S&P500先物:グローバルベンチマークの取引開始35周年

SP500-Anniversary.jpg

2017年4月28日 || Russell Blinch

「この市場は成功しそうな感じがする」CMEの伝説の金トレーダーのMaury Kravitzは、約35年前に「spoos(S&P500を示すスラング)」と呼ばれるこの新しい特殊なプロダクトの取引を執行した最初のトレーダーとなったときに、そう宣言した。

2012年に死去したKravitzは、1982年4月にシカゴ・マーカンタイル取引所で取引開始された当時に、生みの苦しみを分かち合う以上に、信じられないことだが、このプロダクトについて、とてつもない予言をしていたことが分かった。

とはいえ、S&P先物は、世界で最も流動性の高い先物となり、グローバル株式、そして経済全般の方向性に対する洞察を必要とする投資家の尺度へと発展した。

「資本効率、中央清算、流動性、24時間のアクセス、これらすべてがまとまったとき、リスク管理機能に関して、S&P 500先物が真に強力になると考えている」と、CMEグループのグローバル株式責任者、Tim McCourtは述べている。

「これは現実の市場だ」
だが、1980年代初頭にまでさかのぼると、このプロダクトの成功は、実際には当然の結果とは言い難いものだった。この画期的なアイデアは、ワシントンの規制当局から承認を得られるかどうかさえも、確かではなかった。

1982年は、ソニーが世界初のCDプレイヤーを発売し、ホームコンピューターとして目覚ましい成功を収めたコモドール64がデビューした年である。当時はロナルド・レーガンが大統領で、ポール・ボルカーが議長として連邦準備制度理事会(FRB)で影響力をふるっていた。

「S&P先物が取引開始」は、1982年4月21日付のNew York Times紙の見出しを飾り、その当時、CMEの商品は世界に波及していた。新聞記事らしいその見出しは、投資家向けの画期的な投資ツールが誕生した劇的な出来事をとらえたとはとても思えず、また世界のベンチマークになることを暗示させるものでもなかった。

SP500-historical-chart.jpg

しかし、シカゴ・マーカンタイル取引所のトレーダーらは、大きな存在になると感じ取っていたのであろう。その当時、CMEは、肉から通貨まですべて取引ピットで売買されていた。しかし、その後、株式の世界に参入して競争を繰り広げた。

New York Times紙が報じたように、金トレーダーのKravitzは、大型の株式ポートフォリオを保有する顧客のために、この商品を導入したと語った。売り手は、もう一人のフロアトレーダーであるGeorge Segalで、通常は豚バラ肉の取引に従事していた。

その日の業務終了時に、チンギス・カンのファンであるKravitzは、その歴史的な日の取引高は約200枚と試算した。同氏は以下のように明らかに乗り気だった。「私は基本的に金先物トレーダーだが、この市場は成功しそうな感じがした。現代にみられる取引の起源の誕生に、非常に強い印象を受けた。これは現実の市場であり、互いにランドリーを交換すると言っても、取組高が発生しない。」

通貨先物以来の最大の画期的な商品
この商品の特徴の一つは、取引で株券を受渡しするロジスティックな取り組みを排除して、すべてを差額で決済するという考えだ。

「差金決済は、1972年に通貨先物が導入されて以来、最大の画期的な取り組みであり、1980年代に主流になった先物商品、差金決済型の株価指数先物の道を開いた」と、作家ボブ・タマーキンは自身の著書「The Merc」において説明している

大手先物取引所が株価指数に参入するというアイデアはしばらくそのままになり、1957年に500銘柄に拡大したS&Pの取引開始以来、ほぼまる25年間を要して導入された。ただ、市場の規制当局の間では物議をかもした問題で、特に米証券取引委員会(SEC)が怒りを向けていた。

「当局は、株式市場の裏口から入ってきた先物トレーダーを手練手管の農場主やカウボーイとみなし、当局は、自分たちは神が意図した監督権限を持っていると考えていた」とエミリー・ランバート氏は著作「The Futures: The Rise of the Speculator and the Origins of the World’s Biggest Markets」の中で指摘している

規制当局である米商品先物取引委員会(CFTC)とSECは最終的に、徹底的に議論を重ねて、先物の売り手が株券の受渡を行わずに差額で決済するという考えを承諾するなど、先物取引所に対して、株式取引の聖杯を侵害する認可を与えることで合意した。

CMEの申請は、1982年4月20日に承認され、翌日に取引が開始された。「シカゴ・マーカンタイル取引所には、買呼値・売呼値を提示しようとするトレーダーが大勢いた」と、ランバート氏は記載している。

流動性のエコシステムの確立
今では、S&P先物ユニバースは、商品群を含め、進化を遂げている。

「その間に、パッシブ投資は、非主流派から、おそらく現在の投資運用業界における最重要勢力へと発展を遂げた」と、S&P Dow Jones Indicesの指数データサービス担当マネージング・ディレクター、Jamie Farmer氏は指摘する。「S&P500先物の採用の広がりは、比肩するもののない流動性のエコシステムの発展と同時進行している。」

最大のイノベーションの一つは、小規模なプレイヤーを取り込む手段として、1997年に導入されたE-mini S&P である。

そして、その計画はうまくいった。1982年の取引の初年度に売買されたS&P先物の出来高は約290万枚で、翌年には800万枚を超えるなど取引高は2倍以上に膨らんだ。しかし、この商品は、E-miniの上場後、1998年に3,140万枚でピークに達した。

E- miniは上場初年度に88万5,819枚取引され、2年目には450万枚と4倍に増えて、その後はその水準に全く戻っていない。2016年の出来高は、約4億7,270万枚に達した。

シカゴのプロのトレーダーでオンライン上ではFuturesTrader71として知られているMorad Askar氏は、秩序だった性質を備え全体的に透明性が高いという理由で、S&P E-miniのファンである。

「このプロダクトを売買する理由と、人気を博している理由は、流動性が高く、十分な注目を集めており、十分な数の市場参加者が存在しているからで、株価の動きをかなり適切に予想することが可能だ」と、OpenMarketsのインタビューの場でAskar氏はそう説明した。
同氏は、このプロダクトは複雑ではなく、そして株式に関する情報と材料は、ほとんどの人々が簡単に入手できると指摘する。

そして、「理解しやすく、米国債やユーロドルほど複雑ではない。シンプルである。誰もが株式を理解している」と付け加えた。

CMEグループのMcCourtは、取引所が世界中の投資家のために「問題を解消する」ために改良に励んでいることから、S&P500先物の成長は、持続できる余地があると考えている。

「市場参加者は常に、問題を解決し、効率を向上してくれるプロダクトを活用できる」と、同氏は締めくくった。


CMEグループについて

CME Group
CME、CBOT、NYMEX、
COMEXから成り、世界を
先導する多彩な金融市場です。
グローバルおよび地域的経済・
金融に関するブログをお届け
します。CMEグループの日本語サイトはこちらをクリック。

CMEグループのリソース
CMEグループのツイッターで
@CMEGroupJapanをフォローください。
月次アーカイブ
検索
QRコード
QR
OpenMarketsについて
OpenMarketsは、CMEグループが発信するオンラインマガジンです。本ブログは、日本のトレーダー向けに、主に同マガジンから抜粋した記事を翻訳した
ものです。新たな商品紹介、
ケーススタディ、テクノロジー アップデート、今話題のトピックなど、デリバティブ産業への
従事にお役立てください。