中国投資家は、何故これまで以上の投資機会を得たのか?

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2017年1月27日 || OpenMarkets

国内消費増加に支えられ、より正常な成長率で発展を遂げる中国経済が世界の注目を集める中、中国の消費者が経済成長のバックボーンを成すことが明らかになってきた。

資産運用面では、新テクノロジーの導入により、台頭する中間層人口にとって投資の選択肢が広がっている。

インターネットアプリそしてオンラインプラットフォームの登場は、国内の株式のみならず海外市場における投資をも容易に可能にした。中国投資家にとって、これまで決してあり得なかった選択肢だ。

現在起こりつつある変化や新しいテクノロジーが中国投資家に与える影響について、CMEグループのマネージング・ディレクターであり、アジア太平洋地域の責任者であるChristopher Fixがどう考えるかについて話をしてもらった。また、業界インサイダーの観点から、Futu Securities International社の最高経営責任者であるDennis Wu氏にも参加していただいた。以下は、両氏とのインタービューを編集したのものだ。

OpenMarkets: 昨今、多くのオンラインアプリの登場により、中国本土の投資家は国内株式市場のみならず、海外市場でも簡単に投資できるようになりました。どのような要因が、これらのアプリへの需要増加に拍車をかけているのでしょうか?

Chris Fix: 現在中国では、多くの要因により変化がもたらされています。ここ数年の中国経済では膨大な流動性が創出され、広義での通貨供給量を意味するM2は2007年以来4倍に増加しました。一方、政府は住宅市場への投資過熱を避けるべく規制を厳しくし、景気は減速傾向にあります。結果、キャッシュが増大し、投資家は資産運用を多様化する方法を探しています。

OpenMarkets: 過去3四半期間において、資本流出、景気の減速、そして中国元を押し下げるようとするプレッシャーが広く取沙汰されてきました。中国本土の投資家は国内に資金を留めることに満足しているのでしょうか? また、資本を国外に出すことにより資産をヘッジする必要性は、投資用アプリへの需要をどれほど高めているのでしょうか?

Dennis Wu: 中国における中間層の投資家は、香港や米国の株式や先物取引へアクセスすることにかなりの関心を持っています。中国はより外に目を向けるようになってきており、その傾向は適格国内機関投資家プログラム(Qualified Domestic Institutional Investor program)や上海・香港両株式市場の相互乗り入れプログラム(Shanghai-Hong Kong Stock Connect)のような政策にも反映されてきています。その結果、中国本土の投資家は今や香港市場における株式出来高の約18%を占めるようになりました。今月後半には、深圳・香港両株式市場の相互乗り入れプログラム(Shenzhen-Hong Kong Stock Connect)が立ち上げられ、資金フローが一定の割合で持続的に増加することが期待されています。

上記ストックコネクトプログラムは双方向の取引を可能にするが、殆どの場合資金は中国から流出しているのが現実です。その原因の一つには、中国に投資可能な資産が不足していることにあります。すなわち、一般投資家は、より安値の市場における株式や先物等の外貨建資産を求めているというわけです。 先物取引に関しては、外国市場が適切な商品を取引できる唯一の場所となっています。例えば、為替変動リスクの回避を考える投資家は、グローバル市場における通貨先物や他商品に目を向けるでしょう。世間で中国不動産バブルが懸念される中、中国政府当局は資金が合理的なペースで国外へ流出し、国内資産バブルを緩和してくれることを歓迎しているのです。

OpenMarkets: 中国元緩和が持続した場合、オンライン取引アプリや他のオンライン資産管理ツールへの需要にどのように影響しますか?

Chris Fix: オンライン取引アプリの主たる利用者グループは、最近財を築いた若い世代であり、オンライン環境には馴染みがあります。国内における投資選択肢が限られているため、彼らはオンラインプラットフォームを迅速に取り入れています。彼らより上の世代は通常新しいテクノロジーを敏感に受け入れることは少ないが、彼らもまたゆっくりではあるが徐々に採り入れ始めています。中国では、個人が確立した金融システムを介して国外に送金できる上限は年間約5万ドルと制限されています。しかし、そのためには長期にわたるプロセスを経なければならず、更に純資産100万ドル以上という条件を満たさなければならないため、その実現には高い障壁があります。この点も、通常新しいテクノロジーには慎重なタイプの投資家も、オンラインアプリ導入に興味持ち始める要因となっています。中国元以外の外貨建て資産への多様化は、今後一層続くであろうトレンドであり、一般投資家がグローバル市場でのリスクをヘッジするための商品を活用するに伴い、現在進行中の中国元の国際化もまた、先物取引への関心をより一層高めることになるでしょう。

OpenMarkets: 一般投資家に役立つプラットフォームという観点から、既存のプラットフォームは十分にその役目を果たしているでしょうか? それとも、業界を揺さぶるような新しいプラットフォームが登場し導入される余地はまだあるのでしょうか?

Dennis Wu: オンライン取引プラットフォームは、中国の中間層にとって、海外市場における取引を可能にする新しい道を切り拓きました。ある推定によれば、現在1100億元と言われる中国の投資可能な資産は、2020年末までに約1960億元までに増加すると予測されています。誰もがフィンテック(金融テクノロジー)を口にするようになり、この新興市場の規模は確実に注目を集めています。金融サービスの必要性規模が注目を浴びる中、昨年度、いくつかの新しい取引アプリが登場しました。鉄鉱、綿、そして卵までをも含める広範囲の資産クラスにわたる取引を可能にするオンラインアプリも登場しました。弊社ではこれらの新しいサービスの登場を楽観的に観ています。なぜなら、改善の余地がある段階において、新しいサービスの登場はサービスの質を高めることに繋がるからです。市場データ、ニュース、そしてソーシャルメディアを介して互いの見解や意見を共有する等の分野において、ツールをより高度に改善する大きな可能性があり、市場はそれらの競合を十分に吸収することができ、それから利益を得ると考えています。

OpenMarkets: 中国本土の一般投資家は、昨年6月以来の株式市場暴落で大打撃を受けました。現在、投資家は株式市場をどう見ているでしょうか?リスクを再び受けいれる準備はあるでしょうか?

Dennis Wu: 大きな市場変動の後、投資家は当然見直しすることを強いられます。弊社では、中国株式市場に対して悲観的観点から徐々に自信を回復しました。資金フローのデータによると、投資家は慎重ではあるが、徐々に株式に戻り始めていることが分かります。投資家はショックから立ち直り、新しい投資機会へと前向きに進んでいるようです。

Chris Fix: 投資家の自信回復に重要なことは、市場が安定している、そして市場には流動性があり、毎日の出来高があるため、資産価格の変動を緩和できると実感することです。最近、中国国内市場において取引される商品価格に過度な変動がありました。大規模な資本流入により引き起こされた投機であるという見方をする評論家がいます。

いくつかの新興市場において、このような動きは悪い結果を招いてきました。よって、投資の多様化を望む中国本土の投資家は、商品先物のリスクを維持しながら、長期的には海外市場への投資を考えることが有益でしょう。

OpenMarkets: より自由な資本フローという観点から、中国は既存の障壁をどのように是正していくでしょうか? 中国から世界にむけて資本フローを自由化するという観点から、何か重要な政策変更が近々予定されているのでしょうか?

Chris Fix: 中国からの資本流出をより取り締まるというのが現在の傾向です。10月には、中国で最も人気のあるバンクカードを発行する中国銀聯は、中国本土の利用者がデビットカードを使用して香港の保険貯商品を購入することを制限すると発表しました。中国本土の利用者がカードを利用して事故、死亡、疾病時保険商品を購入することは引き続きサポートする予定です。中国監督機関は、穏やかではあるが確実に資本流出の源の取締りに力を入れています。

また、同10月に、中国元が国際通貨基金の特別引出権に加えられ、中国は深圳や杭州のような市にスタートアップハブを発展させる動きを一層強めました。上海の自由貿易地域もまた、外国投資家による、その地域の中国系証券・先物取引会社の株式保有率を引き上げることを発表しました。最近では、フィンテック(金融テクノロジー)は発展に欠かせない基幹産業と見なされるようになってきました。中国は、金融制度を徐々に開放することに熱心に取り組み、グローバル市場との強いつながりを築く努力をしています。

穀物先物がファイナンスにどう急激な変化をもたらしたか

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2017年1月12日 || Debbie Carlson

このシリーズでは、過去150年超にわたる先物市場の発展の中で開発された、画期的なプロダクトに焦点を当てていく。そして本稿は、このシリーズの第2回目である。

トウモロコシ、小麦、オーツ麦の先物が1877年に取引開始された当時、シカゴ商品取引所(CBOT)に居た12名の人物は、数兆ドルが世界中で毎年売買される手段を生み出したとは少しも気付いていなかった。

「CBOTは1848年に設立されたが、現在のように価格を決定して将来のある時点で受渡する穀物を売るというという標準的な商品に発展するまで、さらに約30年間を要した」と、CMEグループの穀物・油糧種子担当シニアディレクタのFred Seamonは述べている。

Seamonは、「設立以来、CBOTは、穀物取引の中心的存在になり、価格発見と価格の透明性の始まりの幕開けを担ったが、それでも農家と商人が収穫期前後しか集まらなかったため、ある季節に限った現物市場に過ぎなかった。シカゴが主要都市として発展を遂げたのは、ミシガン湖に接し、主要鉄道ハブであるというロケーションがその理由であったが、主要な船舶や鉄道が存在したとしても、商人は収穫期にシカゴに大量の穀物を運び込むことに手を焼いていた。

こうした状況が一変したのは、シカゴに穀物倉庫が建設された時だった。すぐに、倉庫のオーナーと農家は、穀物年度の終盤まで穀物の売却を遅らせることができれば、高いリターンを得られることに気付いたと、Seamon は述べている。したがって、初の先渡取引が始まり、最終的に、トウモロコシ、小麦、オーツ麦の標準取引に進化した。

「1877年に行われたそれらの取引が、初の先物取引となった。初の先渡取引の推進を促したのはシカゴの倉庫の建設で、最終的に先物取引に発展した」と、Seamonは解説し、「トウモロコシ、小麦、オーツ麦の取引はやがて、世界の先物業界の先駆けに一役買った」と、付け加えた。

そして、140年後も、その場所はいまだに世界の穀物価格のベンチマークとして関係しており、トウモロコシの先物取引は、世界で最も多く売買されるコモディティ市場の一つとなっている。出来高がどれほど大きく成長したかを理解するには、入手可能な最も古いデータである1921年を見ると、トウモロコシの年間の出来高は117万枚であった。2016年には、年間出来高が記録的な8,560万枚に達した。

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また、小麦も2016年の出来高が3,100万枚と記録を打ち立て、1921年の出来高の250万枚から大きく伸びて2,500万枚以上に達した。オーツ麦の出来高は1921年当時の53万738枚ほどではなく、2016年の出来高は22枚5,230枚にとどまったが、これは自動車が発明されて輸送手段が馬から自動車に代わって以来、米国の消費量はあまり大きくない。

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数十年間、穀物の先物は、主として国内市場を反映していたが、2000~2006年にかけて、いくつかのイベントが生じて、穀物市場が拡大し、世界中の注目を浴びるきっかけとなった、とSeamonは述べている。

まず、トウモロコシ取引が河川輸送に変化したことであり、この取引はメキシコ湾岸の輸出ターミナルまでの価格を反映しており、シカゴの穀物倉庫のほぼ半分が閉鎖されたことで、ターミナルが必要になった。小麦は既に、 メキシコ湾岸のターミナルへの供給専用向けに複数の河川と鉄道のロケーションが存在していた、と同氏は説明している。

「その当時は明らかに、市場は、国内中心から国際市場へ範囲を拡大し始めたときで、グローバル価格が実際に決定された。世界中から参加者も増え始めた」と、Seamonは述べている。

そして、もう一つの大きな変化は2006年に起き、日中の電子取引が導入されて市場に影響をもたらし、国内に加えて世界中の参加者数が一段と増えた。この当時、コモディティブームが進行中で、従来から参加する穀物の当業者、農家やその他の従来の投機筋に加えて、新規の参加者数も増えた。

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シカゴ商品取引所のトウモロコシ、小麦、オーツ麦の検品デスク、1940年前後

「電子取引は大きな変化を生んだ」と、アイオワ州ウェストベンドにあるMaxYield CooperativeのアナリストのKarl Setzer氏は指摘する。 「農村地帯の中西部でデスクに座り、即座に取引を履行できる。午前9時30分に注文を出せるようになる前は、忙しい日には、午後1時まで注文が履行できないこともあった」と、述べている。

また、電子取引は、圧倒的な地位を維持するのに一役買った。局地的な穀物市場が世界の異なる場所に誕生したとしても、 CBOTの流動性 は、世界中から市場参加者の大部分をひき寄せており、CBOTの市場は、先駆者としてのステータスを維持できていると、Seamon は述べている。

Hollander and FeuerhakenのパートナーであるGlenn Hollanderは、その家族が1990年代初頭からCBOTで勤務しており、その当時の市場の進化を思い起こした。同氏は、「出来高は伸びており、市場での農産物取引に直接関係しない多くの人の存在によって、穀物市場が資産クラスに押し上げられた」と、指摘する。

Setzerは、穀物市場が新規参加者の関心を映し出しているとの見方に同意していた。 「穀物は、ダウやナスダックの動向を反映するだけではなく、ウクライナや、南アフリカの情勢も反映している」と、述べている、と指摘する。

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シカゴ商品取引所の穀物の取引フロア、1900年。

「先物オプションの登場により、市場参加者のヘッジ手段は拡大した」、とSeamonとHollanderは指摘する。「標準的な月次オプションは揃っているが、週次オプションのような短期物オプションも存在しており、参加者は、米農務省(USDA)の穀物需給報告などのイベント近辺で、ニーズに応じてヘッジを活用できる」、とSeamonは説明する。

Hollanderは、「投機筋の市場参加者が増加したのに加え、価格は、穀物の需給などの単に農産物のファンダメンタルズ要因をもとに必ずしも売買されるわけではなく、 その他の経済要因の影響を反映していることもある」と、述べている。いまだ、価格の発見と透明性の手段として、世界中の農家や最終需要が関係している。

「インディアナ州の農家や、南アフリカの農家は振り返り、先物相場が上下しているのを目にして、市場が変化している兆候を感じている。ビッドが変わらなければ、XYZ Grain Coに依存する必要はない。 輸出の買い手や加工プラントについても、同様のことが言える」と、同氏は指摘する。

全米最古かつ最大のトウモロコシ生産者協会で、今年50周年を迎えるアイオワ州トウモロコシ生産者協会のCraig Floss経営最高責任者は、取引は、世界の食糧のサプライチェーンにとって極めて不可欠なものだと、述べている。これらの取引は、生産者と最終需要家双方に、そして特に食糧を自給自足できない国に安定をもたらしている。

「国家は、信頼できないパートナーとの貿易を望まないのは明らかだ。「この種の法的契約は、取引が完了するとの確信を両サイドに与える。さらに、国家は、国民への食料供給に関して必要なことを遂行できなくなったとしても、他の誰かに依存したくはないと考える」と、同氏は締めくくった。

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