ブロックチェーンによって金市場はどう変化しているか?

blockchain gold

2017年4月11日 || Peter Shadbolt

ブロックチェーン・テクノロジーによってもたらされる多くの可能性の一つに、売買取引における変化がある。土地の名義管理などに関して、金融からスマートコントラクトまで、ブロックチェーン・テクノロジーが広範な機能をさらに効率化するという方向性については現在、確認作業が急ピッチで進められている。そして、ブロックチェーン・テクノロジーが効率化をもたらす金融サービスの最新例が、英国王立造幣局とCMEグループが提供するデジタル・ゴールド・プロダクト、RMG(ロイヤル・ミント・ゴールド)である。

このプロダクトで、CMEグループはそのデジタル・プラットフォームの開発と運用を担当している。迅速に、コスト効率の高い、暗号論的にセキュアな方法を用いたプラットフォームは、金の買い付けや保有と共に、スポット取引環境を提供するものとなっている。

現物の金による裏付け
CMEグループのデジタル部門を率いるサンドラ・ローは、ブロックチェーンを背景にした今回の新プロダクトは、金取引に関する全くのエコシステムであり、迅速性と直接的な所有権に関する透明性を兼ね備えたもの、としている。

さらに彼女は、RMGを「英国造幣局に実際に保管してある金のデジタル版」と定義する。

その上で、「RMGを買うということは、所有権という観点からは、担保としてではなく、借入としてでもなく、実質的に、金の所有権を実際に持つということです。もちろん、RMGに関しては、流通予定の所有権全てを賄うに十分な量の金が確保されています」と話している。

実際、RMGは現在、最大で10億米ドル相当の金の裏付けを以って取引を開始するべく、準備が進められている。

デジタル・ウォレットを通じた取引も可能なRMGは、投資家やトレーダーが希望すれば、実際の金を受け取ることも可能となる。

ローは、「ライブ・テストの段階に達している本プロダクトは、機関投資家を対象にした初のデジタル・ゴールドであり、初めて政府機関が参加するプロダクトでもあるのです」と指摘している。

また、ロイヤル・ミントのCFO、ビン・ウィジェラトネは「分散型台帳技術は革新的なテクノロジーであり、ブロックチェーンを介した金の流通は、英国造幣局が最近、開発を考えていたものでもありました」と付け加えている。

そして、「CMEグループと共同開発したトレーディング・プラットフォームは、金の購入、保持、売却を迅速に、高水準のコスト・パフォーマンスで、安全に実行するシステムであり、既存のプロダクトを補完するものでもあります。今回の画期的なパートナーシップは、世界でも主導的な造幣機関と世界最高の商品先物取引プラットフォーム、そして最先端のテクノロジー、これら全てを結合するものとなりました」と話している。

blockchain gold 2

ブロックチェーンというオープン・ソース
CMEのローは、さらに、分散型台帳技術が至って効率的である主要な背景として、本プロダクトの運用開始を前に、そのオープン・ソース・コードがリリースされることを付け加えている。

ビットコインのセキュリティ・プラットフォームを提供しているBitGo社は、CMEグループと共に、アーキテクチャーに加えて、ブロックチェーンの規則やパラメタ―の開発を進めて来た。そして今回、システム開発者や企業、リサーチャーには、このコードにアクセスし、テストし、評価する機会が提供されている。

RMGオープン・ソース・コードを参照

ローは一方で、「本件に関する構成要素に関しては、オープン・ソースとすることになっています。ただし、それは、ネットワークがオープンであるという意味ではありません。少なくとも当初、その予定はありません」として、注意を喚起している。

その上で、「本システムは、許可制のプライベート・ネットワークです。また、既にオープン・ソースとなっているビットコインをベースとしている本システムでは、特定部分のソース・コードに関して、改善や変更を許可していることになります」と説明している。

ローは、こうしたことによって、これまでのデジタル資産プラットフォームに見られた様な、使い勝手の悪さという課題の克服に向けて、本システムの改良が進むと予想している。

「視界明快な取引プラットフォーム」
ブロックチェーン・テクノロジーを展開する会社であり、RMGトレーディング・プラットフォームの提供に関してCMEグループのパートナーとなっているアルファポイント社の社長兼COO、イーゴア・テルバトニコフは、ブロックチェーン・コードの開発者であるBitGo社と共同で、安全なプラットフォームの開発に向けてプロジェクトを重ねて来た。

彼は、「RMGの売買において、この取引プラットフォームは、高パフォーマンスで安全な環境を提供することになるでしょうこれまでに寄せられた評価に勇気付けられていますし、新規の金融機関にも是非、このプラットフォームを早期の段階で試してほしいと思っています」と話している。

機関投資家を対象としたデジタル・ゴールドの売買プラットフォームは、今回のものが最初となっている。

blockchain gold 3

アルファポイント社の協力を得て、CMEが提供するRMGの電子プラットフォームでは現在、機関投資家が参加してライブ・テストが行われている。

アルファポイント社のテルバトニコフは、「ブロックチェーンには、取引参加者に対して変更不可の所有権記録と共に、所有名義や担保などの履歴が提供されるなど、高レベルのトレーサビリティーと監査能力が担保されているのです」と胸を張る。

そして、「これまでの市場では不明瞭で不明確なことも多かったのですが、このプラットフォームでは、取引に関して明快な視野が提供されているのです」としている。

RMGの仕組み
複数の署名を要するマルチシグネチャ形式をビットコインウォレットに導入したBitGo社のCEO、マイク・ベルシュは、この形式がRMGのセキュリティー技術に関するコアな部分、としている。

RMGを含め、暗号学を背景としたデジタル資産は全て、PKI(公開鍵基盤)をベースにしていて、ネットワーク上の様々なユーザーが取引を承認したり、確認したりすることを可能にしている。その上で、BitGo社のベルシュは、今回のシステムでは、銀行や弁護士などの信頼されるべき立場の参加者が保有する追加PKIが設定されていて、マルチシグネチャ形式が一段と進化していることを指摘する。

ベルシュは、また、「取引をする場合、参加者は自身のキーでサインした上で、そのキーを、全く異なるシステム上の取引相手に渡し、この取引相手もそれでサインします」と付け加えている。

その上で、「この方法は、非常に効果的であることが判明しています。一般的に、デジタル資産の取引に関して、システム・セキュリティーの専門家たちは、この方法が最も安全だと指摘しています」としている。

CMEのローによると、RMGとそのテクノロジーをテストしている幅広い分野のマーケットメーカーの評価はここまで、至って肯定的なものとなっている。

「我々にとって、取引参加者の多様性は重要な課題となってくる」とするローは、「RMGを長期保有目的で買い付ける参加者はもちろん必要ですが、セカンダリー・マーケットの拡大に寄与する市場参加者も必要」と見ている。



Related Entries
CMEグループについて

CME Group
CME、CBOT、NYMEX、
COMEXから成り、世界を
先導する多彩な金融市場です。
グローバルおよび地域的経済・
金融に関するブログをお届け
します。CMEグループの日本語サイトはこちらをクリック。

CMEグループのリソース
CMEグループのツイッターで
@CMEGroupJapanをフォローください。
月次アーカイブ
検索
QRコード
QR
OpenMarketsについて
OpenMarketsは、CMEグループが発信するオンラインマガジンです。本ブログは、日本のトレーダー向けに、主に同マガジンから抜粋した記事を翻訳した
ものです。新たな商品紹介、
ケーススタディ、テクノロジー アップデート、今話題のトピックなど、デリバティブ産業への
従事にお役立てください。