

自動操縦のコンバイン

現在では、洗練された機械を自動操縦で動かし、より正確な作付けと肥料の投入ができるようになった。 フリステッド氏の発言を裏付けるように、ケネディ氏もまた、位置データを保存できるので、秋には農地一面というよりも、直線状に肥料を投入できるという。春には、その肥料を投入した箇所に種をまく。 この方法によって、種は確実に肥料の上にまかれるので、肥料を最大限に利用できるというわけだ。

自動操縦によって、農家は夜間に作業ができるようになった。春には暗いうちから作付けができるし、秋には夜遅くまで収穫ができる。

「以前も夜に出ることはありました。しかし、まっすぐ運転するだけでも大変です。目印の線を見つけるのが難しいこともありました。しかも一度間違えたら、高い代償を払うことになります。それが自動操縦なら、すべてやってくれます。1日に作付けのできる時間が増えたことで、経済効率が上がりました」(フリステッド氏)

ケネディ氏は、携帯メールのような単純な情報技術でも、大きな効果をもたらすことがあると指摘する。

「自分の農場では合わせて13人が働いています。私は携帯メールで指示を送ることができます……。おかげで、夜勤のスタッフも管理できるようになりました。私が寝ている間も、皆が私宛に携帯メールを出すことができます。また家族に迷惑を掛けずに、私だけを起こすこともできます」(同氏)




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