WTI原油にとって有望なアジア地域

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2017年3月8日 || Owain Johnson

ロンドンで先週開催された石油業界関係者が集結するIPウィーク(国際石油週間)では、米国の原油がアジア市場にもたらす影響の高まりが話題の中心の一つであった。ごく最近まで、これは非現実的な議論のように思われていた。米国の原油輸出禁止措置が2015 年12月に撤廃され、40年ぶりに米国の原油が北米から輸出された。

1年でこんなに変わってしまうとは。石油業界は、こうした新しい機会にすぐさま反応し、米国の原油輸出は、シンガポール、中国、日本、韓国、タイといった成長が著しいアジアの需要に対応する道を見出した

米国は、2015年にほぼ全くアジアへの原油を輸出していなかったが、2016年1月~11月(政府発表の指標で最新の期間)の輸出量は日量5万バレルまで膨らんだ。輸出量は、2017年今までのところ力強く伸び続けており、このトレンドは継続する可能性は高い。

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原油価格の最近の上昇を背景に、米国のシェールオイル・セクターでは投資の再開が進んでおり、生産の増加が見込まれている。 米エネルギ省の予測では、2017年末までに米国の生産量が日量570万バレルに達するとの見方を示しており、この水準は2011~2014年にかけての第1次シェールオイル・ブーム時のを大幅に上回っている。この生産の一部は海外に活路を見出せざるを得ず、成長中のアジア諸国は最も有望な輸出先である。

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アジアのヘッジ
また、米国の原油に対する力強いアジアの需要を背景に、アジアの需要家の間では、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物をリスク管理ツールとして活用する需要が高まっている。アジアの取引時間帯において、WTIは現在、1日当たり約8,000万バレル取引されている。このため、WTIはアジア時間帯で売買される主要エネルギー・デリバティブの中で最も流動性が高い。

輸出禁止措置の撤廃前は、アジア取引時間帯の出来高は通常、WTI全体の約2~3%に過ぎなかった。米国の原油輸入に伴う価格リスク管理に対するアジアの需要家からの関心が高まる中、こうした状況が劇的な変化を遂げた。当業者であるアジアの石油会社からの関心の強まりにより、域内の金融機関系投資家の参加の増加が促された。ここ数カ月、アジア時間帯の取引は急増しており、WTIの出来高全体に占める比率は14%にまで達した。

WTIは、1988年の上場開始以来、原油市場の価格形成メカニズムにおいて常に重要な役割を果たしている。たがその当時は、世界の価格指標になるとは誰もが想像していなかった。 米国の原油生産者が輸出禁止措置の撤廃以後にアジア向け原油市場を確立したスピードには、実際誰もが驚かされている。

シェールオイルの生産効率の向上を背景に、米国の生産は北海のような高コスト地域で生産される原油に比べてかなり価格競争力がある。 米国の輸出は、北海の価格指標で一般的に値付けされる西アフリカやアジアのスイート原油と競合していることから世界の取引マップで既に注目を集め始めている。

アジアの製油所は、多様な米国の適格品への関心を強めている。メキシコ湾で生産されるMarsのような粘度と密度の高い米国の原油でさえも、距離がかなり遠いとはいえ中国の製油所からの引き合いがある。これは、アジアにおいて需要が伸び続けているのに、石油輸出国機構(OPEC)がこれらの重油の供給全体を減らしていることが一因にある。

これらはアジア向けの米国の原油輸出の プル要因とプッシュ要因となっており、こうした新しい取引ルートは拡大する可能性は高い。アジアの取引時間帯の WTI 原油先物の流動性が急増したことにより、売買の両サイドの市場参加者は適切に価格リスクの管理できるようになったことから、物理的な供給とデリバティブ取引が歩調を合わせて成長していくことが予想される。


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