為替介入が通貨大幅下落を止めるにはほぼ効かない理由

FX Intervention

2013年8月28日 || BLU PUTNAM

今年の春と夏、新興市場通貨はかなりのストレスにさらされた。影響を受けた国々の数多くの政策立案者は、自国通貨の低迷の要因として、量的緩和として知られる資産購入からの 米FRBの出口戦略 を非難している。

例えば、ブラジルはレアルの大幅下落を抑えようとする目的で、多額の600億ドルに及ぶ為替介入プログラムを発表までした。しかし残念ながら、我々の分析では、まず1点目に、FRBのQE終了の可能性は、新興市場の通貨問題のほんの一部に過ぎないこと、2点目に、中央銀行の資産を枯渇させてしまうことは確かであるのに、介入が機能する可能性はほとんどないことを示唆する。

どのような通貨でも、下落が生じた場合、近接の要因を理解することが非常に重要である。そして、ある国の通貨下落が他の国々においても、程度の差こそあれ、同様の下落が同時に生じている場合は、こういった波及の理由解明にも取り組まなければならない。この場合、検討すべき重要な要因が少なくとも2点存在する。

まず1点目は、多くの人々が、新興市場の通貨は比較的リスクの高い投資だと考えていることである。これにより、FRBによるQE終了の可能性といったグローバルな出来事は、全般にわたってリスクを生じさせることになる。リスクが高めのカテゴリーに属するとみなされる資産は全て、価格の下落で打撃を受けやすい。この理由は、幅広い範囲の市場参加者が、全体のリスクポジションを縮小させるからである。

動画を見る:Alexandre Tombiniによるブラジルの経済展望

次に2点目は、FRBのQE終了をめぐる市場の議論と時を同じくして、世界が、数多くの新興市場国である程度の混乱を目撃したことである。例えば、経済政策に関し、ブラジルで大規模なデモ があった。開発計画について、トルコの路上で動乱 があった。エジプトでは暴動、シリアでは内乱が生じている。

こういった出来事には因果関係がないものの、新興市場世界の多くにおける政治的リスクが同時に高まっているように思われるという単なる事実は、世界の市場の肝をひどく冷やさせる可能性がある。1997年の秋に生じたアジア通貨危機といった過去の出来事をもとに、ベテランの市場参加者は、いったん通貨市場で危機の波及が始まると、現地のファンダメンタルズに焦点を当てるよりも一時的にそこから離れた方が良いことが多いということを経験上学んできた。

FX Intervention 2

ブラジルの600億ドルの介入は機能するのか?

この分析は、為替介入が機能するのかという疑問をもたらす。多くの場合、介入の日や介入が発表された日にはその通貨は小幅反発する。しかし、長期的には市場参加者はリスクの高まりや危機の波及の可能性といった基本的な問題の焦点に回帰していくことが多い。介入活動はこういった問題のいずれにも取り組まないため、重要な深刻な市場ダイナミクスのいずれも変容されることはない。したがって、通貨介入は機能しないというのが我々の結論である。

機能する可能性があるのは積極的な短期金利の上昇である。これは、通貨をショートするコストを大幅に引き上げ、投資家が買いポジションを取ることを促す。残念ながら、ほんのわずかな利上げは機能しない。通貨大幅下落を停止させるために作用する可能性のある大幅な利上げは、政治的に容認できないことが非常に多く、また、高金利という特効薬は、通貨低迷という病よりも悪いものだとみなされている。

政治・経済改革の新しいプログラムが機能する可能性もある。なぜなら、こういったプログラムは投資家にとっての長期的なファンダメンタルズ展望を変えさせる可能性があるからである。このような改革が迅速に決定、または実行されることがめったにないことから、信頼できる短期的な特効薬は大幅な利上げのみである。

そうすると他の選択肢がある。好転するまで待つのみ、という選択肢だ。通貨が下落するにつれ、市場参加者へのリスクは減少する。実際、通貨の下落スピードが増すことを許容することは、その通貨がより低価格でもっと優れた投資であるように見えさせることによって市場が通貨の問題を迅速に解決できるようにするための非常に効果的な方法となる。

しかし、どういった軌道が選択されるかということに関係なく、長期的なファンダメンタルズ展望が変わるまでは、為替介入は機能しないと我々は主張するだろう。ファンダメンタルズ展望は、はるかに安くなった通貨、ショートポジションのコストを高め、買いポジションに報いるより高い金利、もしくは、経済・政治改革の決定と実行のいずれかによってのみ変わる。


短期新穀オプション取引が今熱い5つの大きな理由

Five Reasons for Short Dated New Crop Options

2013年8月26日 || TIM ANDRIESEN

今秋の収穫に向けて準備を進めている農家の人々は、やがてこの1年を通して続いている異常な生産サイクルの頂点に差しかかることだろう。今年は、2012年に起きた干ばつが多くの農作物生産地域で土地を 適正な水分なし にしたのではないかとの懸念とともに始まった。それに続いたのが春の豪雨と、それにより作付のタイミングを逸してしまうのではないかという不安だ。そして、ついには乾いた夏が再び最終的な生産に悪影響を及ぼすのではないかとの懸念が広がった。もし天候リスクがあるとすれば、穀物生産農家はおそらく2013年にそれを感じていたことだろう。

多くのリスクがある年はまた、生産者にとって増加したリスク管理ツールがあるとすれば、良い年であったことを意味する。そうしたリスク管理ツールの中でも特に重要なのが短期新穀オプション取引(SNDCO)で、SNDCOはこれまでにもUSDAの調査発表や突然の豪雨といった出来事に伴う短期的なリスクの管理に効果を発揮してきた。そして2014年の穀物価格が2013年と同様に激しく乱高下する場合でも、またそうでない場合でも、CMEグループは、生産者をはじめとする農産物市場の参加者が引き続きSNDCOを利用することを期待している。SNDCOを取引する5つの理由をご紹介する。

1)高い流動性

2012年6月に上場したトウモロコシと大豆のSNDCOの限月は7月と9月で、トウモロコシ先物の12月限に対応するものだった。SNDCOのユーザーは、とりわけ昨年の干ばつのような厳しい自然現象を目の当たりにして、短期オプションの低コストの魅力にすぐに気づいたことだろう。出来高は伸びており、2013年1月1日には2013穀物年度に向けた取引が始まりまった。トウモロコシと大豆SDNCOの人気上昇で、すでに 100万枚を超える出来高合計 に達している。現在、市場の流動性は高く、市場参加者には、自信を持ってSDNCOをリスク管理を目的としたポートフォリオに加えていただけることだろう。

2) 硬質赤色冬(HRW)および軟質赤色冬(SRW)小麦も取引可能に

CMEグループによるカンザス・シティー・ボード・オブ・トレードの買収について すでに書いたように、同じ傘の下での硬質赤色冬(HRW)小麦と軟質赤色冬(SRW)小麦の組合せは、穀物市場の参加者にとっての新たな機会を提供する。その方法のひとつをご紹介する。

参加者は、トウモロコシと大豆市場で2012年から行われているのと同じやり方で、HRW小麦とSRW小麦の短期的なヘッジを低コストで、本日から実践できる。世界で最も多く取引されている2種類の小麦コントラクトのヘッジャーは、ビジネス上特有の短期リスクを初めて、より目的に沿った方法で、管理できるようになる。

3) 一層柔軟に

短期新穀オプション取引の背景には、常に、2~3ヵ月または数週間もしくは数日といった短期間だけ生じるなんらかの出来事に伴うリスクを柔軟に管理するという発想がある。SDNCOを昨年初めて上場した際、トウモロコシ先物の12月限、大豆先物の11月限に対して、5月、7月、9月の限月を設定した。これが意味するのは、ヘッジャーは、それぞれの期間中、例えばUSDAがレポートで低い生産予想数値を発表するなど、市場価格を目先動かす可能性がある出来事に対して防衛策を講じられるということである。

トウモロコシと大豆のSDNCOでは、3月限月を追加しており、さらに柔軟な対応が可能となっている。

4) 農家の利用を獲得しつつある

新規上場商品が成功する多くの場合の理由は、いくつかのマーケットメーカーがその商品を早い段階から採用し、その後を他の利用者がゆっくりとついてくるというものである。SDNCOは農家やカントリー穀物エレベーターのようなヘッジャーに向けて設計され、採用されているのは、短期商品ゆえの低いプレミアムが魅力となっているためである。

5) 2014年向け取引は今、開始可能

市場参加者が2013年の短期新穀トウモロコシおよび大豆オプションの取引を開始できるようになったのは1月2日だった。利用者のご要望を受けて、CMEグループは、参加者が2014年向け取引を使ってリスク管理を開始できる日を本日に繰り上げた。トウモロコシと大豆のSDNCOでは、3月限月を追加しており、さらに柔軟な対応が可能となっている。これにより参加者は、より早く流動性のある市場を活用し、トウモロコシと大豆の生産サイクルをより合致させることができるようになる。収益ベースの農業保険加入を検討している皆さまには、あなたの収益保証に関して2月に保険価格が設定される前に、これが価格変動リスクの管理をお手伝いする。


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