オプション取引のデータ出力

options data dump

2016年8月16日 || Kira Brecht

投資戦略研究を専門とする米TABBグループが2年前に作成したレポートには、先物オプションの取引が間もなく拡大する見込みであると記述されていた。この分析は、まさに未来を予見するものであった。CMEグループで売買されたオプションの出来高は、昨年一年間で18%の増加を記録。過去5年の期間で見れば、出来高の増加率は68%に上る。

市場のボラティリティ水準が全般的に上昇していることや、FRB(米連邦準備理事会)の金融政策に伴う不確実性など、様々なマクロ要因によって先物オプションの売買が活発化している。

しかし、より大きな要因は、おそらく技術的な変化であろう。オプションの取扱商品は数年前に比べて増加し、市場参加者の多様性も増した。そして何より、オプションの電子取引へのアクセスが改善されたことが、市場に大きな変化をもたらした。

民主化するオプション取引
取引の電子化に伴う副産物として、オプションの価格やインプライド・ボラティリティを評価するためのデータ分析ツールが生み出された。こうしたツールの出現により、オプションの売買プロセスが様々な面で民主化され、従来に比べて容易にオプションを売買できるようになった。

「先物オプションの売買・分析ツールは、長い間、株式オプションのツールよりも劣っていました。幸いなことに、その差は完全ではなくとも、かなり縮まってきています」。こう述べるのは、ミネアポリスのブライトン・キャピタル・マネジメントでプリンシパルを務めるデイビッド・フェーラン氏だ。同氏は次のように説明する。「先物オプションは、より良いツール、週次・短期オプションといった新商品、そして優れた流動性とレバレッジを提供し続ける市場を通じて、より多くのトレーダーにとって魅力的な商品になりました」

立会場に起源を持つツール
近年の洗練された分析ツールが立会場で誕生したという事実は、それほど驚きではないだろう。

ニック・ハワード氏は、CMEグループの立会場で取引を始める前の4年間、ソフトウェア開発者として働いていた。市場とトレーディングに興味を惹かれたハワード氏は、オプション取引のクラーク(係員)としてオコナー&アソシエーツ社に就職し、その後はユーロドルの立会場でマーケットメーカーやローカル(取引所会員)としてトレーディングに従事した。そして間もなく、自分が持つ二つの能力――トレーディングとソフトウェア開発――を融合できる機会に恵まれた。

立会場のフロアブローカーは、1991年に、オプションの価格データをExcelのスプレッドシートにまとめるようハワード氏に依頼した。同氏はExcelの機能を使い、オプションの価格形成、ギリシャ指標、そしてボラティリティ曲線を容易に計算し、視覚的に表示することができた。このExcelを用いた価格分析は、たちまちフロアブローカーの間で人気となり、オプションの分析ツールは飛ぶように売れた。

ハワード氏はこう説明する。「そのツールはブローカーのために開発したもので、彼らが立会場でより良い仕事をするのに役立ちました。それは容易に使うことができ、すぐに取引に活かせるものでした」

そして2004年には、このオプション分析ツールをインターネットにも対応させてほしいと、顧客の一人がハワード氏に依頼した。こうして誕生したオンライン版のツールは、その後も発展を続け、今では70以上の国々で利用されている数十種のツール群へと成長を遂げた。

options dump table1

ハワード氏は立会場での仕事を7年続けた後、再びソフトウェア開発へと職を転じ、QuikStrikeの元となるツールをバンティックス・ テクノロジーズ(Bantix Technologies LLC)のために開発した。同社はシカゴを拠点とするソフトウェア開発・コンサルタント会社で、先物やオプションの分析ツールを提供している。QuikStrikeは現在、オプション市場のブローカーやトレーダーの間でもっとも広く利用されている分析プラットフォームの一つとなっている。

シグマ・アメリカズ(Sigma Americas LLC)のディレクターであるマイク・リフィス氏は、ハワード氏が初期に開発したExcelツールの利用者の一人であり、現在もその発展版であるQuikStrikeを利用している。リフィス氏によると、このツールが提供する大きな利点の一つは、先物オプション市場での「仮定シナリオ」を計算できる点にある。

「オプションの現時点での状況に加えて、時間とともにどう変化するかということが視覚的にわかります。このツールを使えば、様々なシナリオを分析することができます」と、同氏は語る。

オプション取引を視覚化する
今日のトレーディングで分析ツールが中心的な役割を果たすようになったのは、立会場から電子市場へと取引の場が移ったことにも関係している。これは、単に利便性の問題だけではない。取引の電子化によって、トレーダーは今までにない方法で市場を分析できるようになった。

CMEグループのプロダクト・マネージャーを務めるカリック・ピアースは、こう説明する。「オプション取引で成果を上げるためには、オプションの市況を迅速に把握しなければなりません。QuikStrikeのツール群は、先物オプションの構成要素である複合的な変数を視覚的に分析することができます」

換言すると、QuikStrikeの優位性は「情報の量」ではなく、情報をどのように集め、それを「どう表示するか」という点にある。

「情報が手に入ったとしても、それが理解され、活用できるものとして、すべての人に提供されているとはかぎりません」と、ハワード氏は説明する。

同氏は立会場で過ごした長年の経験から、トレーダーが必要としている情報が何かを学び、データをグラフ形式で配信するツールを開発した。

「今後数年間の私たちの目標は、より視覚的な方法でもっと多くの情報を提供できるように努め、人々が取引の判断をより容易に行えるようにすることです」と、ハワード氏は話す。

ブライトン・キャピタル・マネジメントのフェーラン氏は、すでに3年間にわたってQuikStrikeを利用しており、機能の増加とともに利用の幅をますます広げている。

その理由について、同氏はこう説明する。「弊社では当初、一日の終わりに一度だけQuikStrikeを使っていました。現在では貴重な情報源として、立会時間の最中や、アフターアワー(立会時間後の取引)の分析にも利用しています。このツールを使い始めてからは、より適切な情報を元に判断が下せるようになり、スプレッドシートにオプションのデータを流し込むためのAPIも不要になりました」

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QuikStrikeは、CMEグループのプラットフォーム上で3年前から利用できるようになっている。ピアース氏はCMEの市場参加者向けに提供されている無数のQuikStrikeツールを指差し、次のように説明する。「ユーザーはこれらのツールを通じて、市場で起きていることをより良く理解し、特定の商品についての自信を深めることができます。また、建玉を保有する際の障害を取り除くことにも役立ちます」


金融サービスはクラウドへの準備ができているか?

cloud ready

2016年8月2日 || Peter Shadbolt

コストの削減や開発期間の短縮といった効果を持つクラウドは、あらゆる人にとってメリットがあるように見える。

これまでは数ヶ月間を要したインフラの構築も、今ではほんの数分間で行うことができる。

「こうした変化のことを、多くの人は第4次産業革命と呼んでいます」。最近ロンドンで開催されたTech Talk 5.0でこのように述べたのは、アマゾン・ウェブサービスで国際金融サービス業務部門の代表を務めるスコット・マリンズ氏だ。「世界はすでに新しい領域に入っており、テクノロジーの導入や配備についても同様のことが言えます」と、同氏は指摘する。

ビッグデータからモバイルデータのマイニング、リスク分析からデリバティブ取引に至るまで、クラウドが金融のプラットフォームを一変させている。

マリンズ氏は次のように説明する。「私たちの金融サービスの顧客は、主に2つの理由からアマゾン・ウェブサービス(AWS)に乗り換えています。一つは、IT業務をクラウドにアウトソーシングすることで、テクノロジーの管理から解放され、自社のビジネスに専念できるという分業化の効果です。

もう一つは、事業の根幹に関わる理由です。大手金融機関は、法令遵守の厳格化に伴うコストの増加や、頭打ちとなっている収益環境に対応するために、より良い経済性を求めてクラウドに乗り換えてきています」

クラウドの導入が加速する中、規制当局も「クラウド型」の未来に備えている。

参照:Tech Talk 5.0でのクラウドに関する議論

英国の金融監督機関(FCA)が最近発表した声明は、銀行や保険会社などの金融サービスがクラウドに移行することを後押しするものであった。

FCAの声明は、「しかるべき検討とともに、(公共のものを含む)クラウドサービスが私たちの規則に沿った形で実行できないという、根本的な理由はない」と述べている。

英国のクラウド産業フォーラムは、マイクロソフト、シスコ、デルといった大手のベンダーや小規模の会社を含む45の事業者から成る団体であり、クラウドの現況を調べることを目的として、英国内の250社を対象に一年毎の調査を実施している。

同団体のCEOであるアレックス・ヒルトン氏は、次のように説明する。「本年の調査結果の要点は、78%の機関がクラウドを利用しているという事実です。そのうち75%は、この先の一年間にクラウドの配備を拡大することを計画しています」

この調査はさらに、これらの機関がより広範なタスクにクラウドを用いるようになっており、クラウドへの信頼が高まっていることを顕著に示している。

また、ハイブリッドクラウド――オンプレミス(自社設備への導入)とサードパーティのクラウドサービスを組み合わせたもの――が示す統計は、クラウドサービスの今後の方向性を明確に物語っていると、ヒルトン氏は指摘する。

クラウド産業フォーラムが1年前に実施した調査では、55%の機関がハイブリッドクラウドによるIT業務の運営を計画していた。しかし、最も新しい調査では、その割合が37%まで低下している。

「ここでのポイントは、全てをクラウドで運用する“クラウドオンリー”へと舵を切る方策です。IT基盤をクラウドオンリーで整備したいという願望が、機関の間で顕著に見られます」と、ヒルトン氏は説明する。

同氏によれば、金融サービス業は規制問題(特に治外法権に関する問題)に直面するリスクがあり、旧来からの統合問題に経営陣が頭をかかえる中、多くの英国企業は変化を熱望するようになっている。

最も重要な質問
クラウドは、企業がこれまでITに投資してきた巨額の予算を侵食することになるかもしれない。しかし、依然として導入の妨げになっている主要因の一つが、セキュリティの問題だ。

マリンズ氏は、潜在的な顧客からクラウドについての問い合わせを受ける際に、最も多く聞かれる質問がセキュリティ関連であることをTech Talkで語った。実際のところ、これらは認識の問題であることが多いと同氏は指摘する。

「もしあなたがリスク回避を望むビジネスオーナーであるなら、クラウドを利用することの安全性について漠然とした疑問を持たれるかもしれません」

「一方、同じ企業のITセキュリティ部門、第三者監督部門、または内部監査部門の担当者であれば、AWSクラウドのセキュリティ構造を理解した上で、セキュリティの義務を履行するためにクラウドが果たす役割について、より強い確信を持つことができるでしょう」とマリンズ氏は述べる。

同氏によると、寄せられる質問の内容は目まぐるしく変わっているという。

「規制の順守に関する話題が引き続き主要なテーマですが、『クラウドの導入を支援してくれる有能な人物はどこで見つかりますか?』という質問がより多く寄せられるようになっています。クラウドの包括的なスキルに対する需要は、今日の市場で指数関数的に高まっています」

セキュリティの侵害やITの外部委託管理による影響、またはデータの物理的な保管場所に関する規制当局からの警告などは、企業の評判を揺るがしかねない。こうした懸念は、潜在的な顧客がクラウドの導入を断念する理由にもなっている。

クラウド産業フォーラムは、セキュリティ侵害に関する直接的なアンケートを実施している。ヒルトン氏によれば、現実にセキュリティの過誤が生じたことを示す確たる証拠は、稀にしか見られないという。

同氏はこう説明する。「その割合は非常に低く、1%から2%程度に収まる傾向があります。多くの場合、(クラウドを通じて)より堅牢なテクノロジーになると考えられます」

法域を越えて移動するデータ
テクノロジーの問題に加えて、法令遵守の課題も残る。

CMEグループのマーケット・テクノロジー/データサービス部門でマネージングディレクターを務めるクレーグ・モーハンは、Tech Talkの会合の中で、データが法域を越えて移動することについて業界は注意すべきであると語った。

「個人情報の保護規定はどうなっているか? 州、国または地域によって、それはどう異なるか? あるデータの取り扱いで、私たちに許可されていることは何か? こうした検討課題は、従来は考慮する必要のないものでしたが、現在は避けて通ることができません」

しかし、クラウドが生み出した問題は、最終的にはクラウド自身によって、他のどんなテクノロジーよりも優れた解決策がもたらされるだろう。

BMLLテクノロジーズの最高技術責任者(CTO)であるスティーブ・ホールデン氏は、Tech Talkで次のように述べた。「クラウドの普及により、クラウド自身が法令遵守を支援するための有効な手段になりました。データの所在地は、今後の5年間で私たちが取り組まなければならない最も重要な法令遵守の一端となるでしょう」。




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