米国エネルギー市場の見通し

Energy Market 11jan13

2013年1月11日 || GARY MORSCHES

2012年は、米国エネルギー・セクターの大半にとって好ましいといえるニュースがもたらされたにもかかわらず、先物市場で取引されているエネルギー商品にとっては、厳しい年だった。一部の市場ではボラティリティが低く、また第2四半期には規制面での不透明さにより、NYMEX WTIのようなベンチマークを含め、当取引所で扱う商品の多くで出来高に痛手があった。

しかし、今までの動きや現在の状況、そして今後の見通しを考えると、マクロレベルで、またエネルギー市場について、楽観的になれる理由がある。

原油生産量とインフラの成長

2011年および2012年初めは、当取引所のベンチマークであるウエスト・テキサス・インターメディエートの取引で物流上の重大な問題が存在した。オクラホマ州クッシングにパイプラインで輸送されていた国内生産原油が増加し、それが輸送上の選択肢が少ないために速やかに湾岸地域や世界的な市場に運ぶことができず、クッシングでしばしば停滞した。しかし、シーウェイ・パイプラインの逆送と、鉄道網を継続的に拡大することで、ガルフ海岸や東部の精油所に届けられるWTIの量が増加したが、これが、未決済建玉建玉が160万枚近くあり、世界最大の取引枚数を誇るWTIにとっては、既存のブレント原油とのスプレッドが縮小し、軽質スイート原油輸入と取って代わり、世界のベンチマークとしてのこの商品に対する熱意をかきたてるプラスの兆候となっている。

おそらく米国の石油市場にとっても、市場の拡大による経済上の影響からみても最善のニュースといえるのは、エネルギー産業からの投資意欲の増加と、北米原油を利用しやすくなったことだ。やって来たパイプライン逆送の好機が、特に大きなプラス要因となった。シーウェイ・パイプラインによるガルフ海岸への輸送量が日量15万バレルから40万バレルに拡大するだけでなく、大統領選挙が終わった現在、どこかの時点で トランスカナダのキーストーン・パイプラインが承認される現実的な可能性も出てきた。パイプラインに加えて、鉄道での出荷も増え続けている。直近では、プレインズ・オール・アメリカン・パイプラインが、1日あたり25万バレルの積み込み貨物ターミナル5カ所を買収と、1日あたり33万5,000バレルの積み卸しターミナル3カ所を買収した。

こういったニュースは国内生産およびインフラにとってはプラスの兆候だ。しかしこれは、WTIにとっても健全な未来の兆候である。エネルギー省のエネルギー情報局の最新の報告書によると、2020年までに米国は世界最大の産油国となる可能性がある。生産量が日量750万バレルと2011年の30%超となり、サウジアラビアでさえ抜いて世界最大の産油国になる可能性があるとしている。物流およびインフラが改善されれば、ブレントや北アフリカのグレードのような水上輸送される原油は、北米市場から消えていくだろう。こういった輸入物が取って代われば、WTIの関連性は高まり、WTIと他の世界の原油市場との相関も改善されるだろう。

天然ガスの年

石油の見通しが強力であったのと同じく、2012年は天然ガスの年でもあり、この現象は未だ減速の兆候を見せていない。水圧破砕や水平掘削における技術改良による最近の爆発的な生産量増大により価格水準は低下し、業界やワシントンでは、天然ガスの輸出が北米市場に莫大な利益をもたらすとの期待が高まっている。

昨年、 米国で消費された天然ガスの94%は国内生産だったが、これは2007年の水準の11%増であった。水圧破砕は大いなる成功を収めており、エネルギー情報局では、今後25年に米国の天然ガス生産の約半分を占めるようになると予想している。エネルギー情報局は、国内頁岩層からの生産量は現在の5兆立方フィートから、2035年までには13兆6,000億立方フィートとなると予想している。

米国では天然ガスの値段は3ドルで、世界市場ではMMBTUあたり11ドルから13ドルの値段を付けているため、市場にとってこの条件での輸出は妥当なものである。今年初めにエネルギー省の承認を得たシナリー・エネルギーの液化天然ガス(LNG)ターミナルは、2015年にも輸出を開始する可能性がある。このプロジェクトや将来行われる類似の他のプロジェクトは、BTUにとってグローバル市場発展の始まりを告げるものであり、現在とは全く異なる状況に変化する可能性がある。

短期的には、価格や市場活動に影響を与えるのは、水圧破砕や輸出といったイベントだけではない。これらはグローバル・エネルギー・システムにおける経済シフトであり、これがエネルギー自給につながり、またどの市場がどのようにそれに反応するかの原因となり、またそれが楽観論の根拠となっている。

規制面での不透明感

規制面での動きも、今後の見通しを変えていくだろう。昨年当取引所では、顧客や規制当局と共に膨大な作業を行い、市場参加者のOTC取引執行や清算の選択肢を広げてきた。市場参加者は、経済面、技術面、そして規制面での要因が新たなリスクをもたらすことから、柔軟性と選択肢を必要としている。

ドット・フランク法の規制に対応して、CMEのClearPortで活発に取引が行われている先物商品は全て、以下の執行用に上場されている。
• CME Globex集中指値注文台帳
• クロス取引
• 立会場
• ブロック取引

市場では、取引の大半をスワップから先物に移行することでこの変化に対応してきた。当取引所の顧客は10月15日以降、それ以前の15%に比べ、およそ80%の取引を常に先物として取引してきた。

規制が引き続き発展していく中、当取引所では顧客、規制当局その他市場参加者と協力して、グローバル・エネルギー市場において、顧客が流動性にアクセスし、リスク管理ができるよう、顧客が必要とする柔軟性と取引執行の選択肢を増やしていくつもりだ。

ただし、こういった変化に伴い、市場参加者の取引のやり方にも、技術的な視点からも規制上の視点からも変化が現れている。これに対応して、当取引所では新たなフロント・エンド取引である、エネルギー市場向けオンラインアプリケーションのCME Directを今年初めに立ち上げた。CME Directは既に広く採用されており、当取引所の天然ガス、電力、排出権そして石油市場で速くも活発な動きを見せている。

2012年には、規制面そしてエネルギー市場のファンダメンタルにおいて極めて影響力の大きい、そしてしばしば予想もしなかった変化に直面した。しかし、最も困難な時こそ改革の最善の好機を見いだすことが多いのも事実であり、そして好機が訪れたのだ。エネルギー・セクター全体を通して新たな技術と生産が生まれ、膨大なインフラの増大が起こり、これが極めて重要なリソースを最も必要とされている市場に対して提供しつつある。そして、これが引き続き当取引所のエネルギー市場にも影響を与え、この大きな変化は継続的なリスク管理、価格形成そして流動性の探求に反映されていくのだ。

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