穀物先物がファイナンスにどう急激な変化をもたらしたか

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2017年1月12日 || Debbie Carlson

このシリーズでは、過去150年超にわたる先物市場の発展の中で開発された、画期的なプロダクトに焦点を当てていく。そして本稿は、このシリーズの第2回目である。

トウモロコシ、小麦、オーツ麦の先物が1877年に取引開始された当時、シカゴ商品取引所(CBOT)に居た12名の人物は、数兆ドルが世界中で毎年売買される手段を生み出したとは少しも気付いていなかった。

「CBOTは1848年に設立されたが、現在のように価格を決定して将来のある時点で受渡する穀物を売るというという標準的な商品に発展するまで、さらに約30年間を要した」と、CMEグループの穀物・油糧種子担当シニアディレクタのFred Seamonは述べている。

Seamonは、「設立以来、CBOTは、穀物取引の中心的存在になり、価格発見と価格の透明性の始まりの幕開けを担ったが、それでも農家と商人が収穫期前後しか集まらなかったため、ある季節に限った現物市場に過ぎなかった。シカゴが主要都市として発展を遂げたのは、ミシガン湖に接し、主要鉄道ハブであるというロケーションがその理由であったが、主要な船舶や鉄道が存在したとしても、商人は収穫期にシカゴに大量の穀物を運び込むことに手を焼いていた。

こうした状況が一変したのは、シカゴに穀物倉庫が建設された時だった。すぐに、倉庫のオーナーと農家は、穀物年度の終盤まで穀物の売却を遅らせることができれば、高いリターンを得られることに気付いたと、Seamon は述べている。したがって、初の先渡取引が始まり、最終的に、トウモロコシ、小麦、オーツ麦の標準取引に進化した。

「1877年に行われたそれらの取引が、初の先物取引となった。初の先渡取引の推進を促したのはシカゴの倉庫の建設で、最終的に先物取引に発展した」と、Seamonは解説し、「トウモロコシ、小麦、オーツ麦の取引はやがて、世界の先物業界の先駆けに一役買った」と、付け加えた。

そして、140年後も、その場所はいまだに世界の穀物価格のベンチマークとして関係しており、トウモロコシの先物取引は、世界で最も多く売買されるコモディティ市場の一つとなっている。出来高がどれほど大きく成長したかを理解するには、入手可能な最も古いデータである1921年を見ると、トウモロコシの年間の出来高は117万枚であった。2016年には、年間出来高が記録的な8,560万枚に達した。

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また、小麦も2016年の出来高が3,100万枚と記録を打ち立て、1921年の出来高の250万枚から大きく伸びて2,500万枚以上に達した。オーツ麦の出来高は1921年当時の53万738枚ほどではなく、2016年の出来高は22枚5,230枚にとどまったが、これは自動車が発明されて輸送手段が馬から自動車に代わって以来、米国の消費量はあまり大きくない。

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数十年間、穀物の先物は、主として国内市場を反映していたが、2000~2006年にかけて、いくつかのイベントが生じて、穀物市場が拡大し、世界中の注目を浴びるきっかけとなった、とSeamonは述べている。

まず、トウモロコシ取引が河川輸送に変化したことであり、この取引はメキシコ湾岸の輸出ターミナルまでの価格を反映しており、シカゴの穀物倉庫のほぼ半分が閉鎖されたことで、ターミナルが必要になった。小麦は既に、 メキシコ湾岸のターミナルへの供給専用向けに複数の河川と鉄道のロケーションが存在していた、と同氏は説明している。

「その当時は明らかに、市場は、国内中心から国際市場へ範囲を拡大し始めたときで、グローバル価格が実際に決定された。世界中から参加者も増え始めた」と、Seamonは述べている。

そして、もう一つの大きな変化は2006年に起き、日中の電子取引が導入されて市場に影響をもたらし、国内に加えて世界中の参加者数が一段と増えた。この当時、コモディティブームが進行中で、従来から参加する穀物の当業者、農家やその他の従来の投機筋に加えて、新規の参加者数も増えた。

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シカゴ商品取引所のトウモロコシ、小麦、オーツ麦の検品デスク、1940年前後

「電子取引は大きな変化を生んだ」と、アイオワ州ウェストベンドにあるMaxYield CooperativeのアナリストのKarl Setzer氏は指摘する。 「農村地帯の中西部でデスクに座り、即座に取引を履行できる。午前9時30分に注文を出せるようになる前は、忙しい日には、午後1時まで注文が履行できないこともあった」と、述べている。

また、電子取引は、圧倒的な地位を維持するのに一役買った。局地的な穀物市場が世界の異なる場所に誕生したとしても、 CBOTの流動性 は、世界中から市場参加者の大部分をひき寄せており、CBOTの市場は、先駆者としてのステータスを維持できていると、Seamon は述べている。

Hollander and FeuerhakenのパートナーであるGlenn Hollanderは、その家族が1990年代初頭からCBOTで勤務しており、その当時の市場の進化を思い起こした。同氏は、「出来高は伸びており、市場での農産物取引に直接関係しない多くの人の存在によって、穀物市場が資産クラスに押し上げられた」と、指摘する。

Setzerは、穀物市場が新規参加者の関心を映し出しているとの見方に同意していた。 「穀物は、ダウやナスダックの動向を反映するだけではなく、ウクライナや、南アフリカの情勢も反映している」と、述べている、と指摘する。

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シカゴ商品取引所の穀物の取引フロア、1900年。

「先物オプションの登場により、市場参加者のヘッジ手段は拡大した」、とSeamonとHollanderは指摘する。「標準的な月次オプションは揃っているが、週次オプションのような短期物オプションも存在しており、参加者は、米農務省(USDA)の穀物需給報告などのイベント近辺で、ニーズに応じてヘッジを活用できる」、とSeamonは説明する。

Hollanderは、「投機筋の市場参加者が増加したのに加え、価格は、穀物の需給などの単に農産物のファンダメンタルズ要因をもとに必ずしも売買されるわけではなく、 その他の経済要因の影響を反映していることもある」と、述べている。いまだ、価格の発見と透明性の手段として、世界中の農家や最終需要が関係している。

「インディアナ州の農家や、南アフリカの農家は振り返り、先物相場が上下しているのを目にして、市場が変化している兆候を感じている。ビッドが変わらなければ、XYZ Grain Coに依存する必要はない。 輸出の買い手や加工プラントについても、同様のことが言える」と、同氏は指摘する。

全米最古かつ最大のトウモロコシ生産者協会で、今年50周年を迎えるアイオワ州トウモロコシ生産者協会のCraig Floss経営最高責任者は、取引は、世界の食糧のサプライチェーンにとって極めて不可欠なものだと、述べている。これらの取引は、生産者と最終需要家双方に、そして特に食糧を自給自足できない国に安定をもたらしている。

「国家は、信頼できないパートナーとの貿易を望まないのは明らかだ。「この種の法的契約は、取引が完了するとの確信を両サイドに与える。さらに、国家は、国民への食料供給に関して必要なことを遂行できなくなったとしても、他の誰かに依存したくはないと考える」と、同氏は締めくくった。

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