Putnam、イエレンによる金利引き上げを予測

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2017年3月9日 || Evan Peterson

3月3日に発表されたジャネット・イエレンのコメント受け、CMEグループのチーフエコノミストであるブルー・プットナムは、イエレンが「タカ派と化した」と指摘し、次回連邦公開市場委員会(FMOC)で金利引き上げが実施されることを示唆した。「イエレンは経済への自信をより深めており、これまで以上に金利引き上げの心構えがある」と動画(下記参照)の中で語っている。

アガー・ミルザが今週の指摘したように、市場はこの考え方と同様な反応を示している。シカゴのExecutives Clubにおけるイエレンのコメントを受け、CMEグループによるFedWatch Tool(連邦準備銀行動向ウォッチ・ツール)は、3月15日開催予定の委員会における金利引き上げの可能性は90%以上であることを示した。

プットナムによるコメントは、こちらを:





2017年度の農業における、気象そして政治的影響

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2017年3月9日 || Evan Peterson

先ず、天候パターンについて復習しよう。

エルニーニョ現象:赤道付近の太平洋海域において、暖海流により海面温度が平年より上昇する現象

ラニーニャ現象:赤道付近の太平洋海域において、海面温度が平年より低くなる現象

CMEグループのチーフエコノミストであるブルー・プットナムは、「Off the Charts」ポッドキャストにおいて(メンバー登録にはこちらをクリック)、最近のエルニーニョ現象・ラニーニャ現象について語り、米国におけるトウモロコシ及び大豆生産への影響について言及した。プットナムによると、2015年8月に発生したエルニーニョ現象は米国中西部に異常な温暖気候を引き起こし、その結果アルゼンチンそしてブラジルにおける農作物生育条件が大きく改善されることとなった。 2016年12月にはラニーニャ現象が発生したが、非常に弱いものであり翌年2月には消滅し、再び新たなエルニーニョ現象の到来と至った。

現在新たに発生しつつあるエルニーニョ現象について、プットナムは特に興味深いものであることを指摘する。

「赤道付近太平洋海域における海面温度の上昇に加え、カナダ沿岸北太平洋地域及び米国北西部海岸地域の海面水温が低くなっている。これは、エルニーニョ現象とは一切関連がないが、同時発生している現象であり、2017年の農作物生産に大きな影響を与える要因となるであろう。」

プットナムは、その結果発生する低気圧により米国南部地域に雨天がもたらされ、ジェット気流が北部に留まることにより、カナダの冷たい大気が米国に忍び寄ることはないと語る。

「これらすべてを総合的に見ると、トウモロコシを主要作物として生産する米国コーンベルト地帯にとって、そして、アルゼンチンの大豆もしくはブラジルのトウモロコシ生産にとってかなり良好な天候パターンであると言える。つまり、天候による農業生産への被害はないであろうと考える。」

政治的不安定さ
プットナムが指摘するように、トウモロコシ・大豆市場は通常2つの主要因の影響を受ける。当然ながら第一は天候であり、そしてもう一方は政治的要因である。トウモロコシ・大豆に関して言えば、これらの影響は通常南米から発生する。アルゼンチンでは新大統領が就任し、税金・行政改革が導入され、同国の農業従事者による輸出増大に至った。ブラジルでの政治的崩壊は、政府・政治に対する不信感を拭い去る事となり、これもまた輸出増大へと繋がることとなった。一方米国は世界的輸出へと政策転換し、同国の農業従事者の間に政治不信を引き起こすに至った。プットナムは上記ポッドキャストにおいて、この政治的状況こそがトウモロコシ・大豆市場を影響する最大の要因となるであろうと語る。

「2017年度、良好な気象が予測される一方、農業市場は政治的要因により不安定となることが予測される。」

「Off the Charts」ポッドキャストを聞くには、こちらのリンクを。

WTI原油にとって有望なアジア地域

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2017年3月8日 || Owain Johnson

ロンドンで先週開催された石油業界関係者が集結するIPウィーク(国際石油週間)では、米国の原油がアジア市場にもたらす影響の高まりが話題の中心の一つであった。ごく最近まで、これは非現実的な議論のように思われていた。米国の原油輸出禁止措置が2015 年12月に撤廃され、40年ぶりに米国の原油が北米から輸出された。

1年でこんなに変わってしまうとは。石油業界は、こうした新しい機会にすぐさま反応し、米国の原油輸出は、シンガポール、中国、日本、韓国、タイといった成長が著しいアジアの需要に対応する道を見出した

米国は、2015年にほぼ全くアジアへの原油を輸出していなかったが、2016年1月~11月(政府発表の指標で最新の期間)の輸出量は日量5万バレルまで膨らんだ。輸出量は、2017年今までのところ力強く伸び続けており、このトレンドは継続する可能性は高い。

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原油価格の最近の上昇を背景に、米国のシェールオイル・セクターでは投資の再開が進んでおり、生産の増加が見込まれている。 米エネルギ省の予測では、2017年末までに米国の生産量が日量570万バレルに達するとの見方を示しており、この水準は2011~2014年にかけての第1次シェールオイル・ブーム時のを大幅に上回っている。この生産の一部は海外に活路を見出せざるを得ず、成長中のアジア諸国は最も有望な輸出先である。

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アジアのヘッジ
また、米国の原油に対する力強いアジアの需要を背景に、アジアの需要家の間では、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物をリスク管理ツールとして活用する需要が高まっている。アジアの取引時間帯において、WTIは現在、1日当たり約8,000万バレル取引されている。このため、WTIはアジア時間帯で売買される主要エネルギー・デリバティブの中で最も流動性が高い。

輸出禁止措置の撤廃前は、アジア取引時間帯の出来高は通常、WTI全体の約2~3%に過ぎなかった。米国の原油輸入に伴う価格リスク管理に対するアジアの需要家からの関心が高まる中、こうした状況が劇的な変化を遂げた。当業者であるアジアの石油会社からの関心の強まりにより、域内の金融機関系投資家の参加の増加が促された。ここ数カ月、アジア時間帯の取引は急増しており、WTIの出来高全体に占める比率は14%にまで達した。

WTIは、1988年の上場開始以来、原油市場の価格形成メカニズムにおいて常に重要な役割を果たしている。たがその当時は、世界の価格指標になるとは誰もが想像していなかった。 米国の原油生産者が輸出禁止措置の撤廃以後にアジア向け原油市場を確立したスピードには、実際誰もが驚かされている。

シェールオイルの生産効率の向上を背景に、米国の生産は北海のような高コスト地域で生産される原油に比べてかなり価格競争力がある。 米国の輸出は、北海の価格指標で一般的に値付けされる西アフリカやアジアのスイート原油と競合していることから世界の取引マップで既に注目を集め始めている。

アジアの製油所は、多様な米国の適格品への関心を強めている。メキシコ湾で生産されるMarsのような粘度と密度の高い米国の原油でさえも、距離がかなり遠いとはいえ中国の製油所からの引き合いがある。これは、アジアにおいて需要が伸び続けているのに、石油輸出国機構(OPEC)がこれらの重油の供給全体を減らしていることが一因にある。

これらはアジア向けの米国の原油輸出の プル要因とプッシュ要因となっており、こうした新しい取引ルートは拡大する可能性は高い。アジアの取引時間帯の WTI 原油先物の流動性が急増したことにより、売買の両サイドの市場参加者は適切に価格リスクの管理できるようになったことから、物理的な供給とデリバティブ取引が歩調を合わせて成長していくことが予想される。


かつてないほどフェッドファンド先物が好調な理由

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2017年3月7日 || Agha Mirza

FRBのイエレン議長は3月3日の講演で、3月中旬に開催予定のFOMC(連邦公開市場委員会)では、フェッドファンド(FF)金利の「一段の調整が適切となる公算が大きい」と発言した。これを受けて、CMEグループの「Fed Watch」が示す政策金利引き上げに対する市場の期待度は、週初の30%から、80%超まで高まった。

実際には、FF先物は今年、例外的に活発な取引を集めており、前述の様な相場展開は、こうした流れの直近の一場面に過ぎない。金利先物では今年、日中売買高や建玉数が過去最高を更新しない日の方が稀、という状況なのである。2017年の相場状況は、何が違うのだろうか?

経済要因
11月の大統領選挙を受けた政権交代は、市場の虚を突いた出来事であり、ボラティリティーが急伸する結果となった。さらに、トランプ政権に対するインフラ投資拡大への期待は、国債発行の増額を予想させるものであり、債券利回りは上昇した。こうした動きは、CMEの債券先物の日中売買高が増加した要因ともなっている。

しかしながら、金利先物における全体的な売買高増加の直接的な要因は、2016年12月に開催されたFOMCで政策金利が引き上げられたことであろう。そして、それ以降も米国景気が堅調さを維持していることから、2017年に実施される政策金利の引き上げ回数について、市場参加者の見通しが2回と3回の間で揺れ動いているのである。これについては、3月15日にFOMCが発表する声明で、もう少し明確となるものと考えられる。

人気を集めるFF先物
FF金利30日先物は、必ずしも目新しい(上場されたのは1994年)プロダクトではないが、複数回の政策金利引き上げが予想される2017年の市場環境を背景に、市場参加者に再発見されているのである。

ここまで、政策金利引き上げに向けたFRB(米国中銀)の議論が高まりを見せるのに呼応して、FF先物に対する市場の関心も高まりを見せる結果となっている。過去4年で、日中売買高も増加傾向となっており、2013年の平均日中売買高が2万枚を下回っていたのに対して、今年2月の同平均は30万枚超に達している。また、売買高は特に、FOMCの議事録が発表された日に顕著な上振れを見せている。2月22日には、日中売買高が65万8720枚に、建玉(手仕舞いされる前のオープン・ポジション)が160万枚に達し、それぞれ過去最高を更新している。

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そして、記録的な状況は、売買高だけではない。「Fed Watch」は2016年、CMEグループのWebサイトで、最も閲覧されたページになった。年間で100万を超える閲覧回数に加え、メディアの記事に600回超、テレビやラジオに300回超、このページは引用されている。

これから
FRBの3月会合では、年内の政策金利引き上げ回数に関する示唆があるかもしれない。「一段の調整が適切」と発言したイエレン議長のガイダンスに加えて、市場の短期金利見通しに関しては「Fed Watch」から目を離せないことになる。ボラティリティーが高い環境では、「Fed Watch」への市場の関心度も高い状況が続くと考えられる。


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