鉄鉱石市場のニューノーマル?

IRON ONE

2015年1月30日|| OPENMARKETS

商品市場は、中国が主導してきたスーパーサイクルの、頂点部分を形成する数年間が終了したという現実に、対応しようとしている。世界の鉄鋼の半分は中国が生産していることを考えれば、この世界第2位の経済大国の失速による影響を最も受けるのは鉄鉱石、ということになる。実際、鉄鉱石市場は、年初から既に50%の下落となっている。

この急落にもかかわらず、市場見通しは、世界最大の市場における需要低迷と不透明な今後の供給状況を背景に、依然として予想が難しい状況となっている。

そうした中、散見される予想の多くは、市場での安値更新に対して供給サイドがどう対応するかが、その先の相場の流れを決定する要因であるとしている。シティグループのアナリストは、鉄鉱石の供給過剰は2018年までに3億トン超に達するとした上で、2015年は1トン当たり50ドル程度の水準に突入する可能性があるとしている。

実際、BHPビリトンやリオ・ティントなどの石業界大手は、軟調な相場展開に臆することなく、生産能力の積極的な拡大姿勢を繰り返し示している。彼らほど楽観的でいられる余裕がない業者については、高コスト体制の生産者間での再編が予想されている。

他方、こうした不安定な状態を背景に、鉄鉱石価格の確実性に対する要望も高まりを見せている。鉄鉱石価格の乱高下という足元の状況は、たった6年前に、業界が年間の固定価格をスポット価格連動でより短期の契約にシフトした後の出来事なのである。結果として、多くの当業者が、価格リスクの管理を目的に、初めて、デリバティブ契約への関心度を高めている。

鉄鉱石業界が直面する変化と金属商品関連のデリバティブの最適な活用方法方に関する理解を深めるため、CMEグループの金属商品担当シニア・ディレクターのヨンジン・チャンと金属商品担当ディレクターのイヴォンヌ・チャンに詳細を聞いた。

最近、鉄鉱石市場のボラティリティ―が高くなっていることを背景に、スポット価格の採用の動きは業界で急速に進んでいるのでしょうか?
イヴォンヌ・チャン(YZ):
業界では明らかに、相対の固定価格契約からスポット価格契約への移行がみられます。相対固定とスポット価格の取引は現在、およそ3:7の割合だと思います。スポット市場の現物取引量はここ6年ほどで、2000トンから10億トン超にまで拡大しています。

市場は今や、鉄鉱石や鉄系金属の恒常的な高ボラティリティ―環境に慣れてきている、と思いますか?。
ヨンジン・チャン(YC):
2008年以降、スポット価格への移行や鉄系金属セクターの高ボラティリティ―は、市場のニューノーマルになっています。このニューノーマルは同時に、スワップやオプションなどで取引需要を集める結果ともなっています。相場の大幅下落を経験したところですが、こうした環境では、価格の安定性に対する顧客需要は特に高まります。

ヘッジという考えにこれまで否定的だった人が今ではヘッジに関わっている、またはヘッジを検討している状況です。、ビジネス面での関心は、これまで以上に高まっていると言えます。例えば、鉄鋼大手のアルセロール・ミタルやタタ・スチールがデリバティブを利用する用意があるとの 最近の発表 は、デリバティブ取引の利用が業界の主流になりつつあるということですし、象徴的だと思います。

また、事業やリスク管理の規模を増大しているカーギルなど、早い段階からヘッジを取り入れていた企業についても取引の拡大がみられます。こうした取引の拡大は、多国籍企業の範囲を超えているのです。米国では、ワージントン・インダストリーズやフラック・スチールなどの中堅企業でも、フルタイムのリスク管理担当者を置いていることが知られています。中国の業界ではもはや、鉄系金属のデリバティブ取引は新味のある話題ではなくなりました。


更に詳しい話を読む:新しい鉄鋼会社


Q – 景気後退の中にあっても、中国は鉄鉱石市場の主体的なプレーヤーであり続けると思いますか?。
YC:
思います。成長の減速にもかかわらず、中国は現在でも世界の粗鋼生産量の50%を占めています。これは必然的に、同様の割合で世界の鉄鉱石も中国で消費されていることになります。中国の沿岸部では特に、既存都市の外側に向けて都市化の流れが続いていることから、ビルやインフラの開発需要に余地が多く残されています。世界の鉄鉱石市場において、中国はこれからも主体的な消費国であり、引き続き重要な役割を果たすことになると思います。

一方で、鉄鋼業界内での統廃合の進展、そして国内で処理されるスクラップ金属の影響を受けて、中国の需要は多少失速するものと予想しています。

Q – 現状、見られている取引活動はどの様なものですか?例えば、鉄鉱石鉱山会社、鉄鋼メーカーまたは鉄鋼の最終需要家のヘッジに対する関心度はどうでしょう? ヘッジファンドによる投機的取引は、増加したりしていますか?
YZ:
全般的な流動性の引き締めが背景となって、「ホットマネー」は目立たなくなっているというのが大きな変化です。つまり、市場はより業界の需給要因に左右される展開になっていて、これはポジティブな変化だと考えています。現在、市場を主導しているのは、ヘッジファンドよりもむしろ当業者や業界の参加者たちです。

YC:付け加えるなら、どの地域を対象にしているかで、市場の主導的な参加者はある程度左右される、という面もあると思います。米国では、最近の大幅な価格変動を背景に、ヘッジファンドと当業者が、共に取引への興味を高めています。

Q – 何が市場の焦点になっていますか? – 中国の需要、それとも供給状況でしょうか?。
YC:
より信頼性が高いですし、操業コストが高い鉱山がどの水準で閉鎖に追い込まれるかは様々ですが、市場の焦点は供給状況だと思います。ご存知のように鉱山開発は数年にわたるプロジェクトで、今後数年間、新規のこうしたプロジェクトのいくつかが操業を開始することから、生産能力はさらに拡大すると予想されています。過去の価格上昇期に、鉱山会社の多くは再投資を行い、生産能力の拡大に努めてきました。同時に、より高コストで小規模な鉱山が多数、生産を開始していることから、市場での下落圧力が続けば、こうした鉱山の多くは操業停止に追い込まれるでしょう。

Q – デリバティブの利用に対して寛容さを高めてきている中国企業ですが、取引の目的はヘッジでしょうか? それとも、トレーディングでしょうか?また、この点について、最新の規制動向はどうなっていますか?
YZ:
政府はオフショア取引が許可されているカウンターパーティのリストを更新していませんが、オフショアの複合企業で自己のリスクのヘッジ取引を許されている企業の数は増えています。また、自由貿易特区を通じた自由化の取り組みの拡大など、市場改革の取り組みが他にもあることを強調しておきたいと思います。

上海自由貿易特区では2015年までに、原油、ガス、鉄鉱石、綿花、液体化学品、銀、バルク、非鉄金属などの取引を目的に、8つの国際取引プラットフォームが設立される見通しです。また、中国国務院は、天津、福建、広東でも更なる自由貿易特区を承認しています。鉄鉱石、石炭、鉄の完成品にとって重要な価格設定ポイントとなることから、これは極めて明るい材料です。

Q – 鉄鉱石、鉄鋼、金属製品の相関関係は、最近の相場の調整局面でも維持されていますか?
YC:
必ずしも維持されている、とは言えないでしょう。同じ製品でも、地域によって相違が生じています。これが、異なるサプライチェーンによる価格リスクの軽減を可能にするため、一連の様々な商品を提供している(「実質上の鉄鋼会社」のコンセプト)理由の一つです。

Q – 中国では、どのような規制の取り組みが展開されていますか?また、今後、中国市場が指標となったり、価格形成をリードする市場となる可能性については、いかがですか?
YZ:
中国は、世界最大の金属消費国であり、生産国でもあります。したがって、市場流動性の多くを中国が提供することになるでしょう。ただ、中国がその前提で力任せに新しい指標を作り出せるほど、事は簡単ではないでしょう。指標とは、大方の市場参加者にそうであると認められる必要があります。中国の国際化は進んでいますが、この分野では成されるべきことがまだ多くあります。

Q – 中国でさえも、鉄市場でスクラップが果たす役割が大きくなっていくと予想するべきですか?
YC:
スクラップの役割は、大きくなっていくでしょう。中国経済が成熟し、技術が発展するにつれ、スクラップの重要性は増していくと思います。とはいえ、技術、オペレーション、輸送コストの感応度など、様々な要因を考慮する必要があり、スクラップで鉄鉱石を単純に代用するということが必ずしも可能、というわけではありません。その上で、スクラップは鉄鉱石需要において、その代替品となる方向に動いて行くと思います。

Q – CMEグループは最近、鉄含有量58%以上の鉄鉱石取引を開始しました。この商品について、その背景を説明して下さい?
YZ:
この商品は、鉄鋼会社が(中国やインドを中心に)低品位の鉄鉱石を用いる傾向が強いアジアに、より良いサービスを提供する事を目的にデザインされたものです。とりわけ、現物商品と鉄含有量62%の商品との取引に格差がかなりみられる現状では、この商品は顧客ニーズへのよりマッチした対応を可能にしています。

Q – 来年、新しい鉄系金属の取引を開始する見込みはありますか?
YZ:
顧客への対応と対話などから、取引アクセスの拡大が進んでいること、そして地理的条件に制限されない取引環境への希望が高まっていることを認識しています。市場参加者とは定期的に意見交換しており、新しい鉄系金属取引を開始するとすれば、それが顧客のリスク管理に対するニーズの進化に対応した商品であることは確実です。


米経済の強さ示す7つの指標

7 reasons

2015年1月30日 || ERIK NORLAND

FOMC(米公開市場委員会)メンバーの多くが、関心を予想よりも好調な雇用創出についての懸念から、予想よりも低迷している時給の伸びに移している。事実、2014年の平均時給は前年比1.7%の伸びにとどまった。そのため、かなり気になるというわけだ。しかし、そうではないだろう。むしろ平均時給の低迷によって、米労働市場の改善を示唆する7つの素晴らしいプラス要素が、かすんでしまっているのだ。具体的には次のとおり。

1. 平均労働時間が34.3時間(2013年12月)から34.6時間(2014年12月)に0.9%増加した。

2. 平均時給の伸びが鈍かったにもかかわらず、平均給与は全体的に2.6%増加した。

3. 米国の総雇用者所得は、2007年以降で最高の伸び率となった。

4. 2014年末のインフレ率は0.8%(消費者物価指数)であった。したがって、2014年の実質賃金は1.8%増となる。

5. 2014年に雇用者数は2.1%増加し、1999年以来の高い伸び率となった。

6. 名目賃金の伸び率が2.6%で、雇用者数の伸び率が2.1%であることから、総雇用者所得の伸び率は4.7%となる(図1)。

7. したがって、実質総雇用者所得の伸び率は3.9%となり、これは数年ぶりに高い水準だ(図2)。

 • 要素1~5のデータはBLS(米労働省労働統計局)から入手した。


もちろん、実質値の伸び率を押し上げた要因のひとつとして、原油価格の下落が挙げられる。ただし、総雇用者所得の改善度合いを実質値で表すのに、通常のインフレ率ではなく、コアインフレ率で引いたとしても、依然として3%近い数字だ。相当な水準といえる。

これらの数字は、2014年に家計債務の水準が大きく変化しなかったことを考えると、さらに印象的となる。消費者向けローンは自動車ローンを含め増加した。しかし、住宅ローンの伸びが極めて緩やかだった。したがって、2003~2007年に比べて、はるかに健全かつ持続的な拡大であるといえるだろう。

図1
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図2
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ゼロ金利政策放棄の議論

THE ARGUMENTS

2015年1月29日 || BLU PUTNAM

FRB(連邦準備制度理事会)が金融政策を議論するFOMC(連邦公開市場委員会)は高い確率(およそ60%)で、4月28日‐29日開催時、または6月16日‐17日開催時において、現行のゼロ金利政策を放棄すると見られている一方、それ以前にFRBが短期金利を引き上げる確率は低く(5%、またはそれ以下)、同様の決断が2015年後半やそれ以降に延期される確率は35%となっている。興味深いのは、こうした予想の決定要因が低迷を続けるコア・インフレであって、米国の雇用市場環境ではない事である。さらに、世界経済やエネルギー市場などの観点からは一段とインフレ圧力が高まる可能性が示唆されており、こうした材料もFOMC内のセンチメントに影響を与えると考えられる。

2015年に加速する平均時間給の上昇率
ここ5年に及ぶ景気拡大期を通じて失業率が低下した一方で、平均時間給の上昇率が低迷を続けている事が、これまで懸念とされてきた。1990年代のITバブル形成期にはその後半で、平均時間給の上昇率は前年ベースでプラス4%のピークを打った。今回の住宅バブルでも、その後半となる2006年から2007年にかけて、同上昇率は4%でピークを打つ結果となっている。上昇率はその後、2008年から2009年の景気後退期に、年率2%を下回る水準にまで落ち込むことになる。そして、同上昇率は依然、脆弱な水準での推移となっている。個人的には、2016年の中頃までにはプラス3%程度まで改善すると予想している。ただ、それであったとしても、FOMCにとっては失望に値する水準であり、短期金利の引き上げに関する決断を遅らせる材料ともなる。

インフレ予測指標としての時間給上昇率
FRBのイエレン議長を含めたFOMCのメンバー数人は、消費者物価に影響してくることになる将来的なインフレ圧力を示唆するものとして、平均時間給の上昇率を意識している。ただ、1960年代や70年代にはこうした見方を支持する統計的な証左があったかもしれないが、ここ20年余りでは、コアの消費者物価と平均時間給の連動性に関して特筆するべきものが無いのも事実である。もしあるとすれば、概して低下することになる景気後退期後の平均時間給について、コア・インフレ率がその低下の最低値を、緩慢ながら限定的にしていると考えられることである。景気拡大期の後期では、平均時間給の上昇率とコア・インフレ率の間のスプレッドは、結果的に拡大する。足元の景気拡大期についても同様のパターンが形成されつつあるとも考えられるが、現状の平均時間給は、輸入品との競争が激化していることなどの要因によって、その上昇率が抑制されている状況にある。

世界経済の影響
米国外に目を向けると、原油価格が大きな下落を見せ、為替市場では相対的なドル高、中国経済は(2015年の成長率について6%-7%が見込まれているにも関わらず)減速基調を継続している。また、ごく僅かではあるし、不揃いでもあるが、新興国のほとんどでは実質GDPがプラスで維持されている。こうした背景を考慮すれば、米国経済は好調さを維持していると言える。ただ、米国経済が世界経済から受ける悪影響が強い現状が続くのであれば、FOMCのメンバーの多くは金利の引き上げを躊躇せざるを得ない。

非常事態対応型の収束
「ゼロ金利政策の終了」を強く求める議論には、量的緩和や現行のインフレ率を下回る水準に設定された短期金利などの緊急避難的な金融政策を、穏やかな成長を過去5年間続けてきた米国経済はもはや必要としない、とする視点がある。FRBには実際、過剰に緩和的な政策を必要以上に長期間継続したという事例が過去、何度かある。私個人としては、今回の政策金利引き上げに関して、世界経済に大きな影響を与えるイベントが起こらないと仮定した上で、今年6月までの段階で、FOMCの決定に投票権を持つメンバーは短期金利引き上げについて積極的になると予想している。短期金利はおよそコア・インフレ率の水準まで引き上げられ、FOMCはその段階で政策金利の引き上げを一旦、中止するだろう。米国経済、米ドル、インフレ、そして雇用市場への影響を掌握するためである。短期金利を引き上げるために用いられるのは、銀行の余剰資金を管理するFRBの当座預金における金利(現行は0.25%)の引き上げであり、引き上げ幅は、0.25bpt単位だったこれまでとは異なり、より大きなものとなる可能性があることに注意しておきたい。

ブルフォード・プットナムの「2015年米国経済見通し」は、こちらをご覧ください。



2015年に注目すべき金融テクノロジーの4つのトレンド

FOUR FINANCIAL TECH TRENDS

2015年1月26日 || ARI STUDNITZER

新しい年の初めには、新鮮な意気込みとともに多くの予測が立てられる。これは金融テクノロジーのように発展の目まぐるしい分野では、特に顕著である。2014年には、Hadoopのようなテクノロジーが金融機関に新しい道を切り開いた。2015年の残り11ヶ月では、どのような変化が起こるだろうか?金融業界における今年の新しいトレンドについて、私たちの予測をいくつかご紹介したい。

顧客体験 - 顧客体験は不可欠な要素である。現在は中小企業も世界的なビジネス展開を求めており、テクノロジーが単に「新しい」というだけでは不十分だ。これからは世界水準のデザインと利用者視点を備えたツール、つまりカスタマー・ジャーニーマップのようなツールが必要となる。そして、顧客が24時間アクセスできるように、企業はよりシームレスなサービスを模索するようになるだろう。CMEグループが開発中の新しいポータルサービスは、その一例だ。このサービスが完成すると、私たちの顧客はモバイルを含むあらゆるネットワーク機器を通じて、ひとつのログインで、CMEグループのウェブサービスを利用できるようになる。このポータルは、より堅牢で効率的な通信メカニズムを提供するだけでなく、将来的にはワークフローの改善や効率化といったメリットも生み出すだろう。

セキュリティ -テクノロジーの分野では、より大きな脅威が広がっている。最近明るみになったいくつかの不幸な出来事は、絶え間ない警戒、セキュリティ、そしてコンプライアンスを重視することの必要性を再認識させるものとなった。私たちが最近導入した二要素認証(2FA)は、セキュリティ強化の一例だ。この認証方式は、ユーザーがより安全に私たちのウェブサービスにアクセスすることを可能にしている。いわゆる「ゼロデイ脆弱性」を防ぐ手立ては無いものの、未然に攻撃を防ぐためのセキュリティ対応は2015年の優先事項となり、その先もずっとそうなるだろう。最近では、セキュリティ関連の新しい販売業者や画期的な製品が多く登場しており、セキュリティの問題解決に向けて大きな将来性が見込まれる。暗号化メッセージングアプリのWickr(ウィッカー)は、その一例だ。

デモクラタイゼーション (大衆化) - インフラが整備され、Ducoのようなソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)が普及するなど、クラウドサービスが急拡大している。2015年には、いよいよクラウドの恩恵を誰しもが受けられるようになる。加えて、エンドユーザー向けのツールやサービスも充実してきており、この流れはますます加速するだろう。米国のオプション取引所は、10年前であれば一部の限られた人しか利用できなかったような高機能のオプション分析ツールを顧客に提供している。当グループでは、重要なバリューチェーンとリスク管理の仕組みを維持しながら、CME Directの取引プラットフォームやCME CORE 証拠金ツールなど、以前ならほとんどの人が利用できなかった機能をエンドユーザーに提供している。このように高機能のツールをエンドユーザーに提供する取り組みは、今後より多くの金融テクノロジーで見られるようになるだろう。

データサイエンス - ビッグデータを集めることに多くの企業が四苦八苦してきたが、今後は明らかに、集めたデータの付加価値をどう高めるか、という点に関心が移るだろう。HadoopやApache Sparkなどの新しいテクノロジー、ハードウェア・アクセラレーション、そしてオラクルのアプライアンス製品は、以前なら想像もできなかった分析や自動化を可能にしてくれるが、これは最初のステップに過ぎない。最終的に得られる成果は、市場に関する優れた洞察と、効果的な情報利用にある。また、機械学習アルゴリズムなど、これまでは考えられなかった最新テクノロジーとの融合も期待できる。例えば、Enlitic(エンリティック)は医療診断を改善するために機械学習の最新技術を用いており、とても興味深い。2015年の金融テクノロジーをより良く利用するために、重要で新しい活用例をいくつかご紹介した。これらは、今後覚えておくべきポイントになるだろう。



インフォグラフィック:先物オプションの目覚ましい成長

INFOGRAPHIC THE REMARKABLE GROWTH OF OPTIONS ON FUTURES

2015年1月14日|| DEREK SAMMANN

2014年10月15日、この日のCMEグループ全体の出来高は3,900万枚を超え、過去最高記録を更新した。このうちオプション取引は約730万枚で、これも過去最高を記録した。

当日は地政学的要因や政治要因が集中したことで市場のボラティリティーが高まり、その基調は第4四半期の大半において持続した。一方でオプションについては、かなり長期間にわたり増加基調をたどっている。以下のインフォグラフィックが示す通り、リスク管理ツールとしてのオプションの目覚ましい成長が目立っている。

options growth

金融危機後、あらゆる資産クラスにおいてオプションが人気を博しており、5年前に約3,000万枚だったオプションの月間出来高は2014年には月間約5,0000万枚に達した。2014年の出来高は 1日平均250万枚を突破した。

ファンダメンタルズが果たした役割りはあるものの、グラフに示された成長を当時のファンダメンタルズだけを背景に説明するのはもはや十分ではない。オプション取引は長期にわたりかなり着実に成長基調を示しており、オプション取引に対する市場参加者の習慣がどのように変化したかについて、哲学的な疑問がわいてくる。

オプションを取引する理由は多数存在する。オプションは権利を付与するが、特定の先物商品を取引する義務はない。したがって、オプションはより少ない証拠金コストで取引を行えて、しかもあらゆる種類の市場のリスクを管理するためのより柔軟な手段でもある。

重要なのは、ここ数年におけるオプションの成長ぶりは、CMEグループの取り扱う市場のあらゆる資産クラスでみられ、農産物から金利まであらゆる商品が着実に伸びていることだ。このトレンドは11月に入っても続き、あらゆる資産クラスの出来高が前年同月比で7%以上増加した。その中でもエネルギーのオプションは、42%増と伸びが目立つ。

代替手段の拡大
オプションは、かなり前からこれらのあらゆる市場で機能しており、当初から、柔軟性が高くより少ない証拠金で取引できるというメリットが存在している。変化したのは、オプションのツールキットのサイズとそのアクセスのしやすさである。

最も顕著なのは、週間オプションの人気であり、これはより短い期間が対象で標準的なオプションの代替となる。週間オプションの存在により、ユーザーは特定の経済イベント前後に伴うリスクに絞り込み、より精緻にリスクを管理できるようになっている。たとえば、毎月発表される雇用統計の発表では、発表日の金曜日にE-mini S&P 500先物の週間オプションの売買高が急増する場合が多い。全般的にボラティリティの高い最近の環境では、あらゆる資産クラスの週間オプションの利用が拡大する一方である。エネルギと通貨の週間オプションの出来高は、11月に過去最高を記録した。

電子化
トレーダーにとって、おそらく電子取引の役割の大幅な拡大ほど、オプションに対する見方を変えたものはないだろう。オプションはここ数年前までは、様々な複雑な戦略が伴うゆえに、取引所ピットで主に取引されていた。利用可能なトレーディング技術では単に、オプション取引のスプレッドのようなものが取引できなかった。そうした環境が変化したのだ。CMEグループのオプションの月間出来高に占める電子取引の割合は、2014年に初めて50%を超え、11月にはスクリーン上でのオプション取引が過去最高の54%を記録した。家畜のような一部の市場については、電子取引の割合は80%にも達している。

電子取引プラットフォームであるCME Globexにクォート要求(RFQ)機能が組み込まれるなど、オプションの電子取引の技術は進化を遂げている。RFQの利用により、スプレッド取引などのより複雑なオプション戦略を行え、コンピュータ画面で世界中の市場参加者とまさに取引ができる。RFQを送信すると、CME Globex上で取引可能な固有の銘柄として示され、市場参加者に(ピットで市場に呼び値を叫ぶブローカーのように)買値と売値の呼び値の提示が求めることができる。RFQを送信しても、それで取引をする義務はない。

このため、過去に先物の電子取引のみしか行っていなかった人やマーケットから全く遠ざかっていた人にとって、オプション取引が実用的なリスク管理ツールとなった。アクセスの容易さに加えて、オプション取引は画面で約定した注文を見ることができるという高い透明性ももたらした。11月の月間データでは、金属のオプション(金、銀、銅)は、RFQの使用でとりわけ力強い伸びを示した。

INFOGRAPHIC graph

すでに述べてきたように、オプションにとっての全く新しい世界である。オプションは、ここで取り上げてきたようなボラティリティの高まる時期には特に有効に機能する。だが、ボラティリティが後退した時でも、より多くの市場参加者を利用する新たな電子戦略によって、オプションの成長はデリバティブ市場で定着するかもしれない。



年間売買高記録更新: 想定額面1000兆ドル超に

TODAY’S NUMBER MORE THAN $1 QUADRILLION TRADED IN 2014

2015年1月13日|| EVAN PETERSON

2014年初め、売買高に関する話をすると常に、相場の「ボラティリティーへの回帰」に言及することになった。先物の売買高は総体的に低迷気味だったし、ほとんどの資産クラスにおいて、相場の日中レンジは限定的だった。ただ、その後数か月で状況は激変し、結果として、市場には高ボラティリティ―の嵐が吹き荒れることになる。FRBはQEの縮小に踏み切ったし、市場は、FRBの次の一手として、政策金利の引き上げを意識する様になった。さらに、中国の需要が引き続き失速傾向を辿る一方、中東紛争に加えてウクライナ情勢が緊迫化するなど、突如として、世界を取り巻く状況はそれまでとは様相を異にするものになった。CMEグループの取引所で上場される資産クラスに関しては、こうしたボラティリティ―の高まりを背景に、全般的な売買高の増加が見られ、結果的に1370万枚と、2014年はその160年の歴史中で最高の年間売買高を記録する年になった。この記録的な売買高をドル換算すると、2014年にCMEグループの取引所で売り買いされた想定額面の総額は実に、1000兆ドルを超える金額となる。ゼロが15個並ぶ額である。

実際には、記録的な売買高に向けた勢いは年初からあったものの、地政学的リスクと国際的な政治イベントが重なり、売買高記録を更新し始めたのは10月からに過ぎない。この時期、金利商品の役割について、フィリップ・スタフォードが英国のファイナンシャル・タイムスに書いている。

「こうした売買高には、債券先物やユーロドル金利先物など、FRBの政策動向に関連するプロダクトにおけるCMEの支配的な立場が反映されています。FRBが10月にQEを終了したこと、そして政策金利の引き上げに対する市場の期待が高まったこと、こうした背景がCMEに上場されている2年物、5年物の債券先物に対する取引需要を喚起する結果になりました。CMEにおける金利商品全体の建玉、仕切り/手仕舞いがされていない未決済の取引の数は昨年、28%の増加ともなっています」

もちろん、その他の先物やその他の時間軸でも、記録的な売買高が達成されている。例えば、年末の原油市場では、世界的に需要が減退する一方で、北米の生産が加速的となっていることが意識される展開となった。これを背景にガソリン価格が一段安となるなか、NYMEXのブレント原油先物の年間売買高は90%増を記録している。どの市場にどの時点で売買高の急増があったのかをもう少し詳細に紹介するため、CMEグループでは記録的な年となった2014年のインフォグラフィックを公表している。

2014 volume records JA



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