アジアの個人投資家の先物取引が増加基調に

retail futures in asia

2017年6月7日 || Christopher Fix

2016年は、気が小さい人向きの年ではなかった。昨年は一連の衝撃的な出来事が生じ、今年以降もその出来事の多くの余波が続きそうだ。

2017年は重要イベントが昨年よりも少ないことを願っている向きは、引き続き不確実性がマーケットを支配していることが分かっている。ドイツなどの欧州の大国は選挙を控えており、その選挙の結果は欧州連合(EU)に反響するとみられる。また、英国は、正式にEU離脱プロセスを開始することになっており、英国は欧州およびグローバル市場に不確実性をもたらしている。新たに誕生した米国の政権の通商計画がもたらす影響は、今のところ不明である。さらに、それに加えて、中国は経済改革の管理、金融市場の自由化、その他多くの課題対応を継続しているため、アジアでは不確実性が尽きることはないと予想される。

昨年、投資家は、市場と資産クラス全般におけるボラティリティが異常に高い水準に達していることをすぐに認識した。アジアでは、投資機会に乗じようと、またその他の投資に伴うリスクを管理するために、先物取引に参加する個人投資家の数が増加傾向にある。昨年、CMEグループのアジア太平洋の取引全体の1日当たりの平均出来高(ADV)は63万枚と過去最高レベルに達し、前年に比べて15%増加した。

むろん、デリバティブ(金融派生商品)が既に個人投資家のツールキットに不可欠な部分になっている米国の先物市場の取引高をずいぶん下回っている。世界全体では、CMEグループの2016年の年間ADVは1,560万枚と過去最高を更新し、金利、エネルギー、農産物、金属、オプション全体、電子取引オプションが含まれている。ただ、アジアにおける個人投資家の先物に対する人気の高まりは、注目に値する重要なトレンドである。

24時間可能なトレーディング
昨年の流れと同様に、急速に変化する地政学的および経済状況によって、機関投資家にとっても管理すべきリスクが生じ、積極的な個人投資家にとっては1日24時間にわたり資産クラス全体で投資機会が生じた。

現に、CMEグループの市場におけるアジアの個人投資家による取引は、昨年から40%以上増加し、上位3商品は原油先物、E-Mini S&P500先物、金先物である。また、CMEグループのアジア市場の取引時間における世界全体の取引高は、50%増加した。つまり、トレーダーは、24時間、つまり米国の市場の取引時間だけではなく、欧州やアジアの取引時間にも、十分に規制された流動性の高い市場で自らの戦略を遂行できるということを意味するため、これは極めて重要である。こうしたアクセスの重要性は、2016年の取引日について個人投資家による取引高の上位2つである英国のEU離脱の是非をめぐる国民投票や米国の大統領選において、投資家が機会を物色する際に不可欠だった。

中国は、先物への関心が特に強い市場の一つである。その点で、先物は引き続き、投資の選択肢が他の市場よりも限られている投資家にとって魅力的であることが立証されている。株式市場と投資過剰感がみられる不動産市場以外に投資先を分散させたくても、現実には代替策がほんのわずかしかない。人民元の下落圧力は、基本的に海外旅行に行き消費する傾向を強めている中国の中所得者層の購買力を減退させており、それに加えて政府が資本流出の制限を目指し政策を導入したことから、先物取引の魅力が高まっている。

とはいえ、先物の人気の高まりを、他の投資の選択肢が不足しているせいにするのは制約があろう。

先物が本質的に魅力があり、透明性、流動性および分散の高さが、伝統的な債券・株式商品から離れて投資先を分散したい投資家間で盛り上がっている理由を説明している。

先物に押し寄せる
また、個人投資家の先物への投資意欲の盛り上がりは、自己資金の投資とその投資リスクのヘッジのやり方を声高に言う人の間で用いられる実践的アプローチを反映している。テクノロジーが、このトレンドをかなり促進させたのは言うまでもなく、自宅にとどまり、または自分のスマートフォンから便利に資産クラスを売買できる機会を歓迎している人は大勢いる。

だが、その他の要因が作用している可能性もある。多くの投資家にとって、投資信託は依然として選択肢のままであるが、近年、多額の流出が生じている。ヘッジファンドなどのその他の代替投資は一般的に、新規投資額が高額で、6カ月などの長いロックアップ期間(解約できない期間)が課せられる。また、ヘッジファンドは、危機発生時には償還に制限を課すこともある。

他方、先物については多数の資産クラスで取引を行うことができ、投資家は、他の金融商品のような流動性や透明性を諦める必要はない。また、流動性が非常に高いのに加えて、伝統的な債券・株式市場との相関関係がほとんどみられない一部の資産クラスに投資を行える。投資家は、先物を通じて金利、株価指数、外国為替、エネルギー、農産物および金属への投資にアクセスできる。投資家はさらに高度化しているため、保有分の分散化を積極的に目指し、株式や債券と同じ方向に動かない資産クラスを特定している。

昨年に域内でみられた取引高の増加は、先物取引の機会に乗じる投資家が増えただけではなく、流動性が拡大するとこれらの商品の魅力がさらに増すという好循環が生まれた。域内の投資家は、高度化しているため、CMEグループは、そうしたトレンドを投資家教育の取り組みを通じて支えていく方針であり、個人投資家の先物取引が、投資家のみならず市場のメリットになり、アジア域内での注目度がさらに増すことを期待している。


通貨先物:通貨取引がいかに金融を変革したか

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2017年6月2日|| Debbie Carlson

金融先物は、世界の先物取引全体の90%を占めており、通貨先物は、金融先物商品の中で45年前に初めて取引された商品である。

今日の金融界は、1970年代初頭に通貨先物が誕生していなければ、非常に異なった様相を呈していただろう。1972年に上場された通貨先物は、自由市場の考えと動向が根底にある新たな時代を導いた

シカゴ・マーカンタイル取引所の会長として、レオ・メラメドは、取引所の肉の先物や他の農産物商品の範疇を超えて多角化を追求した。

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第二次世界大戦後から20年以上経ち、再び成長を遂げていた世界経済はその背景が変化した。その当時、世界の大国のエコノミストは年一回、一同に会し、ドルに対する自国の為替レートを調整してた。これがブレトンウッズ協定として知られていた体制である。だが、世界経済の成長、国家間の競争の高まり、ニュースや情報配信の加速化により、年一回の閣僚級会議が廃れ始めた。リチャード・ニクソン大統領が米国がドルの金本位制を停止を発表したとき、価値が変化しつつあった。

メラメドは、以下のように述べている。「絶え間ない変化。絶え間ない変化というのは、取引所として私たちがなしていることである。私としては、崩壊したブレトンウッズ体制と変動相場制に移行した現在の新世界との比較に対する答えは、刻々と変わる変化に適応する能力を有する取引所の存在によって得られるだろう」

「通貨は、相互に変動幅が広がり、したがって通貨の価値は、潜在的に不確実性が高まる状態になった。投資家が通貨に対して支払う、また通貨から受け取るレートの価値を調整することが可能な通貨先物の設計は、なんと偉大なイノベーションであろうか」と、CMEグループの通貨部門グローバル責任者のPaul Houstonは語っている。

ADM Investor Servicesの金融エコノミストのAlan Bush氏は、「外国為替レートの変動に注目すれば、国家の経済の健全性について手がかりが得られる」と指摘している。

「外国為替レートは、国の政治と経済の見通しがどうなっているか、そして今後どう向く可能性が高いのかを判断するのに非常に適した尺度である。国家の今後の経済見通しを測るのに適したバロメーターである」と、同氏は説明している。

Houstonsは、「手段が与えられた通貨換算を通じて、国際的な取引と投資が促進されているなか、通貨市場の重要性が明らかになっている。通貨先物は、それ自体で投資目的のヘッジと同様に通貨取引の効率的な仕組みを実現している」と語っている。

新種の先物市場
1970年代初頭、メラメドは、通貨先物商品が生じている変化の解決策になると確信していた。他者を納得させる必要があっただけだった。

「私の考えがほぼ異端と同然に扱われることは認識していた。それまですべての先物は、農産物が原資産であった」と述べている。

その実現に向けて、1971年終盤にシカゴ大学のミルトン・フリードマン教授に会いに行き、7500ドルで通貨先物の実現可能性に関する論文を執筆を依頼した。メラメドは、この論文を使ってCMEの取締役の過半数を説得し、通貨先物が承認された。また、政府高官とも面談し、フリードマン教授の論文を手に説明した。

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シカゴ・マーカンタイル取引所の立会場にいるレオ・メラメドとミルトン・フリードマン教授

「このアイデアは非常に壮大で、とても素晴らしいと考えていた。政府は、私がしようとしていることを理解する必要があり、もしそうならなければ、私は政府に作る必要のない敵がいたかもしれない」と述べている。

1972年5月16日、CMEは、7通貨の先物 –カナダドル、英ポンド、ドイツマルク、日本円、フランスフラン、メキシコペソ、イタリアリラを上場した。

上場初日、333枚が取引され、その年の取引高は144,336枚に達した。その後、CMEは、米国短期国債先物を上場し、その他の金融商品の上場を目指していた。

一カ所から世界の主要通貨を取引するということも、理にかなっていた。

「広範な参加者がアクセス可能な集中した市場の利点は、中世から認識されていた。だからこそ、「市場」はいまだに多くの都市で中心に位置している」と、Transtrend B.VのマネージングディレクターのHarold de Boer氏は指摘する。

金融商品の魅力をさらに高めるために、国際通貨市場(IMM)が創設された。IMMの会員権は、金融先物商品を売買する保有者のみに認められ、このため取引所と分離されているとの勘違いが生じた。これらの会員権は安価で、金融先物のピットに若いトレーダーがひきつけられた。IMMは機能し、数年後に、金融先物は定着した。

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IMMでの取引初日

では、なぜ金利や株式ではなく、通貨から着手したのか?通貨は、その当時かなり話題になっており、人々の関心の的だったため、通貨を選んだのは理にかなっている。差金決済型商品が承認されたのは、1980年代初頭で、これが、S&P 500 株価指数先物の上場につながった。

45周年を果たし、いまだ記録更新中
今では、CMEグループでは、通貨先物で59種類の通貨先物と30の通貨オプションを扱っている。外国為替市場は、過去45年間で大きく成長し、金融規制改革法(ドッド・フランク法)などの最近の法改正を背景に、為替市場の売買はさらに活発化した。取引所でポジションを保有する参加者は増加基調をたどっていることから、通貨先物の取組高は、過去最高記録を付けている。

通貨取引の直近のトレンドからは、人民元、南アフリカランド、ロシアルーブルなどの新興国通貨の取引への関心の高まりが明らかになっている。Houstonは、「CMEは、今後もさらに多岐にわたる参加者を呼び込むことを重視するだろう。最近のイニシアティブとしては、最小価格変動幅の変更、ブロック取引の規模の引き下げ、月次満期の通貨先物、ボラティリティ建値型通貨オプションなどが挙げられる」と説明した。

「目的は、市場参加者の選択肢を増やすことであるが、事業基盤の成功が中断されることなく今がある」と述べている。

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新技術、同じ基本原理
また、参加者は、より多くの市場へのアクセス手段を見出している。テクノロジーの変化は、電子取引やGlobexのシステムを投入した1990年代に加速に転じた。

「デジタル時代のおかげで、集中市場へこれまでよりも効率的にかつグローバルにアクセスしやすくなった」と、de Boer氏は指摘する。

まさにメラメドが目にしたように、ニュースと情報のフローのスピードが1970年代に早まり、トレーディング技術が向上し、現在はニュース配信が迅速化した。

「政治と経済のニュースは、ほぼ即時に取引所の為替レートと先物価格に反映されている」とBush氏は述べている。「電子取引の出現によって注文執行と報告の届出、あらゆることが今はかなり迅速化された」と同氏は付け加えた。

テクノロジーは絶え間なく変化しているが、為替市場の基本原理は変わっていない。Bush氏は、「先物市場は、依然として企業にとって、為替レートの損失リスクを軽減するための主要なヘッジ手段である」と指摘している。
De Boer氏は以下のように同意する。

「中央清算の利点は、1世紀以上にわたり認識されている。現代のように十分に整備された通貨先物市場は、これらの利点に乗じてそれに資する機会をもたらしてくれる」


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